こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君目標のレースに向けて練習していますが、何をいつやればいいのかわかりません。
トレーニング計画はどう立てればいいですか?
トレーニング計画を立てるときに役立つのが、ピリオダイゼーション(期分け)という考え方です。目標のレースに向けて、トレーニングを「1年」「4〜8週間」「1週間」の3つの単位に分けて計画し、時期ごとにテーマを決めて取り組みます。
この記事では、ピリオダイゼーションの考え方と、マクロ・メゾ・ミクロサイクルの立て方、1週間のトレーニングプログラムの具体例を、研究と指導経験をもとに解説します。
ピリオダイゼーション(期分け)とは?
ピリオダイゼーションは、目標を達成するために、時期ごとに分けて組み立てたトレーニング計画のことです。ヒルクライムでもロードレースでも、トライアスロンやマラソンでも、持久系スポーツの計画の立て方の基本は変わりません。
ピリオダイゼーションは、たとえるなら「海を航海するための地図と羅針盤」です。今いる場所から目的地まで、どの道を進めばよいかを確認しながら、迷わずに進むための経路になります。Training Peaksでは、ATP(Annual Training Plan)がこれにあたります。


| 単位 | 期間 | 考えること |
|---|---|---|
| マクロサイクル | 半年〜1年 | 現状の把握と、目標の設定 |
| メゾサイクル | 4〜8週間 | 時期ごとのテーマ(ベース・ビルドなど) |
| ミクロサイクル | 1週間 | ワークアウトの内容と並べ方 |
マクロサイクル|目標を決める
マクロサイクルは、今から目標のレースやイベントまでの期間です。一般的な選手なら半年から1年ほど、オリンピック選手では4年になることもあります。たとえば、ツール・ド・おきなわの市民210kmを目標にするなら、次のようなイメージです。
- 現状:今年の大会で、FTP300Wで50位
- 目標:来年の大会で、FTP320Wで30位
マクロサイクルで大切なのは、具体的な目標を立てることです。目標は「SMARTの法則」にもとづいて立てることをおすすめします。
| 頭文字 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| S | Specific(具体的な) | 目標が具体的か |
| M | Measurable(測定可能な) | 数値で表せるか |
| A | Achievable(実現可能な) | 達成できる目標か |
| R | Relevant(関連した) | 目標を達成することが、目的につながるか |
| T | Time-bound(期限を定めた) | 期限が決まっているか |
上の例ではFTPを目標にしましたが、実際にはパワープロフィールやCTLなど、さまざまな指標が大切です。自分の目的に必要な能力を割り出し、今の自分と目標との差を、できるだけ数字で見える化しましょう。
- 今の自分の能力を把握する
- SMARTの法則にもとづいて、目標を設定する
メゾサイクル|時期ごとのテーマを決める
メゾサイクルは、マクロサイクルの目標を達成するために、時期ごとに何を狙ってトレーニングするかを分けた期間です。基本的には4〜8週間を1つのブロックとして取り組みます。ロードレースを目標にする場合は、次のように分けられます。
| 時期 | テーマ |
|---|---|
| ベース(Base) | 基礎的な持久力と、技術を身につける |
| ビルド(Build) | レースに必要な能力を高める |
| ピーク(Peak) | レースに向けて刺激を入れる |
| レース(Race) | レースに向けた最終仕上げ |
| 移行期(Transition) | 休息し、次のシーズンに備える |
次の時期に移るときは、目標としていた数値に届いたかを必ず確認しましょう。届いていれば目標を上方修正し、届いていなければ下方修正します。そのうえで、次の時期に進むのか、同じ時期を続けるのかを冷静に判断することが大切です。
- バランスよく時期を設定する
- 次の時期に移るときに、必ずフィットネスをチェックする
研究からわかる、ピリオダイゼーションの考え方
① 決まった「正解の型」はない
