こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君トレーニングを始めたいです。
負荷はどのように上げていけばいいですか?
漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則とは、体が今の負荷に慣れたタイミングで、少しだけ高い負荷をかけていくというトレーニングの基本原則です。いきなり大きく増やすのではなく、頻度・時間・強度・量・種類のうち1つずつ、段階的に上げていくのがポイントです。
この記事では、漸進性過負荷の意味と読み方、負荷を上げる5つの要素、筋トレとロードバイクでの具体的な上げ方、よく聞く「10%ルール」の真偽まで、論文をもとに解説します。
名古屋・栄/久屋大通の「ORCA PERSONAL GYM」では、筋トレ・ボディメイク・スポーツのためのパーソナルトレーニングを完全個室で行っています。
- 読み方は「ぜんしんせいかふか」。英語では Progressive Overload(プログレッシブ・オーバーロード)
- 意味は「体が今の負荷に慣れたら、少しだけ負荷を上げる」こと
- 「過負荷の原理」は普段より高い負荷が必要という考え方、「漸進性の原則」は少しずつ上げるという考え方。この2つを合わせたものです
- 上げる要素は頻度・時間・量・強度・種類の5つ。一度に上げるのは1つだけ
- 3〜4週間に1回は負荷を下げる「回復週」を入れると、伸び続けやすくなります
ロードバイクで実際に負荷を上げていくなら、次の記事もあわせてどうぞ。
- 初心者の1週間トレーニングメニュー|無理なく続ける4ステップ
- トレーニング計画の立て方|ピリオダイゼーションと12週間プラン例
- スイートスポットトレーニング(SST)のやり方
- CTLとは?体力の目安と上げ方
- ジムでできる筋トレメニュー4選
漸進性過負荷の原則とは?意味と読み方
漸進性過負荷の原則は「ぜんしんせいかふかのげんそく」と読みます。英語ではProgressive Overload(プログレッシブ・オーバーロード)と呼ばれ、1940年代に医師のトーマス・デローム(DeLorme)がリハビリの筋力トレーニングで体系化した考え方が起源とされています。
この言葉は、2つの考え方を組み合わせたものです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 過負荷(かふか)の原理 | 普段よりも高い負荷をかけないと、体は適応(成長)しない |
| 漸進性(ぜんしんせい)の原則 | 負荷は急に上げず、段階的に少しずつ上げていく |
| 漸進性過負荷の原則 | 慣れたら少しだけ負荷を上げる、をくり返して成長を続ける |
日本では「トレーニングの3原理5原則」として、過負荷・特異性・可逆性の3原理と、全面性・意識性・漸進性・個別性・反復性の5原則がよく紹介されます。漸進性過負荷は、このうち「過負荷の原理」と「漸進性の原則」をセットで考えたものです。
なぜ「少しずつ」負荷を上げる必要があるのか
体は、かけられた負荷に合わせて変化します。同じ負荷を続けていると、体がその負荷に慣れてしまい、それ以上の成長は起きにくくなります。だからこそ、負荷を上げ続けることが必要です。
一方で、負荷を一気に上げるのも問題です。ケガの多くは「練習そのもの」ではなく、急激で過剰な負荷の増加によって起きていると考えられています(Gabbett, 2016)。また、回復が追いつかない状態で負荷をかけ続けると、パフォーマンスが落ちて戻らなくなる「オーバートレーニング症候群」につながることもあります(Meeusen et al., 2013)。
逆に、負荷を下げすぎたり練習をやめたりすると、せっかく得た適応は失われていきます。持久系の能力は、4週間未満の短い中断でも最大酸素摂取量などが低下し始めることが報告されています(Mujika・Padilla, 2000)。
- 同じ負荷のまま:体が慣れて、成長が止まる
- 一気に上げる:ケガやオーバートレーニングのリスクが上がる
- 下げすぎる・やめる:得た能力が少しずつ失われる
- 慣れたら少しだけ上げる:成長を続けながら、リスクを抑えられる
負荷を上げる5つの要素
漸進性過負荷で上げていく「負荷」には、主に次の5つがあります。大切なのは、一度に上げるのは1つだけにすることです。
| 要素 | ロードバイクの例 | 筋トレの例 |
|---|---|---|
| 頻度 | 週2回 → 週3回 | 週2回 → 週3回 |
| 時間 | 1回30分 → 45分 | —(量で考える) |
| 量 | 週3時間 → 週4時間 | 3セット → 4セット |
| 強度 | 時速30km → 32km(同じ時間) | 50kg → 52.5kg |
| 種類(様式) | 一定ペース → インターバル、平地 → 登り | 両脚 → 片脚、ゆっくり → 素早く |
頻度:トレーニングの回数を増やす
週2回のトレーニングに慣れてきたら、週3回にするというように、実施回数を増やす方法です。いきなり毎日に増やすのではなく、週1回ずつを目安に増やしましょう。


時間:1回あたりの時間を延ばす
1回30分の運動に慣れてきたら、15〜30分ほど延ばすというように、1回の運動時間を増やす方法です。1時間、2時間と一気に延ばすのではなく、15〜30分単位で延ばすのがおすすめです。


量:セット数・回数・総時間を増やす
筋トレでは、時間ではなくセット数や回数で量を考えます。3セットを4セットにする、8回を10回にするといった方法です。ロードバイクでは、1週間の合計時間や、TSS(トレーニングストレススコア)の合計で量を管理すると分かりやすくなります。
強度:同じ時間で速く・重くする
