こんにちは。
名古屋のロードバイクスクール 「 ORCA CYCLING SCHOOL 」の伊藤です。
こちらの記事では、ロードバイクのトレーニングについて解説していきます。
CTL について悩んでいます。
CTL の目標 (目安) について教えてください。
以上のような、CTL に対するお悩みについてにお答えします。
・ CTL の意味と計算方法
・ CTL の目安
・ CTL に基づいた1週間のトレーニング
当スクールでは、パワートレーニングに Training Peaks を利用することをおすすめしています。
Training Peaks を利用する最大のメリットは、パワーデータを細かく分析することができること、トレーニングの進捗が明確に理解できることです。
CTL を活用する場合は、Training Peaks の PMC ( Performance Management Chart ) を活用しましょう。
CTL とは
CTL : Chronic Training Load は、長期間(42日間程度)にわたって積み重ねてきたTSSを数値化したもので、体力(fitness)として表現されることが多いです。
そのため、CTLの値が高い = 体力(fitness)レベルが高いと考える方がいますが、あくまでも自身の目的目標に対して、必要となるパフォーマンスを高めるためのトレーニングを積み重ねた結果であるため、高いパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
実際、CTLが高くても勝てない選手はいますし、反対にCTLが低くても勝てる選手もいます。根幹となるパワーが高く、なおかつレースを走行する技術が高ければ勝てる可能性が高くなります。CTLだけでなく、パワープロフィールや戦術・戦略など、技術的なことも踏まえながらトレーニングしましょう。
CTLは以下のように算出されます。
CTL Today = CTL Yesterday + ( TSS Today – CTL Yesterday ) × ( 1/CTL Time Constant )
CTL の目安
先ほど、CTLが高くてもパフォーマンスが高いというわけではないとお伝えしました。
しかし、自身が挑戦したいと考える目的目標に対して、必要となるパフォーマンスを高めるためのトレーニングを実施した結果、CTLがどれくらいになるのかという参考値は理解しておくといいかもしれません。
Training Peaks の記事である Suggested Weekly TSS And Target CTL によると、 CTLの目安やそれに伴う1週間単位の運動時間・TSSは以下のように区分されています。
上記の図では Road Racing で表記されている数値の振り幅が大きいため、結局何を参考にすればいいかわかりにくい状態になっています。また、自身の現在のレベルや、日本国内レース参戦者のパワーデータを参考に作成されたわけではないので、明確に掴みにくい部分があります。
そこで、以前 Suggested Weekly TSS And Target CTL に掲載されていた指標を参考に、日本国内のレースに合わせた目安となりそうな指標を、自身の指導経験に基づいて作成してみました。
興味のある方は以下の図を参考にしてください。
ただし、目標としているステージに早く到達したいからという理由で、CTL50にも関わらずCTL120の人と同じようなトレーニングをするということがないようにしましょう。
トレーニング負荷の総量は、自身の成長速度に合わせて高めていくものです。以下の記事を参考に、徐々にトレーニングで蓄積される負荷に慣れていきましょう。
Training Peaks の記事 “A Coach’s Guide to ATL, CTL & TSB” によると、1週間単位で増加できるTSSは5〜7程度とされています。
しかし、(例として)実際に3週連続で1週間ごとにTSSを5~7程度増加させると、かなり疲労が溜まってしまいますし、カラダを痛めてしまうことがあります。そのため、個人の指導経験上、1週間単位のTSSの増加量は3~5程度にすることをオススメしています。
また、1週間単位の量・強度を自身の現状に合わせて細かく調整しながら、2週間または3週間経過ごとに1週間の休息週間を設けるようにしていきますしょう。
CTLに基づいた1週間のトレーニング
目的目標ごとの1週間のトレーニングプログラムを、CTLから逆算するように考えて、1日毎の運動時間とメインとするワークアウトを実施した結果、発生すると考えられるTSSをイメージしながら作成しました。
現状で、トレーニングプログラムが定まっていない方は、こちらを参考に実施してみましょう。
✔︎ トレーニングプログラムに関して
こちらのプログラムは、土日休みの方を参考に考えています。
頻度や時間など、各個人の生活スタイルによって異なるはずですから、自身に合った方法は試しながら模索しましょう。
また、もちろんですが、優勝できるかは別のお話です。
各カテゴリーでのレースを十分に楽しむための基準だとお考えください。
CTL50 : イベント向け
: 対象は イベントへの参加
: 1週間の練習時間は 6〜8時間
: 1週間の積算TSSは 350程度
>> TSSとトレーニング内容は詳細はこちら
CTL75 : 地方レース向け
: 対象は 地方レース
: 1週間の運動時間は 8〜10時間
: 1週間の積算TSSは 525程度
>> TSSとトレーニング内容は詳細はこちら
CTL100 : 実業団 (JET) / 高体連 向け
: 対象は 実業団レースや高体連
: 1週間の運動時間は 10 ~ 13時間
: 1週間の積算TSSは 700TSS
>> TSSとトレーニング内容は詳細はこちら
CTL120 : 実業団 (JPT) / 学連 向け
: 対象は 実業団(JPT)や学連
: 1週間の運動時間は 12 ~ 16時間
: 1週間の積算TSSは 840TSS
>> TSSとトレーニング内容は詳細はこちら
「より良いトレーニングがしたい…」と感じる方へ
CTL という数値は、あくまでも必要であるトレーニングを積み重ねた結果であるため、必ずしもCTL が高い=パフォーマンスが高いと、イコールになるとは限りません。
CTL はトレーニング負荷(TSS)が継続して蓄積された結果、トレーニング負荷に対する耐性が数値化されたものであり、コンディションの指標として使われるものです。※TSBの算出など
そのため、求めるものはCTLではなく、パフォーマンス(パワーなど)であることを忘れないようにトレーニングを継続しましょう。
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また、実際にパワートレーニングおこなうを中で、パフォーマンスの伸び悩みを感じたり、現状おこなっているトレーニングが正しいか気になるという場合は、トレーニングの評価も行っておりますので、以下よりお問い合わせください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。