ピリオダイゼーションの理論をまとめたレビューでは、従来の期分けモデルの中には、科学的な根拠よりも伝統や慣習にもとづいている部分があると指摘されています。トレーニングへの反応は人によって大きく異なるため、決まった型に当てはめるのではなく、選手の反応を見ながら柔軟に調整する計画が勧められています。
ワークアウトそのものについての研究は多くありますが、期分けの方法についての研究は多くありません。そのため、さまざまな研究の知見と指導経験をつなぎ合わせ、一人ひとりに合わせて組み立てることが大切だと考えています。
② テーマを絞った「ブロック」が効果的な場合も
従来の期分けは、多くの能力を同時に高める方法が中心でした。これに対して、1つの時期に少ない能力に絞って集中的に鍛える「ブロックピリオダイゼーション」という考え方があります。
トレーニングを積んだ自転車選手を対象にした研究では、1週目に高強度インターバルを5回集中して行い、残りの3週間は週1回にしたグループと、4週間ずっと週2回行ったグループを比べました。練習の量と強度は同じでしたが、集中して行ったグループだけが、最大酸素摂取量を4.6%、最大パワーを2.1%高めました。
つまり、同じ練習でも「どう並べるか」で効果が変わる可能性があるということです。これが、次のミクロサイクル(1週間の並べ方)にもつながります。
- 期分けに「唯一の正解」はなく、自分の反応を見ながら調整する
- テーマを絞って集中的に取り組むと、効果が高まる場合がある
- 同じ練習量でも、並べ方で効果が変わる
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大人クラスを見る →ミクロサイクル|1週間のトレーニングプログラム例
ミクロサイクルは、メゾサイクルの中の1週間をどのように進めるかを考えたプログラムです。時期によって取り組むワークアウトは変わりますが、大きく分けると「フィットネスを高めるトレーニング」と「高めたフィットネスをレースに合わせるトレーニング」の2つです。
ここでは、次の条件に当てはまる方に向けて、ビルド期の1週間のトレーニングプログラムを紹介します。
- CTLが60〜80程度(週8〜12時間運動できる)
- 平日に60〜90分ほど運動できる(週3回)
- 土日に2〜3時間ほど運動できる
- トレーニング方法が定まっていない


| 曜日 | ワークアウト | 内容 |
|---|---|---|
| 月 | 完全休養日 | 疲労を抜く |
| 火 | Z5またはZ6インターバル(苦手な方) | Z5:5分高強度+5分休息×3セット、10分休んでもう1回/Z6:1分高強度+3分休息×5セット、20分休んでもう1回 |
| 水 | Z5またはZ6インターバル(得意な方) | 火曜日と同じメニューで、得意な方を行う |
| 木 | 筋トレ → Z3(テンポ走) | 筋トレの後に、気持ちよく回せる強度で動きを整える |
| 金 | Z1または完全休養日 | 疲労を抜く。3本ローラーで技術練習もおすすめ |
| 土 | Z3.5(スイートスポット)+Z6インターバル | レース後半に力を発揮することをテーマにする |
| 日 | Z2〜3(グループ走)+Z7スプリント → 筋トレ | 集団走行やスプリントなど、レースの技術を練習する |
この並べ方にした理由
- 火曜日の疲れが少ない状態で苦手なワークアウトを行い、達成率を上げる
- 水曜日に得意なワークアウトを行い、心理的な余裕を持って取り組む
- 木曜日は、筋トレの後にZ3で回すことで動きの改善につなげる(筋トレをしない場合は、スイートスポットやLTのインターバルでもよい)
- 金曜日に一度疲労を抜き、週末のワークアウトの質を保つ
苦手な領域は、Training Peaksのパワープロフィールから判断するとよいでしょう。土曜日は、30分のスイートスポットの前に2分の高強度を入れる、2分の高強度を3セット行ってから30分のスイートスポットを行い、それを2サイクル繰り返す、などの組み方もあります。2時間以下のロードレースやエンデューロに向いたメニューです。
日曜日は、集団走行やスプリントの練習にあてます。日本の道路交通法では並んで走る並列走行はできませんが、縦一列での走行はできます。前後の間隔を意識して走ったり、上り坂でアタックしたりと、レースで必要な技術を練習しましょう。筋トレは、ジムに行かない方を想定して自重のメニューにしています。
並べ方で気をつけること
ミクロサイクルで大切なのは、ワークアウトの並べ方(配列)です。たとえば、上の例で木曜日をZ3からZ4に上げてしまうと、金曜日の休養で回復が間に合わず、土曜日のワークアウトに悪い影響が出る可能性があります。