60分間を時速30kmで走ることに慣れてきたら、同じ60分を時速32kmで走るというように、強度を上げる方法です。筋トレでは、扱う重量を上げることが強度の上昇にあたります。


種類(様式):刺激の種類を変える
60分間の一定ペースに慣れてきたら、30分間を2本に分けて強度を上げるというように、運動のやり方を変える方法です。ほかにも、次のような変化で刺激を変えられます。
- ケイデンス80rpmで走っていたところを、100rpmで走る
- 同じ30分間の全力走を、平地ではなく登りで行う
- 同じ1分間の全力走を、シッティングではなくダンシングで行う


筋トレでの漸進性過負荷のやり方
アメリカスポーツ医学会(ACSM)のガイドラインでは、目標の回数より1〜2回多くできるようになったら、重量を2〜10%上げることが推奨されています(ACSM, 2009)。たとえば10回×3セットが目標なら、全セットで11〜12回できるようになった時点で重量を上げる、という流れです。
同じ考え方として、「2 for 2ルール」もよく使われます。最終セットで目標より2回多くできる状態が、2回のトレーニングで続いたら重量を上げる、というシンプルな目安です。
- 月曜:スクワット50kg×10回×3セット → 3セット目に12回できた
- 木曜:同じ重量で、3セット目にまた12回できた
- 翌週:重量を52.5〜55kgに上げて、10回×3セットからやり直す
なお、負荷を上げる方法は重量だけではありません。重量を固定して回数を増やしていく方法でも、重量を増やす方法と同じくらい筋肉の太さと筋力が伸びたという研究があります(Plotkin et al., 2022)。重量を上げるのが不安な方や、自宅でトレーニングする方は、まず回数やセット数を増やすところから始めてもかまいません。
ロードバイク(持久系)での漸進性過負荷のやり方
ロードバイクでは、まず頻度と時間(量)を増やし、そのあとで強度を上げるのが基本です。持久系の競技で成果を出している選手の多くは、練習の約8割を低い強度で行い、残りの約2割で高強度のインターバルを入れています(Seiler, 2010)。強度ばかり上げるより、低い強度で量を積み上げた土台の上に、少しずつ高強度を足していくほうが、疲労をためすぎずに続けられます。
- STEP 1:週2回 → 週3回など、まずは回数を増やす
- STEP 2:1回の時間を15〜30分ずつ延ばす
- STEP 3:一部の時間だけ、少しペースを上げる
- STEP 4:インターバルや登りなど、刺激の種類を変える
- 3〜4週に1回は量を減らした回復週を入れる
パワーメーターを使っている方は、TSS(1回の練習の負荷)やCTL(数週間の負荷の積み重ね)を見ると、負荷の上げすぎに気づきやすくなります。具体的な目安は、CTLを目安にした1週間のトレーニングメニューとTSSを目安にした1週間のトレーニングメニューで解説しています。初心者の方は、初心者にもできる1週間のトレーニングメニューから始めてみてください。
AFTER WORK CLASS
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ORCA CYCLING SCHOOLの大人クラスでは、月曜は筋力トレーニング、火・水曜はローラー練習を1回90分で行っています(星が丘校・名古屋本校)。初心者から上級者まで、1回4,400円から参加できます。
大人クラスを見る →「10%ルール」は守るべき?
「1週間の練習量は、前の週から10%以内しか増やしてはいけない」という10%ルールをよく耳にします。ところが、初心者ランナー532人を対象にした研究では、10%ルールに沿って13週間かけて量を増やしたグループと、8週間の通常プログラムのグループとで、ケガの発生率に差はありませんでした(20.8%と20.3%/Buist et al., 2008)。
また、直近1週間の負荷と過去4週間の負荷の比(急性:慢性負荷比、ACWR)でケガのリスクを判断する方法も広まりましたが、その後の検証では、この比率を調整すればケガが減るという根拠はまだないと指摘されています(Impellizzeri et al., 2020)。
つまり、「何%なら安全」という1つの数字に頼るのではなく、疲れ具合や体の反応を見ながら少しずつ上げることが大切です。10%は「上げすぎないための目安」として使うくらいがちょうどいいでしょう。
漸進性過負荷でよくある失敗
一度にいくつも上げてしまう
やる気があるときほど、回数も時間も強度も一気に増やしたくなります。ですが、複数の要素を同時に上げると、疲れの原因が分からなくなり、調整もしにくくなります。1つの要素を上げたら、3〜4週間ほど続けて慣れてから次の要素を上げるくらいのペースで十分です。
休む日を入れない
体が強くなるのは、トレーニング中ではなく、そのあとに回復しているあいだです。負荷を上げるほど、回復の時間も必要になります。疲れが抜けない、寝つきが悪い、いつもの強度がきつく感じる、といったサインがあれば、負荷を上げるのはいったん止めましょう。
心の負担を考えていない
漸進性過負荷は、体だけでなく心にも当てはまると私は考えています。慣れていない負荷で疲れがたまると、パフォーマンスが上がらないだけでなく、「もっとやらなければ」という焦りが生まれ、精神的にもつらくなってしまいます。運動やそれにともなう疲れのストレスにも、少しずつ慣れていくことが大切です。
他人と比べてしまう
SNSでは、さまざまな人のトレーニング内容を簡単に見ることができます。ですが、目的や目標が同じでも、スタートラインは人それぞれです。他の人に合っている負荷が、今の自分に合っているとは限りません。比べるのは、過去の自分にしましょう。
