パワートレーニングの用語一覧|FTP・NP・IF・TSS・CTLの意味と計算式

パワートレーニングの用語一覧|FTP・NP・IF・TSS・CTLの意味と計算式

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

パワートレーニングを始めようと思っています。

FTPやNP、IFなど、よく使われる用語の意味を教えてください。

パワートレーニングでよく使う用語は、大きく「1回の練習の強さを表す指標」(FTP・NP・IF・VIなど)と、「体力や疲労の管理に使う指標」(TSS・CTL・ATL・TSB)の2つに分けられます。まずは下の一覧で全体をつかみ、気になる用語の解説を読んでみてください。

この記事では、Training Peaksで使われる表記をもとに、それぞれの意味と計算式、使い方を解説します。Training Peaksの使い方はTraining Peaksの使い方|料金・初期設定で解説しています。

目次

パワートレーニングの用語一覧

用語正式名称ひとことで言うと
FTPFunctional Threshold Power走り続けられる上限のパワー。すべての基準
W/kgWatts per kilogram体重1kgあたりのパワー
MMPMean Maximal Power時間ごとの自己ベストの平均パワー
NPNormalized Powerパワーの上下を考えた「体にかかる負担に近い平均パワー」
VIVariability Indexパワーのばらつき(NP ÷ 平均パワー)
IFIntensity Factor練習の強度(NP ÷ FTP)
TSSTraining Stress Score1回の練習の負荷
CTLChronic Training Load約42日間の負荷の積み重ね=体力
ATLAcute Training Load約7日間の負荷=疲労
TSBTraining Stress BalanceCTL − ATL=調子

1回の練習の強さを表す指標

FTP(Functional Threshold Power)

FTPは疲れがたまらずにほぼ一定の状態で走り続けられる上限のパワーで、パワートレーニングのあらゆる数値の基準になります。Training Peaksでは「1時間ほど出し続けられるパワー」と説明されていますが、実際にFTPで走り続けられる時間は人によって30〜60分ほどと幅があります(Sitko et al., 2022)。練習の強度やコンディション管理、疲れ具合の把握に使うので、パワートレーニングを始めるときに必ず測りましょう。

計算式

20分テスト:FTP = 20分間全力走の平均パワー × 0.95

詳しい測り方と目安はFTPとは?目安・測り方とTTEで解説しています。

PPO(Peak Power Output)

PPOは、段階的に負荷を上げていくテスト(ランプアップテスト)で出せた最大のパワーです。たとえば、100Wから始めて3分ごとに40Wずつ上げていく方法では、次の式で求めます。

計算式

PPO = 最後までやり切った段階のパワー(W final)+(最終段階で走れた秒数 ÷ 180)× 40

W/kg(パワーウェイトレシオ)

パワーを体重で割った値です。体格が違う人どうしでも比べやすく、特に登りの速さに大きく関わります。体重60kgでFTP200Wなら約3.3W/kgです。

MMP(Mean Maximal Power)

5秒・1分・5分・20分など、時間ごとの自己ベストの平均パワーです。MMPを並べたものはパワープロファイルと呼ばれ、スプリントが得意か、長い登りが得意かといった「脚質」が分かります(Pinot・Grappe, 2011)。Training Peaksでの確認方法はパワープロフィールの設定・活用方法で解説しています。

NP(Normalized Power:ノーマライズドパワー)

NPは、パワーの上下を考えて、体にかかる負担に近づけた平均パワーです。地形や風、インターバルなどでパワーが大きく上下すると、ただの平均パワーでは体への負担を正しく表せません。そこで、強い時間ほど重く計算されるように工夫されています(Jobson et al., 2009)。

NPの計算方法
  1. 30秒間の移動平均パワーを1秒ごとに計算する
  2. その値をそれぞれ4乗し、平均する
  3. その平均の4乗根を求める

たとえば、500Wで30秒・100Wで30秒をくり返すインターバルを10分間行うと、平均パワーは300Wですが、NPは約350Wになります。つまり、一定の350Wで10分間走ったときと同じくらいの負担が体にかかっている、と考えられます。

タイムトライアルやヒルクライムのように一定のペースで走る場合は、NPと平均パワーにあまり差は出ません。一方、30秒より短い全力走をくり返す練習(SIT)や、トラック競技のような練習では、NPが体への負担を正しく表せないこともあるので注意しましょう。

VI(Variability Index)

計算式

VI = NP ÷ 平均パワー

VIは、パワーがどれだけ上下したかを表します。VIを見ると、目的どおりの練習ができたかを確認できます。

VI練習・レースの例
1.05以下ヒルクライム・タイムトライアルなど、一定のペース
1.05〜1.10ロングライド・エンデュランス走など
1.10以上クリテリウム・ロードレースなど、ペースの上下が大きい

IF(Intensity Factor:強度係数)

計算式

IF = NP ÷ FTP

IFは、FTPで走り続けたときを1.0として、その練習の強度を表した数値です。VIとあわせて見ると、行った練習が目的に合っていたかを確認できます。

IF強度の目安
0.75以下回復走
0.75〜0.85エンデュランス走
0.85〜0.95テンポ走・SST
0.95〜1.05閾値走・40kmTT・ロードレース
1.05〜1.1515kmほどのTT・ポイントレース(トラック)
1.15以上短いTT(プロローグなど)

