こんにちは。
名古屋のロードバイクスクール 「 ORCA CYCLING SCHOOL 」の伊藤です。
こちらの記事では、ロードバイクのトレーニングについて解説していきます。
パワートレーニングをしようと考えています。
よく使われる単語とその意味について教えて下さい。
以上のように、パワートレーニングを始めようと考えている方のご質問にお答えします。
・ パワートレーニングの単語
・ パワートレーニングの単語の意味
・ 各単語の詳細および活用方法
当スクールでは、パワートレーニングに Training Peaks を利用することをおすすめしています。
Training Peaks を利用する最大のメリットは、パワーデータを細かく分析することができること、トレーニングの進捗が明確に理解できることです。
そのため、こちらの単語も Training Peaks 目線で記載しております。
本格的にパワートレーニングをおこなう場合は、Training Peaks を活用しましょう。
ワークアウトの指標
FTP : Functional Threshold Power
FTPは Functional Threshold Power といい、ロードバイクにおけるパワートレーニングにて様々な指標となる数値です。Training Peaks では、1時間持続して発揮し続けることができるパワーと定義されています。
活用方法としては、トレーニング強度の指標、コンディショニング調整、疲労具合の把握などに使われるため、パワートレーニングを開始するときに際に、必ず把握しなければいけません。
計算式は以下の通りとなります。
⚫︎ FTPの計算式
1. 20min Power Test
20分間の最大努力で発揮されたパワーを活用して算出する方法
FTP = 20min 最大パワー × 0.95
2. Peak Power Output (ランプアップテスト)
100wから初めで、3分ごとに前進的に強度をあげて算出する方法
PPO= W final + [(t / 180)×40 ]
・W final =最終的に完了したステージの出力(W)
・t =未完成の最終段階で費やされた時間。180 =各ステージの継続時間
・40 =各ステージ間の出力の増加(W)
NP : Normalized Power
NPは Normalized Power といい、標準化されたパワーになります。
こちらの数値は、外的因子(地形や風など)や運動様式により、激しく変動する出力がもたらす体への負荷を考えた時に、平均出力だけでは生理学的負荷を正しく表すことができないという考えの元、作られています。
実際の計算式は以下の通りとなります。
⚫︎ NPの計算式
NP = 4√ ( A^4 + B^4 + C^4 … ) ÷ n
①計測と同時に、計測終了までのデータを30秒毎に平均出力を算出する(各30秒毎の数値をA,B,C…と順に表す)。
②各30秒毎の平均値を4乗し、それら全数値の平均値を出す(30秒毎の全ての計測数=LAP数をnと表す)。
③それを平均値を4乗根で求める。
※ 計算式の一例
“30秒 – 30秒のHIIT” で計算してみます。
HIIT : High Intensity Interval Training (高強度インターバルトレーニング)
【例 : NPの求め方】
10set × ( 30sec + 30sec )
Hard … 500w/30sec
Easy … 100w/30sec
で実施した場合、 平均出力は 300wとなるが、NPは420wとなる。
【考え方】
上記のデータを実際にみると、10分間の平均出力は300wではありますが、NPは420wとなり、この10分間一定のパワーで420wを出し続けた時と同じような負荷が体にかかっていると言い表すことができます。
NPは、TTやヒルクライムなどの運動強度の上下があまりない場合(常に一定で出力を出し続ける場合)は、平均出力とさほど差はありません。
さて、上記の計算式で考えると、30秒以下のSITの場合だと、NPの正確な数値が出ない場合もあるので、トラック種目を中心としている選手やZ7領域を刺激したトレーニングを実施している選手の場合が出すNPは、正確でない可能がありますので、ご注意ください。
※ SIT … Sprint Interval Training(スプリントインターバルトレーニング)
VI : Variability index
VIは Variability index といい、運動強度の変動している幅を求めています。データ上の数値変動が大きければ大きいほど、VIは高くなります。
この数値を理解することで何を目的としたトレーニングを行なっているのか?または目的としていたトレーニングができていたのか?を確認することができます。
計算式は以下の通りとなります。
⚫︎ VIの計算式
VI = NP ÷ Ave Power
※ VIの数値の意味
1.05以下の場合 … ヒルクライム/タイムトライアルなど
1.10以上の場合 … クリテリウム/ロードレースなど
IF : Intensity Factor
IFは Intensity Factor といい、運動強度を表す指数になります。
FTP強度で走行し続けた指数を”1″とし、それを基準に比較した運動強度を表します。計算式は以下の通りとなります。
【IFの計算式】
IF = NP ÷ FTP
【IFの数値の意味】
0.75 以下 … 回復走
0.75 – 0.85 … 耐久走 レベル
0.85 – 0.95 … Tempo レベル
0.95 – 1.05 … LT レベル / 40kmTT / ロードレース
1.05 – 1.15 … 15km TT レベル / ポイントレース(トラック)
1.15 以上 … ショートTT レベル
こちらの数値を元に、VIと照らし合わせて見ることで、自身がおこなったワークアウトが目的にあっているかどうかを確認しましょう。
コンディショニング管理の指標
TSS : Training Stress Score
TSSは Training Stress Score といい、ワークアウトの強度・時間をもとに考慮しされた疲労を数値化(可視化)した指標です。
計算式は以下の通りとなります。
【TSSの計算式】(2)
TSS = {( T × NP × IF ) ÷ (FTP×3600)}× 100
※T = 運動実施時間(秒数)
【簡易化したTSSの計算式】
TSS = T × IF2^2 × 100
※T = 運動実施時間(時間)
CTL : Chronic Stress Load
CTL は Chronic Stress Load といい、長期間(42日間程度)にわたって積み重ねてきたTSSを数値化したもので、体力(fitness)として表現されることが多いです。
計算式は以下の通りとなります。
【CTLの算出方法】
1) CTL = ( 直近42日間のTSSの合計)÷ 42
2) CTL Today = CTL Yesterday + ( TSS today – CTL yesterday ) × (1/CTL time constant)
ATL : Acute Stress Load
ATLは Acute Stress Load といい、短期間(7日程度)の練習の影響を数値化したもので、元気さ(reshness)や疲労(fatigue)の程度を表しています。
計算式は以下の通りとなります。
【ATLの計算式】
1) ATL =(直近7日間のTSSの合計)÷ 7
2) ATL Today= ATL yesterday + (TSS today – ATL yesterday ) × (1/ATL time constant)
TSB : Training Stress Blance
TSBは Training Stress Blance といい、現状の疲労度や調子 ( Form : フォーム ) を数値化した指標です。
こちらのフォームを理解することで、レースに向けたコンディション調整から日常的なトレーニングの疲労管理をおこなうことができます。
計算式は以下の通りとなります。
【TSBの計算式】
TSB = 現在のCTL – 現在のATL
パワートレーニングを始めるために
こちらの記事で説明している単語は、あくまでも基本的な内容となります。
詳細を理解したい場合は、参考記事をご覧ください。
また、こちらで説明した単語以外にも、パワートレーニングでは様々な専門的知識が必要とされます。
こちらのブログで徐々に解説していきますので、時々覗いてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
● この記事を書いた人
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