自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。
こちらの記事では、ロードバイクでの痛みについて解説しています。
サイクリング中に膝が痛くなります。
その原因と解決方法を教えてください。
以上のような、ロードバイクで発生する膝の痛みについてにお答えします。
・膝の痛みが発生するメカニズム
・膝の痛みが発生する原因
・膝の痛みを解決する方法
痛みにもさまざまな種類がありますが、こちらの記事では、サイクリング中に膝が痛くなる( 不定愁訴 : 違和感がある )方を対象にした記事となっております。
変形性関節症などの整形外科的な原因であったり、サイクリング後にも膝が痛い続くような慢性的炎症(ケガ)であることが考えられる場合は、整形外科で受診いただき、しっかりと治療することをオススメいたします。
ロードバイクで膝が痛くなるメカニズム
ロードバイクに乗っている時に膝が痛くなり、長い時間乗れない・速く漕ぐことができないと悩まされる方は、性別・年齢・自転車歴に関係なく多数います。長時間高速域で乗り続ける競技的なサイクリストですら、膝の痛みを訴える選手は6割程度いるという報告もあるくらいです(M Silberman .2013)
そんな膝の痛みにもさまざまな種類があり、膝の内側や外側が痛くなる方もいれば、膝の裏側が痛くなるという方もいます。中でも、最も多くの人が膝の前側の痛み、主に膝蓋骨(ひざのお皿)の下の痛みを訴えています。原因はさまざまありますが、主にペダリングにおける太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)への負荷の大きさではないかと考えられています( TE Johnston , 2017 )
そうした膝の痛みを改善したいという理由で >> パーソナルトレーニング や >>フィッティング を依頼してくださった方のデータを集計すると、痛みにつながる原因となる3つの要因が考えられました。
⚫︎ 膝が痛くなる原因
: サドルの高さが適切でない
: クリートの位置が適切でない
: ペダリング技術に問題がある
それぞれの原因に対する内容を述べさせていただきたいと思います。
サドルの高さ
膝への負担が少なく、快適にロードバイクを漕ぐためには、膝の角度が下死点で25度から40度ほど曲がるサドルの高さが理想とされていますが、膝が痛くなる方の場合、膝の角度が下死点で40度以上も深く曲がるようなサドルの高さになっていることがあります(サドルが低い状態)。
サドルが低い状態の場合、深くスクワットした状態で膝を曲げ伸ばし続けている状態に近いため、大腿四頭筋が酷使された結果、膝が痛くなるという状態に陥ります。
この場合、ヒール・トゥ法 (サドルに乗った状態でペダルの車軸にカカトを合わせたときに膝が伸びきる高さにする方法) を参考に、サドルの高さを調整してみましょう。
⚫︎ サドルが高すぎる場合はどうなる?
理想とされている膝の角度よりの緩い (25度以下) である場合、膝が伸び切りすぎて膝の裏側が痛くなったり、腰が痛くなる・股ズレが起きるということがありますので、その場合はサドルを下げた方がいいでしょう。
クリートの位置
クリート位置は、足の中指に対してまっすぐになるような状態を基本として取り付けますが、膝が痛くなる場合は、足の中指よりもクリートが内側を向いている、またはクリートが外側に向いていることが多くあります。その中でも膝の痛みを多く訴えるのは前者 : クリートが内側を向いている状態でしょう。
これは Knee in – Toe Out ( 膝が内側 – つま先が外側を向いている ) という膝関節がねじれた状態で、付着している腱や靭帯だけでなく、半月板に対して発生しているストレスが原因で痛みが発生するという状態に陥ります。
※ 特に膝の内側が痛くなる場合は、こうなっているケースが多かったです。
この場合、一度クリートを中指に対してまっすぐになるような状態に取りつけましょう。しかし、真っ直ぐにしても膝がねじれている場合もありますので、そうした時は、膝の向きを矯正してくれる機能を有したインソールを取り入れるなどの工夫が必要になることもあります。
⚫︎ 外側を向いている場合はどうなる?
クリートが外側を向いている場合、Knee out – Toe in ( 膝が外側 – つま先が内側を向いている ) という状態で、内側にした時と同じように膝に大きなストレスを与えます。この場合は、膝の外側を痛めることが多く、いわゆる腸脛靭帯炎になる可能性があります。
ペダリング
サドルの高さやクリート位置が適切であっても、膝が痛くなるケースがあります。
それはペダリング動作が股関節でなく膝関節がメインの動きになっている状態で、これは初級者だけでなく、上級者にも起こり得る問題です。
基本的に、ペダルを漕ぐという動作は股関節-膝関節-足関節と3つの関節をうまく連動させて行うのですが、股関節(大臀筋・ハムストリング)がうまく使えない場合、大腿四頭筋がメインで使われてしまう状態が続き、膝が痛くなるという状態に陥ります。
自分がどのようにペダリングしているのか、と疑問に思われる方もいると思いますが、こうした疑問は以下のツールを使用することで、ある程度判断することができると考えられます。
⚫︎ 自身のペダリングを解析する方法
: パワーメーターなどを活用したトルク解析から推測する
: LEOMOなどを活用した関節角度から推測する
: ストレートに筋電図を活用する
以上のように、ツールを使用して動作を正確に把握するためには専門知識や指導経験が必要になる部分があるため、一般的に判断することは難しいと考えられます。
サドル高やクリート位置を調整しても改善されない場合、専門家から正しいペダリングを学び、スキルを習得することをオススメいたします。
「膝の痛みが治らない…」と感じる方へ
カラダに痛みや違和感が出ると、楽しいはずのサイクリングも楽しくないと感じてしまいます。そして、そうした痛みを引きずったまま走り続けると、慢性化して取り返しがつかないケースもあります。
今回は記事は、乗車中に膝の痛みを感じる方を対象とした内容となっておりますが、自転車から降りても長期間痛みが発生する場合は、必ず近くの医療機関を受診しましょう。
ストレスなくサイクリングを楽しむためにも、痛みを感じたら、誤魔化しながら乗るのではなく、こちらの記事を参考にしながら対処してみましょう。
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※ 記事に関するご質問のみ返答させていただきます。個人のトレーニングについての質問は受け付けておりません。
また、本記事を参考に調整してもしっくりこない場合は、フィッティングをおこなっておりますので一度こちらまでご相談ください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
■ 参考資料
(M Silberman .2013) Bicycling Injuries
( TE Johnston , 2017 )THE INFLUENCE OF EXTRINSIC FACTORS ON KNEE BIOMECHANICS DURING CYCLING: A SYSTEMATIC REVIEW OF THE LITERATURE