こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君ロングライドの後半になると、手の小指と薬指がしびれてきます。
グローブを替えれば治りますか?
ロードバイクで手がしびれる主な原因は、ハンドルを握る手のひらで神経が圧迫されることです。手に体重が乗りすぎないポジションにして、握る位置をこまめに変えると、しびれは軽くしやすくなります。
この記事では、ロードバイクで手がしびれる原因と、ハンドルまわりのポジションの見直し方を研究データをもとに解説します。
ロードバイクで手がしびれるのはなぜ?
ロードバイクでは、体重の一部をハンドルで支えています。手のひらの小指側には「ギヨン管」、手首の中央には「手根管」という神経の通り道があり、ここが長時間圧迫されることで、しびれや動かしにくさが起こります。このような自転車による神経の症状は「サイクリスト麻痺(cyclist palsy)」とも呼ばれます。
一般サイクリスト518人の調査では、手の不調は31.1%にみられました(Wilber et al., 1995)。また、600kmのロングライドの前後で25人を調べた研究では、23人に手の感覚の異常や動かしにくさが出ており、経験の長さやハンドルの種類(ロード・MTB)による差はありませんでした(Patterson et al., 2003)。
6日間・約670kmのツーリングの前後で神経の検査を行った研究でも、尺骨神経(小指側の神経)の伝わる速さが遅くなり、手根管症候群の症状が悪化した人もいました(Akuthota et al., 2005)。
しびれる指でわかる原因
| しびれる場所 | 関係する神経 | 圧迫されやすい場所 | 起こりやすい状況 |
|---|---|---|---|
| 小指・薬指(手の小指側) | 尺骨神経 | 手のひらの小指側の付け根(ギヨン管) | 下ハンドルを長く握る、手首を反らせて握る |
| 親指・人差し指・中指 | 正中神経 | 手首の中央(手根管) | 手首を強く反らせる、ブラケットを強く握り込む |
| 手全体・腕まで | 首の神経の可能性も | 首(頚椎) | 首を反らせた姿勢が長い、首の痛みもある |
腕や手全体がしびれ、首の痛みもある場合は、首の神経が関係していることもあります。首の痛みについては「ロードバイクで首・肩が痛い原因と対策」で解説しています。
手がしびれる5つの原因
① 手に体重が乗りすぎている
もっとも多い原因です。サドルが前下がり、サドルが前すぎる、ハンドルが低く遠いと、上体の体重が手に乗りやすくなります。本来は、お尻と体幹で上体を支え、手は「添えるだけ」に近いのが理想です。
② 手首を反らせた角度で握っている
36人のサイクリストで手のひらの圧力を測った研究では、下ハンドル(ドロップ)を握ったときに小指側の圧力がもっとも高く、手首ももっとも反った状態になっていました(Slane et al., 2011)。ブラケットの位置が低い、ハンドルが下を向いているなど、手首を反らせないと握れないポジションは注意が必要です。
③ 同じ場所を握り続けている
同じ研究では、手のひらにかかる圧力は長時間続けば神経を傷めうる大きさだったと報告されています。上ハンドル・ブラケット・下ハンドルと、握る位置をこまめに変えることで、同じ場所への圧迫時間を減らせます。
④ 体幹で上体を支えられていない
体幹やお尻の筋力が弱いと、上体を腕で支えるしかなくなり、手への荷重が増えます。特にロングライドの後半にしびれが出る方は、疲れて体幹で支えられなくなっている可能性があります。
⑤ グローブ・バーテープが合っていない
パッド入りのグローブは、手のひらの小指側の圧力を10〜28%下げ、薄いフォームパッドのほうがやや効果が高い結果でした(Slane et al., 2011)。厚すぎるパッドは握りにくくなり、かえって強く握り込む原因にもなるため、自分の手に合うものを選びましょう。
原因がポジションかどうか、自分では判断しにくい方へ
ORCAのバイクフィッティングでは、ペダリングの動きを見ながら、サドル・ハンドル・クリートをまとめて調整します。
名古屋のバイクフィッティングの詳細を見る →自分でできるセルフチェック
- ブラケットを持ったまま、一瞬手を浮かせても上体を支えられるか(支えられない場合は手に体重が乗りすぎ)
- 握ったときに手首が大きく反っていないか
- 肘が伸びきって、腕が突っ張っていないか
- サドルが前下がりになっていないか(水平器やスマートフォンのアプリで確認できる)
- しびれが出る指はどこか(小指側か、親指側か)
ポジションの見直し方
サドルの角度と前後位置
サドルが前下がりだと、体が前にすべり、手で支える力が大きくなります。まずはサドルを水平にし、前に乗りすぎていないか確認しましょう。サドルの前後位置が前すぎる場合も、体重が手に乗りやすくなります。
ハンドルの高さと距離
ハンドルが低く遠いほど、上体の体重が手にかかります。しびれが強い場合は、ステムを短くする・ハンドルを上げることで手への荷重を減らせます。
ブラケットとハンドルの角度
ブラケットの位置が低いと、手首を反らせないと握れません。手首がまっすぐに近い状態で握れる角度に調整しましょう。ハンドルを少し上に向けるだけで改善することもあります。
握り方・乗り方
- 握る位置を10〜15分ごとに変える
- 強く握り込まず、指を軽く引っかける
- 肘を軽く曲げ、腕で突っ張らない
- ときどき手を振って血流を戻す
医療機関を受診する目安
