自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。
こちらの記事では、WKO について解説しています。
ペダリングについて悩んでいます。
GPR と GPA について教えてください。
以上のような、CTL に対するお悩みについてにお答えします。
WKO5の実用的な使い方についてご説明します。
こちらの記事では Gross Power Review Chart にて表示される
Gross Power Released ( 以下 : GPR )
Gross Power Absorbed ( 以下 : GPA )
について説明いたします。
Gross Power Review Chart とは
Gross Power Review Chart とは、ペダリング時に発生しているパワーの詳細を表した図であり、主にGross Power Released ( 以下 : GPR )とGross Power Absorbed ( 以下 : GPA )という指標を基に、以下のように表されます。
New Pedaling Charts and Metrics in WKO4 より一部引用
Gross Power Released (GPR) is the power that you are releasing on each pedal stroke to propel the bicycle forward. The green line represents Gross Power Absorbed (GPA) on the left leg and purple line is Gross Power Absorbed on the right leg. This is the power that is being produced but is not going to moving the bicycle forward and is being absorbed. This is generally resistance or negative power.
Training Peaks に記載されている内容を簡易的に記すと
GPR : ペダルを踏み込む際に発生しているパワー(アクセル)
GPA : 引き上がる足が発生させているパワー(ブレーキ)
を表していると言えます。
以上の意味を理解し、GPRとGPAからパワーを考えると、以下のような数式につながります。
【パワーの数式と指標】
✔︎ パワー = ( GPR Left – GPA Right ) + ( GRR Right – GPA Left )
GPR Left – GPA Right = 左足踏み込み時の推進力
GRR Right – GPA Left = 右足踏み込み時の推進力
※ 参考記事 : ロードバイクのペダリングと必要な筋トレ
✔︎ パワー効率 = GPA / GPR
・ 国内プロ選手 : 5%以下
・ 国内実業団選手 : 10-15%
・ 一般サイクリスト : 15-20%
※ L4領域における平均値を基準とした場合の参考値
上記の数式を基に Gross Power Review Chart 内の関数をいじると、以下のような図にすることもできます。
自身が見やすいように調整してみましょう。
パフォーマンス向上につなげる考え方
さて、GPRとGPAの意味を理解し、どのようにパワー(パフォーマンス)に影響しているかを理解したのなら、これらを改善または向上させ、さらなるパフォーマンス向上につながるアプローチを考える必要があります。
細かいことを考えるとキリがないので、こちらの記事では以下の考え方を参考にしていただければと考えております。
● GPAを対するアプローチ
GPA (抵抗) を下げ、 GPRを活かすことを考えなくてはいけません。そもそも、GPAが高い理由として、適切な動作を行う感覚が体の引き出しとしてない可能性があるため、SFRや片足ペダリングを中心としたドリルなどをワークアウトに加えて、下死点を綺麗に通過させるたり足を引き上げる感覚を得る必要があると考えられます。それ以外にも、その動作が行えない理由が筋力や柔軟性不足だったり、ポジションが最適化されていないなどの理由が考えられます。
● GPRに対するアプローチ
純粋にGPR(踏み込む力)を向上させるためには、自転車上でのワークアウトから代謝機能の向上を行うのはもちろんですが、基本的な筋力が足りていないケースもあるため、継続的にストレングストレーニング(いわゆる筋トレ)を行い、最大筋力を高める必要があると考えられます。
プロ選手のSFR
GPA を改善するためのアプローチの一つに、SFR(Slow Frequency Revolutioncs)というトレーニングがあります。
このSFRですが、上記のようなアプローチ以外にも
✔︎ トルクの入力方向および入力ポイントを確認する
✔︎ 使用したい筋群の発火頻度を高める
などの様々な意味合いがあるのですが、私が指導する際には “バイクを効率よく進める感覚を引き出すため” にL4領域をターゲットとした出力でW-UPに取り入れることが多いです。
実際に、国内プロ選手がW-UPとしてSFRを実施した際のGross Power Review Chart を載せておきます。
図のように、GPAが0になるようにしつつ、適切なトルクの入力ポイントを捉えての “最適化された動作” を引き出した上で、インターバルトレーニングや基本的なサイクリングを行うことで、自転車を進めるためのパフォーマンスを最大限引き出し、効率的かつ効果的なトレーニングを行えるのではないかなと考えています。
限られた時間を最大限致すためにも、数値の裏側に隠されたメカニズムを理解した上で、自身に必要なトレーニングを行っていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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