よくある質問
Q. 漸進性過負荷の読み方は?
「ぜんしんせいかふか」と読みます。英語ではProgressive Overload(プログレッシブ・オーバーロード)と呼ばれます。「斬新性」「全身性」と書かれることもありますが、正しくは「漸進性(少しずつ進む)」です。
Q. 過負荷の原理と漸進性過負荷の原則は何が違いますか?
過負荷の原理は「普段より高い負荷をかけないと体は成長しない」という考え方です。漸進性過負荷の原則は、そこに「負荷は段階的に少しずつ上げる」という漸進性の原則を組み合わせたもので、成長を続けながらケガやオーバートレーニングを防ぐための考え方です。
Q. 負荷はどのくらいのペースで上げればいいですか?
頻度・時間・強度・量・種類のうち1つだけを上げ、3〜4週間ほど続けて慣れてから次を上げるのが目安です。筋トレでは、目標の回数より1〜2回多くできるようになったら重量を2〜10%上げる方法が推奨されています。
Q. 10%ルールは守ったほうがいいですか?
初心者ランナーを対象にした研究では、10%ルールに沿って練習量を増やしても、ケガの発生率は通常のプログラムと変わりませんでした。10%は上げすぎを防ぐ目安として使い、疲れ具合や体の反応を見ながら調整することが大切です。
Q. ずっと負荷を上げ続けなければいけませんか?
上げ続ける必要はありません。3〜4週に1回は量を減らした回復週を入れたり、大会に向けて調整したりと、波をつけながら全体として少しずつ上がっていくのが理想です。目標のレベルに届いたら、その負荷を保つことも立派なトレーニングです。
練習量の増やし方を年間の計画に落とし込む方法は、ロードバイクのトレーニング計画の立て方(ピリオダイゼーション)で解説しています。
まとめ
漸進性過負荷の原則は、トレーニングで成長を続けるためのいちばんの土台です。最後に、ポイントをまとめます。
- 慣れたら少しだけ上げる:同じ負荷では成長が止まり、一気に上げるとケガにつながる
- 上げるのは1つずつ:頻度・時間・量・強度・種類のどれか1つを上げ、3〜4週間で慣らす
- 筋トレは「+1〜2回できたら重量アップ」:重量は2〜10%、回数を増やす方法でもOK
- ロードバイクは量が先、強度はあと:低い強度で土台を作ってから高強度を足す
- 数字より体の反応を見る:10%ルールは目安。疲れのサインがあれば止まる
- 心にも余裕を:他人と比べず、過去の自分と比べる
「自分にとってちょうどいい負荷」は、人によって大きく違います。どこまで上げていいか分からない方は、データを見ながら一緒に考えていきましょう。
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- Kraemer WJ, Ratamess NA. Fundamentals of resistance training: progression and exercise prescription. Med Sci Sports Exerc. 2004;36(4):674-88. doi:10.1249/01.MSS.0000121945.36635.61
- Plotkin D, et al. Progressive overload without progressing load? The effects of load or repetition progression on muscular adaptations. PeerJ. 2022;10:e14142. doi:10.7717/peerj.14142
- Seiler S. What is best practice for training intensity and duration distribution in endurance athletes? Int J Sports Physiol Perform. 2010;5(3):276-91. doi:10.1123/ijspp.5.3.276
- Buist I, et al. No effect of a graded training program on the number of running-related injuries in novice runners: a randomized controlled trial. Am J Sports Med. 2008;36(1):33-9. doi:10.1177/0363546507307505
- Gabbett TJ. The training-injury prevention paradox: should athletes be training smarter and harder? Br J Sports Med. 2016;50(5):273-80. doi:10.1136/bjsports-2015-095788
- Impellizzeri FM, et al. Acute:Chronic Workload Ratio: Conceptual Issues and Fundamental Pitfalls. Int J Sports Physiol Perform. 2020;15(6):907-913. doi:10.1123/ijspp.2019-0864
- Meeusen R, et al. Prevention, diagnosis, and treatment of the overtraining syndrome: joint consensus statement of the European College of Sport Science and the American College of Sports Medicine. Med Sci Sports Exerc. 2013;45(1):186-205. doi:10.1249/MSS.0b013e318279a10a
- Mujika I, Padilla S. Detraining: loss of training-induced physiological and performance adaptations. Part I: short term insufficient training stimulus. Sports Med. 2000;30(2):79-87. doi:10.2165/00007256-200030020-00002








