
東海地区を代表するレースの中に、岐阜県海津市で開催される平田クリテリウムというレースがあります。能力・年齢に合わせてカテゴリー別に参加することができますが、こちらのレースの最上級カテゴリーC1にて、当スクールの指導員が優勝した経験があります。
そんなスタッフのデータを元に、これから平田クリテリウムに参戦したいと考えている方に対して取り組むべきワークアウトをお伝えしたいと思います。
平田クリテリウムとは?
レースの詳細・開催状況はこちら
平田クリテリウムのパワーデータ
平田クリテリウムは、1周2.1km程度の長方形方のコースを周回するレースです。その中でも、最上位カテゴリーのC1は15周回走行し、レース時間は約45分間程度になります。
早速、優勝した選手の走行時パワーデータを確認しましょう。
45分間の平均出力は228w、平均ケイデンス93rpm。その間の出力内訳(Time In Power Zones)は以下のようになっております。
※ 選手のFTPからすると、平均出力はL2(Endurance)程度の強度。
L1 ( Active Recovery ) : 46.3%
L2 ( Endurance ) : 13.9%
L3 ( Tempo ) : 8.7%
L4 ( LT ) : 7.2%
L5 ( Vo2max ) : 5.6%
L6 ( Anaerobic Capacity ) : 18.4%
本来、ロードレースではL6領域(短時間高強度)がここまでの割合を占めることはありませんが、平田クリテリウムではレース内容とコースの特性により高くなります。
まず、こうした短時間高強度が、コースを1周走行する内のどこで発生しているか確認してみましょう。とある周回を切り抜いてみます。
上記のパワーデータでは、コーナーの立ち上がりの度に強度が上がっていることがわかります。またその強度も、ただ重たいギアを踏んでいるわけではなく、ケイデンスを上げてパワーに還元していることがわかります。
コーナー毎のパワーとケイデンスを確認してみましょう。
A. 第4コーナーの立ち上がり8秒
488w (Max 953w) / 98 rpm (Max119rpm)
B. 第2コーナーの立ち上がり11秒
592w (Max 961w) / 115 rpm (Max123rpm)
平田クリテリウムは、常に同じ強度を淡々と走行し続けるタイムトライアル的な能力だけでなく、こうして高強度を何度も繰り返す間欠性持久力が必要だと考えられます。
平田クリテリウムを想定したワークアウト
選手データを元に、各周回毎のパワーデータを集計してみると
①コーナーの立ち上がりに10秒
②立ち上がり後に集団が縦長に伸びた状態が20秒
③沈静化して第4コーナーまで集団内で走行する状態が60秒
を2回繰り返して1周回分の運動強度になることがわかります。
つまり、平田クリテリウムを走行するためには
①一気に加速する能力(爆発力)
②スピードを維持する能力(スピード持久力)
③足の疲労を軽減する能力(回復力)
という3つの能力を有する必要があると考えられます。
これを習得するために、以下のワークアウトを行ってみましょう。
● 平田クリテリウム専用ワークアウト(基礎基本編)
αセット × 30秒 ( 10秒 “AC” + 20秒 “Vo2max” ) + 60秒 REST
※ α = 周回数 × 2 ( 例 : 10周なら20回実施 )
● 各運動強度と実施方法
10秒 : FTP 150% < / Cad 110 – 120 rpm
20秒 : FTP 105 – 120% / Cad 95 – 105 rpm
60秒 : FTP 55 – 65% / Cad 90 – 100 rpm
● 実施する際のポイント
1. シフトチェンジのタイミング
➡︎ どのタイミングでギアの変速をおこなうことで、10秒間の加速時に(脚への)負担を小さくしてスピードをあげることができるかを確認しながら実施しましょう。
2. 休息の仕方
➡︎ 休息中に完全に脚を止める人も多いが、レース中は常に足を回し続けています。足を回しながら呼吸・心拍を整える方法を見つけましょう。
平田クリテリウムに挑むために準備すること
上記のワークアウトを行なってもレースを完走できないことがあります。その場合以下のいずれかが足りないことが多いので、自分に当てはまっていないかどうかを確認しましょう。
① 基本的な持久力も必要
いくら高強度を繰り返すことができる能力が合っても、基本的な持久力がなければレースを完走することは難しいです。高強度のインターバルトレーニングだけでなく、一定ペースで走行する練習も取り入れましょう。
② 基礎筋力も大切
高強度を繰り返すことができても、出せる速度が低ければ、前の走者に追いつくことはできませんし、相手を引き離すことができません。上記のインターバルを行なっても速度が上がらない場合は、基礎的な筋力を高める必要もあります。普段の練習に筋トレを取り入れてみましょう。
③ 走行技術の習得
フィットネスが高くても、集団走行能力やコーナリング技術が低ければ、各コーナーを曲がる度に相手に差をつけられてしまったり、最悪の場合落車してしまうことがあります。そうならないためにも、並行して技術練習(実走練習)をしっかりと行いましょう。
参加する前に準備をしましょう
既に平田クリテリウムに参加したことある人も、ない人も、レースを走る前は事前にさまざまな準備をする必要があることを改めて知っておきましょう。
本記事はワークアウトについて説明しましたが、それ以外にも技術・バイクメンテナンスや食事・コンディション調整といったことまで考え、自身にとってベストな状態で参加することで、安全に楽しむことができます。
こちらの記事を参考に、是非ともいろんなレースに参戦してみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【この記事を書いた人】
伊藤透【保有資格 】
NSCA-CPT (LEVEL1)
健康運動指導士
日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ3【指導依頼】
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