ORCA CYCLING SCHOOL | 愛知県名古屋市のロードバイクスクール

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ロードバイクで膝を痛める3つの原因

2022.9.6

ロードバイクに乗っている時に膝が痛くなり、それが原因で “長く走れない” “速く走れない” と悩まれる方もいます。実はこうしたお悩みは非常に多く、趣味として楽しむサイクリストだけでなく、競技的なサイクリストでも6割ほどの方が悩まされるという報告もあります(1)。

 

トレーナーである私も、多くのサイクリストを指導する中で膝の痛みについて悩まれる方から指導の依頼をいただくことがあります。そうした依頼内容を集計した結果、痛みの原因は大きく3つあると考えられます。

【膝が痛くなる3つの原因】
ポジションがあっていない
クリートの向きが適切でない
③ 股関節でなく股関節がメインになっている

 

それぞれの原因に対する内容を述べさせていただきたいと思います。

 

① ポジションがあっていない

ロードバイク初心者から初級者の方によく見られる傾向で、ポジションが合っていないことが原因で膝が痛くなるというケースがあります。

 

そもそも、ポジションがあっていないというのはどういうことかと疑問に持たれる方もいると思います。

 

ロードバイクを快適に漕ぐためには、自身の骨格および筋力・柔軟性に基づいて、ペダルを漕ぐ際に最適な姿勢・動作を行う必要があると考えられていますが、こちらの記事ではその最適な姿勢・動作が行えてない状態のセッティング(ハンドル・サドル・クリートなどの位置)を、ポジションがあっていない状態と定義させていただきます。

 

そのような状態になる原因の多く、主にサドルの高さに見られます。初心者から初級者の場合、サドル位置が低いことが原因で膝を痛めるケースをよく見かけます。

 

何故、サドルが低いと膝が痛くなるのか?と疑問に思うわれる方も多いと思いますが、スクワットという動作(動画はこちら)を例に考えてみましょう。

 

スクワットでは、浅く屈むと太ももの前側は疲れにくいですが、深く屈むと太ももの前側が疲れてくるようになります。”サドルが低い=スクワットで深く屈む” という感覚に近くなり、膝の曲がる角度が大きくなるため膝を伸ばそうとする作用が高まり、太ももの前側が酷使された結果、膝が痛くなるという状態に陥ります。

 

では、初心者から初級者の方にはどれぐらいのサドルの高さが良いのかと疑問に思われる方も多いと思いますが、その高さは人によって違いますのでこれが良いと断定した回答を出すことができません。

 

ただ、簡単な合わせ方として、まずはサドルに乗った状態でペダルの車軸にカカトを合わせたときに膝が伸びきる状態の高さにするという方法もあります。

 

さて、サドル以外にもポジションの原因としてハンドルの高さやステムの長さ(角度)などもあります。実は、膝が痛い=下半身が原因というわけではないケースも複数ありますので、本当に悩んだときは専門家に見てもらうといいでしょう。一度、お近くの自転車店などでフィッティングを受講することをお勧めします。

 

② クリートの向きが適切でない

ポジションがあっていないという内容から派生する部分がありますが、ロードバイク初心者から中級者の方によく見られる傾向で、クリートの向きが適切でないことが原因で膝が痛くなるというケースがあります。

 

クリートの前後位置を気にされる方も多いのですが、クリートの角度(向き)を気にされる方はあまりいません。ここで、興味がある方は自身のシューズに取り付けられているクリートの先端がどこを向いているか確認してみましょう。

 

A : 内側(親指側)に傾いている
B : 真っ直ぐ(中指側)に向いている
C : 外側(小指側)に傾いている

 

私自身が今までフィッティングさせていただいたケースとみると、以下のような割合になります。

A : 3割
B : 5割
C : 2割

 

最も痛みが出にくい状態がBとなりますが、最も痛みが出やすい状態はAとなります。AはKnee in – Toe out (膝内側 – 爪先外側)という膝にねじれを生み出し、筋肉だけでなく腱や靭帯にストレスを与える非常に危険な状態にあります。特にAの状態で扁平足の方がそうした状態になっているケースを見ます。

 

この場合、クリート位置をBに戻すという手もあるのですが、Bに戻してもknee in – Toe out が治るわけではありません。その場合は、扁平足を矯正する機能を有しているインソールを取り入れた状態でBにするなど、装具で工夫することも考えなくてはいけません。

 

また、装具に頼らず扁平足を改善するために、足趾や足関節周辺筋群へのアプローチする方法もありますが、その場合はカラダの状態を適切に判断して運動する必要があるため、非常に高度な専門知識が必要となります。膝の痛みを根幹から改善したい場合は、専門家にパーソナルトレーニングなどを依頼して改善することもいいでしょう。

 

③ 股関節でなく膝関節がメインになっている

ポジションとクリートに問題がない場合でも、膝が痛くなるケースがあります。それはペダリング動作が股関節でなく膝関節がメインの動きになっている場合で、これは初級者だけでなく、上級者にも起こり得る問題です。

 

基本的に、ペダルを漕ぐという動作は股関節-膝関節-足関節と3つの関節をうまく連動させて行うのですが、股関節の筋群に対する神経伝達がうまく行えていない場合、膝関節が優位な状態でペダルを漕ぎ続けることで膝を酷使し、痛めてしまうケースがあります。

【ペダリングの参考記事】
ロードバイクのペダリングについて

 

自身のペダリング動作における筋活動を把握するためには、主観的な感覚よりも客観的に数値化または映像化する必要があると考えられます。以下の方法が考えられるでしょう。

 

① パワーメーターなどを活用したトルク解析
② LEOMOなどを活用した関節角度の把握
③ ストレートに筋電図を活用する

 

ツールを使用して動作を正確に把握するためには専門知識や指導経験が必要になる部分があるため、一般的に判断することは難しいと考えられます。

 

ただ、ツールを使用せずとも膝関節が主働になっているかどうかを確認するためには、自転車から降りた状態でのフィジカルアセスメント(身体評価)にて、股関節伸展筋群の筋力が十分にあるか、適切に稼働させることができるのかを確認する必要もあります。

 

いずれにせよ、身体的な専門知識がないと判断は難しいので、この場合はロードバイクの競技特性を理解した運動指導の専門家に相談してみましょう。

 

痛みを長引かせないためにも

カラダに痛みや違和感が出ると、楽しいはずのサイクリングも楽しくなくなりますよね。その痛みを引きずったまま走り続けると、慢性化して取り返しがつかないケースもあります。私自身の指導経験の中に、痛みを堪えて乗り続けていた女性が変形性膝関節症になってしまったという方もいらっしゃいました。

 

今回は記事は、膝の痛みが軽度である方を対象とした内容となっておりますが、長期間痛みが発生する場合や自転車から降りても膝の痛みがある場合は、必ずお近くの医療機関を受診しましょう

 

一時的に痛みがおさまっても、根本を解決しないとまた痛くなる。

 

この繰り返しが続くとサイクリングが楽しくないという日々が続くだけでなく、日常生活にも支障が出てしまいます。臭いものには蓋をせず、しっかりと対処して繰り返さないようにしましょう。そのためにも、最低限の知識を持った上でサイクルスポーツを楽しんでいただけたらなと思います。何かあれば、是非ご相談ください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【この記事を書いた人】

伊藤透

【保有資格 】
NSCA-CPT (LEVEL1)
健康運動指導士
日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ3

【指導依頼】
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参考資料

(1)Silberman, Marc R. MD (2013) : Bicycling Injuries , Curry Sports Med Rep .Sep-Oct 2013;12(5)