こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君SSTには慣れてきましたが、レースのペースの上げ下げについていけません。
クリスクロスはどんな練習ですか?
クリスクロスは、スイートスポット付近の強度で走りながら、30秒ほどの高強度を周期的に挟むインターバルです。一定の強度で走るSSTとちがい、強度を上下に揺らし続けるため、FTPの向上と、レースのペースの変化への対応力を同時に鍛えられます。
この記事では、クリスクロスの効果を研究データをもとに解説し、FTP向上とレース対策の2つのメニュー例、頻度と注意点を紹介します。
クリスクロスとは?
クリスクロス(Criss-Cross)は、パワートレーニングで使われるワークアウトの一つです。ベースの強度はテンポからスイートスポット(FTPの75〜90%)で、そこにFTPを超える強度を30秒ほど、一定の間隔で入れていきます。
高強度を何度もくり返すHIIT(高強度インターバル)や、全力に近い短いスプリントをくり返すSIT(スプリントインターバル)とはちがい、休息を入れずに、中くらいの強度と高い強度を行き来し続けるのが特徴です。
| ワークアウト | 強度 | 特徴 |
|---|---|---|
| SST(スイートスポット) | FTPの88〜94%で一定 | FTPと持久力の土台づくり |
| クリスクロス | FTPの75〜90%+30秒ほどFTPの115〜130% | 強度の変化に耐えながらFTPを伸ばす |
| VO2maxインターバル | FTPの106〜120%で3〜5分 | 最大酸素摂取量を引き上げる |
SSTについては「SST(スイートスポットトレーニング)とは?」でくわしく解説しています。
クリスクロスの効果|研究ではどう言われている?
「クリスクロス」という名前のワークアウトそのものを調べた研究は、まだ見当たりません。ただし、インターバルの中で強度を変える方法については、いくつか研究があります。
① 同じ平均パワーでも、心肺への刺激が大きくなる
よくトレーニングされたサイクリスト14人を対象に、平均パワーと時間をそろえたうえで、「一定の強度」と「強度を上下させる」インターバルを比べた研究があります。強度を上下させたほうが、最大酸素摂取量の90%以上で運動した時間が長くなりました(410秒 vs 286秒)。一方で、きつさの感じ方や血中乳酸値には差がありませんでした(Bossi et al., 2020)。
最初を高く、だんだん下げていく形で強度を変えたインターバルでも、一定の強度より酸素摂取量が高くなったと報告されています(89% vs 86%、Beltrami et al., 2021)。
つまり、強度を揺らすと、同じきつさの感覚で、心肺により大きな刺激を入れられる可能性があります。
② レースのペースの上げ下げに備えられる
クリテリウムやロードレースは、ペースが上がったり下がったりのくり返しです。平均パワーをそろえて1時間走ったあとに30秒のスプリントをした研究では、ペースの上げ下げをくり返したほうが、最後のスプリントのパワーが約5%低くなりました(Etxebarria et al., 2019)。
同じ平均パワーでも、強度の変化そのものが脚を削るということです。クリスクロスは、この「強度の変化」に練習の中で慣れておくためのワークアウトといえます。
- 強度を揺らすインターバルは、同じきつさの感覚で心肺への刺激を大きくできる可能性がある
- レースで脚を削るのは、平均パワーよりも「強度の変化」
- クリスクロスそのものの研究はまだないため、目的に合わせて使い分ける
クリスクロスのやり方|メニュー例
基本は、中くらいの強度と高い強度の時間を2〜4:1にします。1セットの合計は10〜30分にして、2〜3セットくり返すのが一般的です。ここでは、目的別に2つのメニューを紹介します。
FTPを伸ばしたい場合


- 形式:90秒 スイートスポット+30秒 高強度
- 強度:90秒はFTPの85〜90%、30秒はFTPの115〜125%
- 時間:1セットの合計10〜30分を2〜3セット
ベースと高強度の差を広げすぎないのがポイントです。90秒のスイートスポットの強度を最後まで保つことを優先し、保てなくなりそうなら30秒の強度を下げてください。
レースに備えたい場合


- 形式:90秒 テンポ+30秒 無酸素域
- 強度:90秒はFTPの75〜85%、30秒はFTPの120〜130%
- 時間:1セットの合計10〜30分を2〜3セット
こちらは、ベースと高強度の差を大きくします。30秒の高強度を落とさないことを優先し、きつくなったら90秒のテンポを少し下げて調整してください。
慣れていない方は
いきなり30分は難しいので、2分 FTPの85%+30秒 FTPの110%を4回(合計10分)×2セットから始めましょう。2〜3回こなせるようになったら、高強度の時間を増やすか、セットを延ばしていきます。
頻度と組み込み方
- 頻度は週1回が目安。SSTやVO2maxインターバルと合わせて、高強度の日は週2回までにする