また、CTLが70の方が土曜日に300TSSを超えるような練習をすると、日曜日だけでなく、翌週の火曜日や水曜日のワークアウトにも影響が出ることがあります。自分がどれくらいのTSB(マイナス)まで耐えられるのかを確認しながら進めましょう。
- 基礎をつくる時期(ベース・ビルド)は、科学的根拠のあるワークアウトを中心にする
- レースが近い時期(ビルド〜レース)は、目標のレースに合わせたワークアウトを行う
- TSBを確認しながら、前後の日への影響を考えて並べる
冬から春のレースまでの12週間プラン例
ここからは、ピリオダイゼーションの考え方を使って、12月から2月までの12週間で春のレースに向けて仕上げるプラン例を紹介します。前半はベース(土台づくり)、中盤はスイートスポット・閾値、後半はVO2maxとレースに近い練習という流れです。
ポイントは、3〜4週に1回は回復週を入れることと、節目でFTPテストを行い、強度の基準を更新することです。冬の過ごし方全体については「ロードバイクのオフシーズンの過ごし方」もあわせてご覧ください。
12週間のプラン例(週6〜8時間の方の場合)
| 週 | テーマ | 主なメニュー | 週の時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1週(12月上旬) | 導入・FTPテスト | FTPテスト、Z2(会話できる強度)60〜90分、筋トレ2回 | 5〜6時間 |
| 2週 | ベース | Z2中心、ケイデンスドリル、筋トレ2回 | 6〜7時間 |
| 3週 | ベース | Z2ロング、テンポ20〜30分、筋トレ2回 | 7〜8時間 |
| 4週 | 回復週 | 量を半分程度に、Z1〜Z2のみ、筋トレ1回 | 3〜4時間 |
| 5週(1月上旬) | スイートスポット | SST 2×20分を週2回、Z2、筋トレ2回 | 6〜7時間 |
| 6週 | スイートスポット・閾値 | SST 3×15分、閾値 2×12分、筋トレ2回 | 7〜8時間 |
| 7週 | 閾値 | 閾値 3×10分、Z2ロング、筋トレ1〜2回 | 7〜8時間 |
| 8週 | 回復週・FTPテスト | 前半は軽め、週末にFTPテストで基準を更新 | 4〜5時間 |
| 9週(2月上旬) | VO2max | VO2max 5×4分、Z2、筋トレ1回(維持) | 7〜8時間 |
| 10週 | VO2max・レース特異 | 30秒/30秒インターバル、レースを想定した長めの練習 | 7〜8時間 |
| 11週 | レース特異 | レースのペースを再現する練習、スプリント・登りの反復 | 6〜7時間 |
| 12週 | テーパー(調整) | 量を4割ほど減らし、短い刺激(オープナー)だけ残す | 4〜5時間 |
時間はあくまで目安です。平日はローラー、週末は外という方が多いと思いますので、平日の具体的なメニューは「冬のローラー練習メニュー」、中盤の中心になるSSTは「スイートスポットトレーニング」を参考にしてください。
筋トレとFTPテストの置き方
- 筋トレ:12月〜1月は週2回でしっかり行い、2月からは週1回の維持に切り替えます。高強度インターバルの前日には重い筋トレを入れないようにします。
- FTPテスト:1週目と8週目に行い、ゾーンを更新します。回復週の終わりに行うと、疲れが抜けた状態で測りやすくなります。
- 回復週:量を減らしても、短い刺激は少し残しておくと体のキレを保ちやすくなります。
研究からみた12週間の組み立て方
12週間の準備期で比べた研究では、4週に1回、高強度インターバルを集中して行う「ブロック型」のグループで、VO2maxの向上が従来型より大きかったと報告されています(8.8% 対 3.7%)[Rønnestad et al., 2014]。
一方で、負荷をそろえた12週間のブロック型と従来型を比べた研究では、タイムトライアルの成績に差はなく、どちらのグループも5分・40分のパワーが向上したと報告されています[Almquist et al., 2022]。
つまり、ブロック型か従来型かという「形」よりも、少しずつ負荷を上げ、回復週をはさみながら12週間続けることが大切だと考えられます。なお、ORCA CYCLING SCHOOLのオンラインコーチングでは、こうした12週間の計画を一人ひとりの予定に合わせて作成しています。