パワーゾーン

FTPをもとに、練習の強度を7つに分けたものです。メニューを組むときや、練習の配分を振り返るときに使います。

ゾーンFTPに対する強度主な目的
ゾーン1(回復)55%以下回復
ゾーン2(エンデュランス)56〜75%持久力の土台づくり
ゾーン3(テンポ)76〜90%持久力の向上
ゾーン4(閾値)91〜105%FTPの向上
ゾーン5(VO2max)106〜120%最大酸素摂取量の向上
ゾーン6(無酸素)121〜150%1〜3分ほどの高強度
ゾーン7(神経筋)最大スプリント

SST(スイートスポット)は、ゾーン3の上のほうからゾーン4の下のほうにまたがる強度です。詳しくはSSTとは?強度・やり方・頻度をご覧ください。

体力や疲労の管理に使う指標

TSS(Training Stress Score)

計算式

TSS =(秒数 × NP × IF)÷(FTP × 3,600)× 100
簡単な式:TSS = 時間(h)× IF² × 100

TSSは、練習の強度と時間から、1回の練習の負荷を数値にしたものです。FTPで1時間走るとTSS100になります。詳しくはTSSとは?計算方法と1週間の目安で解説しています。

CTL(Chronic Training Load)

計算式

今日のCTL = 昨日のCTL +(今日のTSS − 昨日のCTL)× 1/42

CTLは、約42日間にわたって積み重ねてきたTSSを表したもので、Fitness(体力)と表示されます。おおよそ「1日あたりの平均TSS」と考えると分かりやすく、CTL × 7 が1週間のTSSの目安になります。詳しくはCTLとは?目安と上げ方をご覧ください。

ATL(Acute Training Load)

計算式

今日のATL = 昨日のATL +(今日のTSS − 昨日のATL)× 1/7

ATLは、約7日間の練習の影響を表したもので、Fatigue(疲労)と表示されます。CTLより短い期間で計算されるので、練習すると大きく上がり、休むと早く下がります。

TSB(Training Stress Balance)

計算式

TSB = 昨日のCTL − 昨日のATL

TSBは、今の調子(Form)を表す指標です。普段の練習では−30〜+10、いちばん大事なレースの日は−5〜+10ほどが目安です。詳しくはTSBとは?目安とレース前の調整方法で解説しています。CTL・ATL・TSBの動きは、Training PeaksのPMCで確認できます。

ONLINE COACHING

負荷の上げ方を、データを見ながら一緒に決めませんか

ORCAのオンラインコーチングでは、TrainingPeaksとWKOで練習データを確認しながら、今のあなたに合ったメニューと負荷の上げ方を調整します。

オンラインコーチングの詳細を見る →

よくある質問

Q. ロードバイクのIFとは何ですか?

IF(Intensity Factor:強度係数)は、NP(ノーマライズドパワー)をFTPで割った値で、練習の強度を表します。FTPで走り続けたときが1.0で、回復走は0.75以下、エンデュランス走は0.75〜0.85、ロードレースは0.95〜1.05ほどが目安です。

Q. NPと平均パワーの違いは何ですか?

平均パワーは単純な平均ですが、NPはパワーの上下を考えて、強い時間ほど重く計算した平均パワーです。インターバルやロードレースのようにパワーが上下する練習では、NPのほうが体にかかる負担に近い値になります。

Q. VIはどのくらいが目安ですか?

VIはNP ÷ 平均パワーで、ヒルクライムやタイムトライアルのように一定のペースなら1.05以下、クリテリウムやロードレースのようにペースが上下する場合は1.10以上になることが多いです。

Q. パワートレーニングはどの用語から覚えればいいですか?

まずはFTPです。パワーゾーン・IF・TSS・CTLなど、ほとんどの指標がFTPをもとに計算されるからです。次に、1回の練習を振り返るためのNPとIF、体力と疲労を管理するためのTSS・CTL・TSBを覚えましょう。

まとめ

パワートレーニングの用語のまとめ
  • すべての基準はFTP:FTPがずれると、ほかの数値もすべてずれる
  • 1回の練習の強さ:NP(体への負担に近い平均)・IF(強度)・VI(ばらつき)
  • 体力と疲労の管理:TSS(1回の負荷)・CTL(体力)・ATL(疲労)・TSB(調子)
  • パワーゾーン:FTPをもとに強度を7つに分けて、練習を組み立てる

この記事で紹介した用語は、パワートレーニングの基本です。ほかにも専門的な考え方はたくさんありますが、まずはここで紹介した用語を理解して、毎日の練習の振り返りに使ってみてください。

ONLINE COACHING

パワートレーニングの
オンラインコーチング

練習データをもとに、毎週のメニューと負荷の上げ方をコーチが調整します。全国どこからでも受講でき、2週間の体験(6,600円)から始められます。

参考文献
  • Jobson SA, et al. The analysis and utilization of cycling training data. Sports Med. 2009;39(10):833-44. doi:10.2165/11317840-000000000-00000
  • Sitko S, Cirer-Sastre R, López-Laval I. Time to exhaustion at estimated functional threshold power in road cyclists of different performance levels. J Sci Med Sport. 2022;25(9):783-786. doi:10.1016/j.jsams.2022.06.007
  • Pinot J, Grappe F. The record power profile to assess performance in elite cyclists. Int J Sports Med. 2011;32(11):839-44. doi:10.1055/s-0031-1279773
  • Sanders D, et al. Methods of Monitoring Training Load and Their Relationships to Changes in Fitness and Performance in Competitive Road Cyclists. Int J Sports Physiol Perform. 2017;12(5):668-675. doi:10.1123/ijspp.2016-0454
  • Allen H, Coggan A. Training and Racing with a Power Meter. VeloPress.
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

目次