多くの場合、しびれは降りてしばらくすると治まります。しかし、次のような場合は神経の障害が進んでいる可能性があるため、整形外科を受診してください。
- 降りてから数日たってもしびれが続く
- 箸を使う、ボタンをとめるなど、指先の細かい動作がしにくい
- 握力が落ちた、指を開いたり閉じたりしにくい
- 手のひらや指の間の筋肉がやせてきた
- 首の痛みとともに、腕から手までしびれる
自転車選手の手の神経障害についてまとめた総説でも、症状が続く場合は神経の検査とあわせて、バイクフィッティングによる評価がすすめられています(Cyr, 2022)。
まとめ
ここまでの内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
手のしびれは、ハンドルだけでなくサドルの角度や前後位置、体幹の使い方が組み合わさって起こります。ORCA CYCLING SCHOOLのフィッティングでは、乗車姿勢を確認しながら、手に体重が乗りすぎない位置へ調整します。
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▶︎ フィッティングの種類や料金相場は「ロードバイクのフィッティングとは?」
▶︎ 首や肩も痛い方は「ロードバイクで首・肩が痛い原因と対策」
▶︎ 足もしびれる方は「ロードバイクで足がしびれる原因と対策」
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- Patterson JM, Jaggars MM, Boyer MI. Ulnar and median nerve palsy in long-distance cyclists. A prospective study. Am J Sports Med. 2003;31(4):585-9. doi:10.1177/03635465030310041801
- Akuthota V, Plastaras C, Lindberg K, et al. The effect of long-distance bicycling on ulnar and median nerves: an electrophysiologic evaluation of cyclist palsy. Am J Sports Med. 2005;33(8):1224-30. doi:10.1177/0363546505275131
- Slane J, Timmerman M, Ploeg HL, Thelen DG. The influence of glove and hand position on pressure over the ulnar nerve during cycling. Clin Biomech. 2011;26(6):642-8. doi:10.1016/j.clinbiomech.2011.03.003
- Cyr A. Cervical spine, upper extremity neuropathies, and overuse injuries in cyclists. Phys Med Rehabil Clin N Am. 2022;33(1):187-199. doi:10.1016/j.pmr.2021.08.013
- Wilber CA, Holland GJ, Madison RE, Loy SF. An epidemiological analysis of overuse injuries among recreational cyclists. Int J Sports Med. 1995;16(3):201-6. doi:10.1055/s-2007-972992
よくある質問
Q. ロードバイクで小指と薬指がしびれるのはなぜですか?
手のひらの小指側にある尺骨神経が、ハンドルとの接触で圧迫されていることが多い原因です。下ハンドルを長く握る、手首を反らせて握る、手に体重が乗りすぎているときに起こりやすくなります。
Q. 親指から中指がしびれる場合は何が原因ですか?
手首の中央にある手根管で正中神経が圧迫されている可能性があります。手首を強く反らせた握り方や、ブラケットを強く握り込むことが関係します。
Q. グローブを替えれば手のしびれは治りますか?
パッド入りのグローブは手のひらの圧力を10〜28%下げることが研究で示されていますが、それだけで根本的に解決するとは限りません。手に体重が乗りすぎるポジションを見直すことが大切です。
Q. ハンドルを上げると手のしびれは改善しますか?
ハンドルが低く遠いことで手に体重が乗っている場合は、ハンドルを上げたりステムを短くしたりすることで改善が期待できます。サドルの角度や前後位置もあわせて確認しましょう。
Q. ロングライドの後半だけしびれるのはなぜですか?
疲れて体幹で上体を支えられなくなり、手への荷重が増えている可能性があります。握る位置をこまめに変えることと、体幹やお尻の筋力を高めることが対策になります。
Q. 手のしびれはどれくらいで治りますか?
多くの場合、降りてから数時間〜1日程度で治まります。数日たっても続く場合や、指先の動かしにくさがある場合は、神経の障害が進んでいる可能性があるため整形外科を受診してください。
Q. フィッティングで手のしびれは改善しますか?
手に体重が乗りすぎるポジションや、手首を反らせないと握れないハンドル位置が原因であれば、フィッティングで改善が期待できます。総説でも、症状が続く場合はバイクフィッティングによる評価がすすめられています。








