ORCA CYCLING SCHOOL | 愛知県名古屋市のロードバイクスクール

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トレーニングの教科書

SFR (Slow Frequency Revolutions) について

post 2020.5.1
  last updated 2022.10.19

SFR(Slow Frequency Revolutions)“というトレーニングをご存知でしょうか。

 

日本では、パワートレーニングが浸透し始めた頃から耳にすることが多くなってきたと思いますが、海外ではそれ以前より多くのプロサイクリストが実施していた伝統的なトレーニング方法の一つでもあります。

 

※ 動画は元プロサイクリスト Ivan Basso 氏の現役時代の映像

 

SFRは自転車上の筋トレに位置づけされ、映像のように中強度程度以上で40-60rpm(低ケイデンス)で回すという方法で行われてきました。

 

しかしいつからか、SFRはトレーニング効果(筋力およびパワー向上)がないのではと疑われ始め、今ではペダリング動作改善のドリル(drill : 基本練習)として考えられ始め、雑誌やメディアでもそのように情報発信されています。

 

SFRには本当に運動生理学的な効果(筋力向上・持久力向上)がなかったのかか?“と疑問に思い調べていたところ、面白い論文を見つけたのでここで紹介したいと思います。

 

論文

今回紹介するのは、以下の論文になります

Low cadence interval training at moderate intensity does not improve cycling performance in highly trained veteran cyclists

本論文の概要

【対象】
22名の男性サイクリスト(ノルウェーの方)
※ノルウェーのグランフォンドであるBergen-Voss(165km/獲得標高2100m)を4時間30分以内に完走できた人を対象としています。

 

【フィットネスデータ】
年齢 : 47±6歳
体重 : 78±7kg
Vo2max :  57.9±3.7ml/kg/min

 

【ワークアウト】

15分間のW-UP後、以下のワークアウト

5set × ( 6min + 3min )
6min : HRmax 73-83%
3min : HRmax 60-72%

※ HRmax 73%-83%は Tempo領域の強度

 

を2つのグループ

・Low Cadence Group (LC)… 40rpm で実施
・freely chosen cadence group(FCC) … 自由に行う

に分けて、1セッションの後に48時間以上の間隔を開けて週2回、12週間も継続して実施します。

 

その結果

・Rump Up Test ( Vo2max / OBLA )
・30min TT ( Vo2max / Power )
・Leg strength ( Leg Press / Leg Extension )

がどう変化するのかを調査したものになります。

 

この結果は、以下の通りになります。

 

◆ Vo2max の変化

画像1

Vo2max … LC +1.4±2.4 / FCC 3.3±2.8 向上
※ FCC群は向上したと言える

 

◆ OBLA(血中乳酸値4.0mmol/l)を基準にした変化

画像2

Vo2 … LC 1.5±2.8 / FCC 2.4±2.2 向上
PO … LC 10±16w / FCC 10±10w 向上
※ FCC 郡は向上したと言える

 

◆ 30分間TTでの変化

画像3

Vo2 … LC -0.1±2.6 / FCC 1.9±2.2 向上
MPO … LC −3 ±18w / FCC 13±16w 向上
※ FCC郡は向上したと言える

 

◆ 筋力の変化

画像4

レッグプレス / レッグプレス共に向上なし

 

以上の結果をまとめると、ある一定のフィットネスを有するサイクリストがSFRを中強度で行った場合、フィットネスには変化がないという可能性が判明しました。

 

SFRの意味とは

この論文の面白いところは、当時のノルウェー人サイクリストたちの間でSFRが流行っていて、フィットネスを向上させるために一般的なトレーニング方法である信じて実施されていたので、有益であると仮定した中で実験した結果、なんと予想とは相反した結果になったというところです。真実とは残酷なものです。

 

特に自転車上での筋トレと言われていたにもかかわらず、筋力向上という点でも効果なしという結果に終わってしまったのは残念なところです。巷でまことしやかに囁かれていたように”やっぱり効果がなかったじゃないか“と言われてもしかたがないかなと感じるところです。

 

ところが、海外プロサイクリストのトレーニングでは今だにSFRを取り入れていますし、コンチネンタルチームやナショナルチームに所属する選手のワークアウトを教えてもらうSFRを導入する選手も多くいました。

 

そんなプロ選手の一人に、SFRを実施してもらいました。その際のペダリング(パワー)データを紹介いたします。

スクリーンショット 2022-02-19 11.50.03画像参照 : #2.0 WKO5の使い方 (GPRとGPA)

 

引き足が、踏み足のパワーを邪魔せずに丁寧に回せているのがわかるでしょうか(数値の見方は #2.0 WKO5の使い方 (GPRとGPA) を参考)。このように、SFRは丁寧にペダリングを行い、効率的にバイクを進めるための動きとして最適だと考えられます。

 

SFRを取り入れるタイミングなどもカウンセリングしてみると、どうもW-UPの一環として実施し、感覚を整えてからワークアウトに移るようですが、確かにペダリングを整えてから走行することで、効率的かつ効果的なワークアウトを行えそうだと考えられます。

 

ペダリング効率を改善したいと考えたときは、是非とも取り入れてみましょう。

 

本記事のまとめ

SFRはフィットネスの向上としての意味は効果がないと考えられますが、動作習得のドリルとして導入することで効率的なペダリングをおこなう感覚を手に入れることができると考えられます。

 

ロードバイクでのワークアウト実施前に、W-UPとして取り入れてからメインメニューをおこなうことで、効率的かつ効果的なワークアウトを実施できると考えられます。ただ数字(パワー)を追うだけでなく、なぜその数字が出るのかをSFRを通して技術的側面から考えて実施してみましょう。

 

また、ペダリングのパワーを向上させるために筋力が必要だと感じたら、純粋に筋トレをした方が効果的であります。筋トレで向上した筋力を、ペダリング動作に落とし込むときに、SFRを活用しましょう。

ロードバイクにおける練習とトレーニングの違いについて

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

【この記事を書いた人】
伊藤透

【保有資格 】
NSCA-CPT (LEVEL1)
健康運動指導士
日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ3

【指導依頼】
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