ロードバイクで熱中症にならない水分補給をしよう

こんにちは。

自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。

こちらの記事では、ロードバイクの栄養補給について解説しています。

ととまる
ととまる

ロードバイクでの水分補給について質問です。

 

どんなことに気を付ける必要がありますか?

以上のような、トレーニングの基本的な流れについてお答えします。

✔︎ この記事の内容
・ トレーニング を始める前の注意事項
・ トレーニング をレベル別に考える
・ トレーニング を進めていく方法
目次

水分補給と熱中症

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近年、日本国内では5月上旬から25度を超え始め、中には30度近くまで気温が上昇する日も出てきます。それに伴いサイクリング時の発汗量が増え、肌が日差しに焼かれるような感覚から、いよいよ夏の訪れを感じることでしょう。

そういう時こそ気をつけなくてはいけないのが、熱中症です。ここで、熱中症とはどのような症状かを確認してみましょう。

⚫︎ 熱中症とは?
体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のことです。
>> 「熱中症について」公益社団法人 全日本病院協会 より引用

環境省が運営する熱中症予防情報サイトによると、条件(WBGT / Wet Bulb Globe Temperature)にもよりますが、運動している人の場合は外気温24℃以上から脱水症状に伴う熱中症にかかるケースが増えてきます。

そんなヒトの体は、ある一定の体温以上に達するとパフォーマンスが低下し始めるだけでなく、人体の機能に異常を来すこともあります。「ある一定以上の体温」は具体的に何度なのか?という明確な記述はありませんが、近年流行りの深部体温(直腸温など)を活用した指導をおこなっていると、一般的には38.5度を超えたあたりから、アスリートであれば39度を超えたあたりから低下しているように感じています。

ヒトの体温と水分は大きく関係しており、体重の2%程度までの脱水は著しい体温上昇の心配はありませんが、それ以降、1%の脱水につき直腸温の約0.3℃の上昇と、心拍数の約10拍 / 分の増加が引き起こされると考えられているため、レースでパフォーマンスを出し続けるためにも、快適にサイクリングをするためにも、水分補給が重要です。

水分補給とパフォーマンス

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人のカラダは成人では約60%が体液で占められていますが、体重の2%以上の水分が失われると、持久的運動のパフォーマンスが低下すると言われています(1.2)。3〜5%の水分が失われると発汗機能が低下し始めて体温調節などの機能が狂い始め、6〜10%失われるとそれらがさらに進み、熱中症になるリスクが高くなると言われています(3)。上記の症状に当てはまれば、脱水症状と考えられるので、こまめに水分補給をする必要があるでしょう。

また、熱中症といえる体温は不明ですが、パフォーマンスという観点からの体温に関する情報があります。当記事を読んでくださっているサイクリストであれば、おそらく多くの人が読んだことあるだろうアレックス=ハッチンソン氏の”ENDURANCE : 限界は何が決めるのか?”にも書かれていますが、サイクリストを対象とした運動時の体温調査によると、40.1〜40.2℃が運動時の臨界点とではないかと書かれていたのを記憶しています。よって、深部体温がそれぐらいになると、パフォーマンスを発揮することができなくなるのでしょう。
※著書によると、デンマークのコペンハーゲン/アウグスト=クローグ研究所の発表らしいのですが、論文を探しても見当たらなかったのでまた見つかったら読んで”どのレベルのサイクリストか”を追記してみます。

深部体温とパフォーマンス

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しかし、中にはこんな面白い論文を見つけました。

2016年、ドーハ(カタール)にて開催された世界選手権自転車競技大会のロードレースおよびタイムトライアルに参加した男女40人の選手(中にメダルを獲得した選手も複数います)の体温を測定した結果、34人が39℃に達し、そのうちの10名が40℃を超える体温で競技を行なってることがわかりました(気候条件は気温36.9±2.8℃ / 湿度24.6±15.6%)。(4)

また、RRよりもTT実施時の方が平均して体温が高く、TTでは最高体温では41.5℃という数値を叩き出す選手もいました。本来であれば、上記の環境下でこのような体温は熱中症になるレベルであるのですが、被験者となった選手たちの中には病院に運ばれた選手がいなかったという報告があります。こうしてみると、世界のトップ選手をカラダは本当に丈夫なんだということが理解できます。
※42℃を超えると体を構成するタンパク質の熱凝固が始まり、生命の危機が脅かされるので、本当に危険。ちなみに私はデング熱で41℃超えを2日間ほど経験し、死にかけた記憶があります。

上記のプロサイクリスト達のように、ヒトとしてのカラダの強さに自信がない場合(世の中の90%くらいは強くはないかと思われます)、スポーツパフォーマンスを低下させないためにも、健康的にサイクリングを楽しためにも、適切な水分摂取を心がけ、体水分量の維持・深部体温の上昇を抑える必要だということが言えます。その他にも、気をつけるのは水分摂取量だけでなく、ナトリウム不足にともなう筋肉の痙攣などもあるため、適度な栄養補給も必要になってきます。

水分補給の方法について

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水分補給の目安をお伝えします。

⚫︎ オススメの飲み物
糖質 : 3~8g / 100ml
ナトリウム : 40〜80mg / 100ml
例 : アクエリアス・ポカリスエットなどが最適です。

以上のように、糖質が入った飲料の吸収速度は、水分温度が低いほど早いとされていますので、常に冷えたドリンクを補給しましょう。※ 夏の時期にコンビニで販売されている「凍ったアクエリアス」などもいいと思います。

また、夏の時期のサイクリングは、1時間あたりに500-1000mlの水分補給を推奨されておりますが、500ml の糖質飲料を一気に摂取したときの体内への吸収量を調べた研究では、飲水から15分で200 ~ 250ml 程度の飲料が吸収されずに胃内に残っていたことが報告されていますので、こまめに摂取するようにしましょう。

こうした状態は、運動初心者であればあるほど起こりやすいと思われます。

その理由として、水分摂取や栄養補給の方法やタイミングが分からずに、気がつかないうちに脱水症状やエネルギー不足になることもあります。また、年齢を重ねると共に水分摂取量の低下もあるようですので、運動初心者だけでなく全年齢、どのレベルに対しても言えることができますので、本格的な夏を迎える前のこの段階で、しっかりと確認しておきましょう。

あとがき

この記事を読んでくださった方の中には、夏の暑い中でもパフォーマンスを落とさない方法って他にはないのかと思われる方も多いと思いますので、様々な方法を紹介した記事を別で紹介したいと思います。その為の基礎知識としてこの記事を読んでいただければと思い、書きました。

出典

(1)American College of Sports Medicine position stand. Exercise and fluid replacement.
(2)Effects of 2% Dehydration on Lactate Concentration During Constant-Load Cycling.
(3)American College of Sports Medicine position stand. Exertional heat illness during training and competition.
(4)Core Temperature Up to 41.5ºC During the UCI Road Cycling World Championships in the Heat

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この記事を書いた人

愛知県名古屋市のロードバイクスクール。

小学生から大人まで幅広く指導しております。

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