ロードバイクでパワーを落とさずに減量する方法|減量ペース・たんぱく質・練習のポイント

ロードバイクでパワーを落とさずに減量する方法

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

ヒルクライムのために体重を落としたいのですが、減量するとパワーまで落ちてしまいます。

どうすればパワーを維持したまま減量できますか?

パワーを落とさずに減量するポイントは、①ゆっくりしたペースで落とす(1週間に体重の0.5〜0.7%程度)、②たんぱく質をしっかり摂る、③筋トレを続けるの3つです。急激な減量は、脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまい、パワーが下がる原因になります。

この記事では、ロードバイクで減量するときの考え方、減量のペース、食事のポイント、注意点を、研究をもとに解説します。

目次

なぜ減量するとパワーが落ちるのか

ヒルクライムなどでは、体重あたりのパワー(パワーウエイトレシオ:W/kg)が速さを左右します。体重を落とせばW/kgは上がりますが、同時にパワー(W)も下がってしまえば意味がありません。

パワー体重W/kg
減量前250W70kg3.57
上手な減量250W(維持)67kg3.73
失敗した減量235W(低下)67kg3.51

減量でパワーが落ちる主な原因は、筋肉量の減少とエネルギー不足による練習の質の低下です。急激に食事を減らすと、体は筋肉も分解してエネルギーにしてしまいます。

研究からわかる、パワーを落とさない減量のポイント

① 減量のペースは「1週間に体重の0.7%」

トップレベルの選手24名を対象にした研究では、筋トレを続けながら、1週間に体重の0.7%ずつ落とすグループと1.4%ずつ落とすグループに分けて減量しました。

ゆっくり(0.7%/週)速い(1.4%/週)
減量期間約8.5週間約5.3週間
摂取エネルギーの削減約19%約30%
体重の減少約5.6%約5.5%
体脂肪の減少約31%約21%
筋肉量(除脂肪量)約2.1%増加変化なし

同じくらい体重が減っても、ゆっくり落としたグループのほうが脂肪が多く落ち、筋肉量はむしろ増えました。時間はかかりますが、パワーを維持したいなら、ゆっくり落とすほうが有利です。

② たんぱく質は体重1kgあたり1.6〜2.4g

減量中のたんぱく質の摂り方をまとめたレビューでは、筋肉を保ちながら脂肪を落とすために、たんぱく質を体重1kgあたり1.6〜2.4g/日摂ることが勧められています。一般的な推奨量(0.8g/kg)の2〜3倍です。また、1日の中で何回かに分けて摂ることも大切だとされています。

体重1日のたんぱく質の目安(1.6〜2.4g/kg)
55kg88〜132g
65kg104〜156g
75kg120〜180g

③ エネルギー不足のしすぎに注意

国際オリンピック委員会(IOC)の共同声明では、運動量に対して食事のエネルギーが足りない状態が続くと、パフォーマンスと健康の両方に悪影響が出る(REDs:スポーツにおける相対的エネルギー不足)とされています。疲れが抜けない、練習の質が落ちる、ケガや体調不良が増える、といった場合は、エネルギー不足のサインかもしれません。

ポイント
  • 減量は1週間に体重の0.5〜0.7%程度のゆっくりしたペースで
  • たんぱく質は体重1kgあたり1.6〜2.4g/日を、何回かに分けて摂る
  • 食事を減らしすぎない。エネルギー不足は健康とパワーの両方を損なう

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減量中の練習と食事のポイント

練習|筋トレを続ける

先ほどの研究でも、減量中に筋トレを続けていました。筋トレは、減量中に筋肉を保つための大切な刺激になります。サイクリストに筋トレが必要な理由と方法は、こちらの記事で解説しています。

食事|練習の内容に合わせて調整する

  • 高強度の練習やロングライドの日:炭水化物をしっかり摂り、練習の質を保つ
  • 休養日や軽い練習の日:炭水化物を控えめにし、たんぱく質と野菜を中心にする
  • 練習後:たんぱく質と炭水化物を摂り、回復を促す
  • ライド中:長時間のライドでは補給を欠かさない(減量のために補給を抜くと、練習の質が落ちる)

目標体重とタイミングを決める

目標のレースから逆算して、無理のないペースで減量期間を決めましょう。レース直前に急いで落とすと、パワーが落ちたままレースを迎えることになります。減量は、レースから離れた時期(ベース期など)に行うのがおすすめです。

成長期の子どもや10代の選手は、成長のためにエネルギーが必要です。体重を落とすための食事制限は行わず、必要な場合は医師や管理栄養士に相談してください。また、体重や食事のことが頭から離れない、食べることに強い不安を感じる、といった場合も、ひとりで抱え込まずに専門家に相談しましょう。

よくある質問

Q. ロードバイクでパワーを落とさずに減量するにはどうすればいいですか?

ポイントは3つです。①1週間に体重の0.5〜0.7%程度のゆっくりしたペースで落とす、②たんぱく質を体重1kgあたり1.6〜2.4g摂る、③筋トレを続ける。急激な減量は、筋肉が落ちてパワーも下がりやすくなります。

Q. 1か月に何kgまで落としていいですか?

体重70kgの方なら、1週間に0.35〜0.5kg、1か月で1.5〜2kg程度が目安です。研究では、1週間に体重の0.7%ずつ落としたグループは筋肉量が増えた一方、1.4%ずつ落としたグループは筋肉量が増えませんでした。

Q. 減量中に食べる量をどのくらい減らせばいいですか?

研究でゆっくり落としたグループは、ふだんの摂取エネルギーを約19%減らしていました。大きく減らしすぎると、練習の質や体調に悪影響が出やすくなります。

Q. 減量中でも炭水化物は摂ったほうがいいですか?

高強度の練習やロングライドの日は、炭水化物をしっかり摂りましょう。エネルギーが足りないまま練習を続けると、パフォーマンスや健康に悪影響が出ることが、国際オリンピック委員会の声明でも示されています。

まとめ

パワーを落とさずに減量する方法のまとめ
  • 減量でパワーが落ちる主な原因は、筋肉量の減少とエネルギー不足
  • 1週間に体重の0.7%程度のゆっくりしたペースなら、筋肉を保ちながら脂肪を落としやすい
  • たんぱく質は体重1kgあたり1.6〜2.4g/日を目安に摂る
  • 筋トレを続け、高強度の日は炭水化物をしっかり摂る

減量は、短期間で結果を出そうとするほど失敗しやすいものです。パワーを維持しながら、時間をかけて体を絞っていきましょう。

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参考文献
  • Garthe I, Raastad T, Refsnes PE, Koivisto A, Sundgot-Borgen J. Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011;21(2):97-104. doi:10.1123/ijsnem.21.2.97
  • Hector AJ, Phillips SM. Protein recommendations for weight loss in elite athletes: a focus on body composition and performance. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2018;28(2):170-177. doi:10.1123/ijsnem.2017-0273
  • Mountjoy M, Ackerman KE, Bailey DM, et al. 2023 International Olympic Committee’s (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs). Br J Sports Med. 2023;57(17):1073-1097. doi:10.1136/bjsports-2023-106994
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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