ロードバイクの暑熱順化|暑さに強くなる期間・やり方・効果を論文で解説

ロードバイクの暑熱順化

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

夏になると、ロードバイクで全然パワーが出ません。

暑さに強くなる方法はありますか?

暑さに強くなるために最も大切なのが、暑熱順化(しょねつじゅんか)です。暑い環境で運動を繰り返すと、1〜2週間ほどで体が暑さに慣れ、汗をかきやすくなったり、体温が上がりにくくなったりします。研究では、暑熱順化によって、暑い日だけでなく涼しい日のパフォーマンスまで向上しました。

この記事では、暑熱順化のしくみ、研究でわかっている効果、ロードバイクでの暑熱順化のやり方と注意点を解説します。

目次

暑熱順化とは?

暑熱順化とは、暑い環境での運動を繰り返すことで、体が暑さに適応していくことです。暑さに慣れていない体は、熱をうまく逃がせないため、体温や心拍数が上がりやすく、パフォーマンスが落ちたり、熱中症になりやすくなったりします。

暑熱順化で起こる主な変化効果
汗をかき始めるのが早くなり、汗の量が増える体の熱を逃がしやすくなる
汗に含まれる塩分が減る体の塩分を失いにくくなる
血液の量(血漿量)が増える心臓が送り出せる血液が増え、心拍数が上がりにくくなる
体温が上がりにくくなる同じ強度でも楽に感じる

研究からわかる、暑熱順化の効果

① 1〜2週間で体が暑さに慣れる

暑い中でのトレーニングと競技に関する国際的な専門家の共同声明では、暑さの中でパフォーマンスを保つために最も重要なのが暑熱順化であり、1〜2週間かけて暑い環境での運動を繰り返すことが勧められています。あわせて、水分が足りた状態で運動を始め、運動中の脱水を最小限にすることも大切だとされています。

② 涼しい日のパフォーマンスまで向上

トレーニングを積んだ自転車選手12名が、40℃の暑い環境で、最大酸素摂取量の約50%の強度の運動を10日間行った研究があります。同じ運動を涼しい環境で行ったグループと比べた結果は次のとおりです。

項目涼しい環境(13℃)で測定暑い環境(38℃)で測定
最大酸素摂取量約5%向上約8%向上
タイムトライアルの成績約6%向上約8%向上
乳酸性作業閾値でのパワー約5%向上約5%向上

暑熱順化を行ったグループは、血漿量が約6.5%増え、心臓が送り出せる血液の量も増えていました。涼しい環境で運動したグループには、変化がありませんでした。つまり、暑熱順化は暑さ対策になるだけでなく、持久力そのものを高める可能性があるということです。

ポイント
  • 暑熱順化は、暑い中でパフォーマンスを保つために最も重要な対策
  • 1〜2週間、暑い環境での運動を繰り返すと体が慣れる
  • 研究では、涼しい日の最大酸素摂取量やタイムトライアルの成績も向上した

ロードバイクでの暑熱順化のやり方

項目目安
時期本格的に暑くなる前(梅雨明けの1〜2週間前ごろ)や、暑い時期のレースの2週間ほど前から
期間1〜2週間、できるだけ毎日〜1日おき
強度最初は軽い強度(会話ができる程度)から
時間最初は30分ほどから始め、慣れてきたら60〜90分に延ばす
水分乗る前から水分をとり、運動中もこまめに補給する
  1. 最初の数日は、比較的涼しい時間帯に、軽い強度で短めに走る
  2. 体が慣れてきたら、少しずつ暑い時間帯に走る時間や、運動の時間を延ばす
  3. 強度の高い練習は、暑さに慣れてから行う
  4. 夏の間は、定期的に暑い時間帯の運動を続けて、慣れた状態を保つ

水分補給のしかたは、ロードバイクで熱中症にならない水分補給で詳しく解説しています。

暑熱順化の注意点

暑熱順化は、熱中症と隣り合わせのトレーニングです。次の点に必ず注意してください。

  • 日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針では、暑さ指数(WBGT)が31以上のときは、運動は原則中止とされています。暑さ指数を確認してから走る
  • いきなり長時間・高強度で走らない
  • めまい、頭痛、吐き気、足がつる、汗が出なくなる、といった症状があれば、すぐに運動を中止し、涼しい場所で体を冷やす
  • ひとりで走らず、すぐに休めるコースを選ぶ

子どもは大人よりも体温調節機能が未発達で、熱中症になりやすいため、暑い時間帯の練習は特に注意が必要です。意識がおかしい、呼びかけへの反応が鈍いなどの症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。

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よくある質問

Q. 暑熱順化にはどのくらいの期間が必要ですか?

暑い環境で運動を繰り返して、1〜2週間ほどで体が暑さに慣れてきます。国際的な専門家の共同声明でも、1〜2週間かけて暑さに慣れることが、暑い中でのパフォーマンスを保つために最も重要だとされています。

Q. 暑熱順化はいつから始めればいいですか?

本格的に暑くなる前、梅雨明けの1〜2週間前ごろから、少しずつ暑い時間帯の運動を取り入れるのがおすすめです。暑い時期のレースに出る場合は、レースの2週間ほど前から準備しましょう。

Q. 暑熱順化をすると、涼しい日のパフォーマンスも上がりますか?

研究では、上がったと報告されています。自転車選手が10日間暑い環境で運動したところ、涼しい環境でも最大酸素摂取量が約5%、タイムトライアルの成績が約6%向上しました。

Q. 暑熱順化の効果はどのくらい続きますか?

暑さにさらされない期間が続くと、少しずつ元に戻っていきます。夏の間は、定期的に暑い時間帯の運動を続けて、慣れた状態を保ちましょう。

まとめ

ロードバイクの暑熱順化のまとめ
  • 暑熱順化は、暑い中でのパフォーマンスを保つために最も重要な対策
  • 1〜2週間、暑い環境での運動を繰り返すと、体が暑さに慣れる
  • 研究では、涼しい日のパフォーマンスも向上した
  • 暑さ指数を確認し、軽い強度・短い時間から少しずつ始める

夏に強くなるための準備は、暑くなる前から始まっています。安全に気をつけながら、少しずつ体を暑さに慣らしていきましょう。

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参考文献
  • Racinais S, Alonso JM, Coutts AJ, et al. Consensus recommendations on training and competing in the heat. Br J Sports Med. 2015;49(18):1164-1173. doi:10.1136/bjsports-2015-094915
  • Lorenzo S, Halliwill JR, Sawka MN, Minson CT. Heat acclimation improves exercise performance. J Appl Physiol. 2010;109(4):1140-1147. doi:10.1152/japplphysiol.00495.2010
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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