よくある質問
Q. ピリオダイゼーションとは何ですか?
目標とするレースやイベントに向けて、トレーニングを時期ごとに分けて計画する方法です。半年〜1年単位の「マクロサイクル」、4〜8週間単位の「メゾサイクル」、1週間単位の「ミクロサイクル」の3つに分けて考えます。
Q. ロードバイクのトレーニング計画はどう立てればいいですか?
まず今の自分の能力(FTPやパワープロフィール)を把握し、SMARTの法則で具体的な目標を決めます。次に、ベース・ビルド・ピーク・レース・移行期と時期を分け、各時期のテーマに合わせて1週間のメニューを組み立てます。
Q. ブロックピリオダイゼーションとは何ですか?
1つの時期に、少ない能力に絞って集中的に練習する方法です。研究では、1週目に高強度インターバルを5回集中して行い、その後3週間は週1回にした自転車選手のほうが、4週間ずっと週2回行った選手よりも、最大酸素摂取量などが向上しました。
Q. 1週間のメニューで気をつけることは何ですか?
ワークアウトの「並べ方」です。疲労が少ない日に苦手な高強度を入れる、高強度の翌日は強度を下げる、週の中で休養日をつくるなど、前後の日への影響を考えて並べましょう。TSB(疲労の目安)も確認しながら調整します。
Q. 12週間プランの途中で体調を崩したり、練習できない週があったりしたらどうすればいいですか?
1週間程度の中断であれば、無理に取り戻そうとせず、次の週を回復週のような軽めの内容にしてから元の流れに戻すのがおすすめです。休んだ分を詰め込むと疲労がたまりやすくなります。2週間以上空いた場合は、FTPテストで基準を確認してから再開すると安全です。
まとめ
- ピリオダイゼーションは、目標に向けてトレーニングを時期ごとに分けて計画する方法
- マクロ(半年〜1年)で目標を決め、メゾ(4〜8週間)で時期のテーマを決め、ミクロ(1週間)でメニューを組む
- 期分けに唯一の正解はなく、自分の反応を見ながら柔軟に調整する
- 1週間のメニューは、前後の日への影響を考えて並べ方を決める
自分が何をして、どう成長したのかを細かく把握できると、次の計画に生かせるだけでなく、モチベーションの維持にもつながります。目標の設定は冷静かつ慎重に、トレーニングは計画にもとづいて大胆に取り組みましょう。
- Kiely J. Periodization paradigms in the 21st century: evidence-led or tradition-driven? Int J Sports Physiol Perform. 2012;7(3):242-250. doi:10.1123/ijspp.7.3.242
- Issurin VB. New horizons for the methodology and physiology of training periodization. Sports Med. 2010;40(3):189-206. doi:10.2165/11319770-000000000-00000
- Rønnestad BR, Hansen J, Ellefsen S. Block periodization of high-intensity aerobic intervals provides superior training effects in trained cyclists. Scand J Med Sci Sports. 2014;24(1):34-42. doi:10.1111/j.1600-0838.2012.01485.x
- Rønnestad BR, Ellefsen S, Nygaard H, et al. Effects of 12 weeks of block periodization on performance and performance indices in well-trained cyclists. Scand J Med Sci Sports. 2014;24(2):327-335. doi:10.1111/sms.12016
- Almquist NW, Eriksen HB, Wilhelmsen M, et al. No Differences Between 12 Weeks of Block- vs. Traditional-Periodized Training in Performance Adaptations in Trained Cyclists. Front Physiol. 2022;13:837634. doi:10.3389/fphys.2022.837634








