ORCA CYCLING SCHOOL | 愛知県名古屋市のロードバイクスクール

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ユース・ジュニア

【お客様との会話】心拍数が上がりすぎるのは何故?

2021.10.13

スクール生徒から “レース中に心拍数が190前後をずっと維持していて苦しいんですけれど、どうしたら心拍数が下がりますか?“という質問を受けました。

 

質問をくれたのは小学6年生の生徒だったのですが、他のスポーツをやっている小学生からは聞かないような質問内容だったので、ある意味特異的な質問なんだろうなと思いましたが、頂いた瞬間に”この子なりに強くなる方法を考えているんだろうな”と少し嬉しくなりました。

 

さて、まずこちらの回答に移る前に、彼が置かれている状況をおさらいしてみたいと思います。

 

成人してからサイクルロードレースを始めた方の場合、あまりそのルールに触れたことがないと思いますが、ジュニアカテゴリー以下の選手はギア比制限が掛かった状態でレースに参加しないといけないシーンがあります。そのため、速く走るにはケイデンスを上げて走り続けないといけないのです。

 

【ギア制限参考】
各カテゴリー、クランクを1周したときに最長でも以下の距離以内に収まるようにするというルールが設けられています。

・ジュニア (17-18歳) :  7.93m
・U17 (15-16歳) :  7.01m
・U15 (13-14歳) : 6.10m
・U13(12歳以下) : 5.66m

 

例えば、上記の参考を共に時速40kmで走行することを考えてみましょう。

 

大人たちと混走するレースにギア比制限の設けられている場合、大人たちがケイデンス90rpm前後で時速40kmで走っている最中に、U13カテゴリーの小学生たちはケイデンス120rpm前後で走行し続けないといけません。これは大人たちがやってみてもわかることですが、かなり大変ですよね。

 

実は、高ケイデンスにおける心拍数の向上は様々な論文にも書かれており、同一強度でもケイデンスが高くなることで筋ポンプ作用が高まり心拍数が上がる傾向にあるということが言われています(1)。

 

ギア比制限がかかっている彼らにとって、同一レースで勝つためには高ケイデンスで回し続けることが前提になるため、こうなってしまうのは仕方がないとは思いますが、いくら小学生とはいえケイデンス120rpm / 心拍数190bpmで回し続けるのは苦しくて息が続かないだろうなと考えられるので、彼の現状の取り組みを伺って改善策を考えてみました。

 

彼のカウンセリングを行う上で改善策となりそうなのが、以下の2つと考えらてました。

 

① 特異性を考えた練習を行う
② W-UPをしっかり行う

 

それぞれに対する簡易的な内容を述べさせていただきたいと思います。

 

① 特異性を考えた練習を行う

フィットネスの成長を促すためのトレーニングの原則に、特異性の原則という言葉があります。今回のケースに当てわかりやすく説明すると、限りなく状況再現した練習を行いましょう、つまりレース時間に合わせてその運動強度および回転数で練習しましょう、ということです。

 

例えば、U13カテゴリーの子供たちが参加するレースを考えると、一般的に15分前後、長くて30分程度となります。その時間帯、常にレース中のケイデンスになるであろう120-130rpmで回し続けることに慣れましょう、という練習方法です。

 

もちろん、レース速度に合わせてギア比を揃えて行うことができれば素晴らしいですが、なかなかそうもいかないケースの方が多いです。

 

その場合は、ギア比は無視していいので、まずはレース時間に合わせて120-130rpmで回し続けることに慣れることが先決だと考えています。そこで慣れてきたら徐々にギア比を上げて、維持できる時間を長くしていく、というようにチャレンジする方法がいいと思います。

 

こうした練習を、1日に2セットおよび週2−3回程度、取り入れてみましょう。

 

 

② W-UPをしっかり行う

W-UPはどうやって行っているのか?という質問をしたときに “体が温まるように漕いで、ストレッチをするくらい” という回答をもらいました。まず、しているだけ偉いなと思いましたが、せっかくしているのならばより効果的に行いたいものです。

 

そこで、W-UPの目的を確認してみましょう。

A. 筋温を上げて筋収縮を行いやすいようにする
B. 神経を刺激して、筋力を発揮しやすいようにする
C. 心拍数を、肺と心臓(および血管)の収縮を円滑にする
D. 精神的にレースに集中するためのメンタルを作る

 

以上の目的と彼のウォームアップを照らし合わせると、A・B・Dに対するアプローチはできているように思いましたが、Cに対するアプローチが低いのではないかと考えられました。というのもレース中の心拍数は見ているのに、ウォームアップ中の心拍数はわからないと回答したからです。

 

Cに対するアプローチが、なぜ必要かを考えてもらう場合に、よく風船をイメージしてもらうのですが、皆さんもイメージしながら読んでいただければと思います。

 

購入したばかりの風船は硬くて膨らませにくいですが、何回か膨らませたら軽く息を吹き込んだだけでスーッと膨らみますよね。肺や心臓も同じように、しっかりとウォープアップして血管を広げてあげることでスムーズに血流を流すことができます。

 

こうしたアプローチを行うためにも、緩やかに漕ぐだけでなく、数分程度レースベースの強度およびケイデンスを再現しつつ、数回のスプリントを導入して心拍数を上げた方がいいのではないかと提案をしました(2)。

 

このウォームアップは一つの参考ですが、それでもやって試さないことには先に進めませんから、今のうちに試行錯誤しながら自分にあったウォームアップを探して欲しいなと思います。

 

忘れ去られているウォームアップの大切さ

さて、今回は小学6年生の生徒から質問を頂いたので、その生徒用に回答をまとめさせていただきましたが、こうしたウォームアップは大人の方にも目を通して欲しいものでもあります。

 

地元で開催されている平田クリテリウムやAACAに足を運ぶと、ウォームアップを行っている人が少ないように感じています。中には実走して準備OKですという方もいらっしゃいますが、車でお越しの方がウォームアップしてない状態でそのままレースに参加するシーンを多数見かけました。

 

ウォームアップはパフォーマンスを十分に引き出すだけでなく、心臓発作などの急性で起こる心疾患を予防するためにも必要なので、特に30代以上の方で1時間以内の高強度インターバルがかかるレースに参加される方は、是非ともしっかりウォームアップをすることをお勧めします。

 

また、②で説明させていただいたウォームアップの4つの目的のAとBを同じような意味で捉えられている方もいるかもしれませんが、そこを分けたのには明確な理由があります。Aは怪我をしないため、Bはパワーを発揮しやすくなるため、という意味です。

 

そこもお忘れのないようにしていただきながら、レースに取り組んでみましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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参考資料

(1)J L Moore (2007) Cardiovascular effects of cadence and workload , Int J Sports Med 2008 Feb;29(2):116-9

(2) Peter M. Christensen (2014) Warm-Up Strategy and High-Intensity Endurance Performance in Trained Cyclists . Int J Sports Physiol Perform . 2015 Apr10(3)353-60