- 前後の日は軽めにする。高強度を含む練習は、同じ仕事量の中強度の練習より疲労が大きく、直後の短時間のパワーも下がりやすい(Barranco-Gil et al., 2024)
- レースの2〜6週間前から入れると、ペースの変化に慣れておける
- スマートトレーナーのERGモードを使う場合、負荷の切り替わりに数秒遅れが出るため、高強度は少し早めに踏み始める
1週間の組み立て方は「CTLを目安にロードバイクの1週間のトレーニングメニューを考える」も参考にしてください。
注意点
- ベースの強度を落とさない:クリスクロスは「休めない」ことに意味がある。30秒のあとにベースまで落ちすぎると、ただのインターバルになる
- FTPが正しく設定されているか確認する:FTPが高すぎると最後まで続かず、低すぎると刺激が足りない
- クリスクロスばかりにしない:低い強度で長く走る練習が土台。高強度の割合を増やしすぎると、疲労がたまりやすくなる
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大人クラスを見る →インターバルの種類や週の組み方は、パワーメーターを使ったインターバルトレーニングをご覧ください。
よくある質問
Q. クリスクロスとは何ですか?
スイートスポット付近の強度で走りながら、30秒ほどの高強度を周期的に挟むインターバルトレーニングです。強度を上下に揺らし続けることで、FTPの向上と、レースのペースの上げ下げへの対応力を同時に鍛えることを狙います。
Q. クリスクロスの強度はどのくらいですか?
FTP向上が目的なら、ベースはFTPの85〜90%、高強度はFTPの115〜125%が目安です。レース対策なら、ベースをFTPの75〜85%に下げ、高強度をFTPの120〜130%に上げて、強度の差を大きくします。
Q. クリスクロスは何分やればいいですか?
1セットの合計が10〜30分になるように組み、2〜3セット行うのが一般的です。慣れていない方は、10分×2セットから始めてください。
Q. SSTとクリスクロスはどちらがいいですか?
目的によります。まずはSSTで一定の強度を長く保てるようにし、SSTが物足りなくなってきたり、レースが近づいてきたりしたら、クリスクロスに切り替えるのがおすすめです。
まとめ
- クリスクロス:スイートスポット付近で走りながら、30秒ほどの高強度を周期的に挟む
- 効果:強度を揺らすと、同じきつさの感覚で心肺への刺激を大きくできる可能性がある。レースのペース変化への対応力も鍛えられる
- FTP向上:90秒 FTPの85〜90%+30秒 FTPの115〜125%
- レース対策:90秒 FTPの75〜85%+30秒 FTPの120〜130%
- 頻度:週1回、前後の日は軽めに
クリスクロスは、SSTに慣れてきた方の「次の一歩」におすすめのワークアウトです。ただし、効果が出るかどうかは、FTPの設定と、1週間の中での組み込み方しだいです。練習データを見ながら調整したい方は、オンラインコーチングもご活用ください。
- Bossi AH, Mesquida C, Passfield L, Rønnestad BR, Hopker JG. Optimizing interval training through power-output variation within the work intervals. Int J Sports Physiol Perform. 2020;15(7):982-989. doi:10.1123/ijspp.2019-0260
- Beltrami FG, Roos E, von Ow M, Spengler CM. Cardiorespiratory responses to constant and varied-load interval training sessions. Int J Sports Physiol Perform. 2021;16(7):1021-1028. doi:10.1123/ijspp.2020-0104
- Etxebarria N, Ingham SA, Ferguson RA, Bentley DJ, Pyne DB. Sprinting after having sprinted: prior high-intensity stochastic cycling impairs the winning strike for gold. Front Physiol. 2019;10:100. doi:10.3389/fphys.2019.00100
- Barranco-Gil D, Alejo LB, Revuelta C, et al. Intensity matters: effect of different work-matched efforts on subsequent performance in cyclists. Int J Sports Physiol Perform. 2024;19(10):1006-1011. doi:10.1123/ijspp.2023-0287






