【富士ヒル対策2026 EP.6】速く登るためのペース配分練習|プログレッションとリグレッションで後半の失速を防ごう

富士ヒル対策EP.6 ペース配分の練習

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

登りでの練習にもバリエーションをつけられるようになりました。

本番でペースが落ちないようにするには、どんな練習をすればいいですか?

ペース配分の練習として、後半にかけて強度を上げていく「プログレッション」と、最初に強度のピークを持ってきて後半に落ち着かせる「リグレッション(ディグレッション)」の2つに取り組みましょう。後半の失速と、スタート直後のオーバーペースの両方に備えることができます。

この記事は、YouTubeで公開している「富士ヒル対策」シリーズのEP.6を、文章で読めるようにまとめたものです。大会4週間前の、10〜11週目の練習について解説します。

目次

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前回の振り返り

前回のEP.5では、登りでの練習に4つのバリエーションをつける方法をお伝えしました。

  1. ケイデンスを一定にしたTT練習
  2. ケイデンスのレンジを変える練習
  3. シッティング・ダンシングやハンドルの位置を変える練習
  4. SFR(重いギア・低ケイデンス)

今回の2つの練習は、これら4つと組み合わせるとより効果的です。

ペース配分が大切な理由

2分以上続く運動では、ペースをできるだけ均等に配分するほうがタイムが良くなりやすいとされています[1]。一方で、実際のレースでは、スタート直後に上げすぎて後半に失速する人が少なくありません。

また、勾配に合わせてパワーを少し上下させると、同じ平均パワーでもタイムが縮むという計算モデルの研究もあります[2][3]。ペースを「一定に保つ力」と「状況に合わせて変える力」の両方を、練習で身につけておきましょう。

1つ目:プログレッショントレーニング

プログレッショントレーニングは、最初はゆるやかに始め、後半にかけて少しずつ強度とペースを上げていく練習です。

たとえば15〜20分の登りがあれば、前半は一定のペースで走り、後半に向けて徐々に強度とスピードを上げていきます。

  • 後半にペースが落ちる「垂れ」を防ぐ力がつく
  • 標高の高いところに向かって登るヒルクライムでは、きつくなる後半に備える練習にもなる

2つ目:リグレッション(ディグレッション)トレーニング

リグレッションは、プログレッションの逆で、最初に強度のピークを持ってきて、後半にかけて少しずつ下げていく練習です。

なぜ最初に上げる練習が必要なのか

ヒルクライムのスタートは集団で走るため、どうペースをつくればいいかわからないまま、オーバーペースになってしまうケースがよくあります。最初に突っ込んでしまい、その後ペースを維持できずに落ちていく。回復してから上げ直そうとしても、タイムが伸びない。そんな声をよく耳にします。

最初に上げた状態から、落ち着いて自分のペースを刻み直す経験を積んでおくことで、本番でオーバーペースになっても立て直せるようになります。

やり方の例(20分の登り)

区間時間速度の目安
最初5分時速18〜20km
次5分時速14〜16km
残り10分時速12〜13km

速度は勾配や走る道によって変わるので、あくまでイメージとして、自分のレベルに合わせて調整してください。

ポイント
  • プログレッションは「後半に上げる」練習で、失速を防ぐ
  • リグレッションは「最初に上げて落ち着かせる」練習で、オーバーペースからの立て直しを身につける
  • どちらも一定ペースのTTとは違う刺激になる

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EP.5の練習と組み合わせる

  • プログレッションの最後に、ダンシングで一気にペースを上げてからシッティングに移る
  • リグレッションの最初に、ダンシングでしっかりペースを上げてから、シッティングでペースを刻む
  • プログレッションでは、同じギアのまま後半にケイデンスを上げていく
  • リグレッションでは、最初にケイデンスを上げきってから、少し下げてキープする

このように、乗り方やケイデンスのバリエーションと組み合わせることで、体力だけでなく技術も高めることができます。

この2週間で守りたい3つのこと

1. 頻度と場所

  • ブロンズを目指す人:週1回程度
  • シルバーを目指す人:週2回程度

実際の登りで行うのが効果的ですが、難しい場合はローラー台やスマートトレーナーで再現し、インターバルトレーニングの代わりに取り入れてみてください。

2. 心身ともに休む

強度が高くなり、特にリグレッションは気持ちの面でも疲れやすい練習です。体と心の両方をしっかり休めることも考えながら取り組みましょう。

3. 疲れているのは自然なこと

残り4〜5週間ほどになると、気持ちが疲れてくる方もいると思います。ここまで続けてきた自分を認めて、無理のない範囲で続けていきましょう。

標高が上がると、同じ感覚でも出せるパワーは落ちていきます[4]。本番では、パワーの数字だけでなく、心拍数や体の感覚も見ながらペースを調整しましょう。

よくある質問

Q. プログレッショントレーニングとは何ですか?

最初はゆるやかに始めて、後半にかけて少しずつ強度やペースを上げていく練習です。後半にペースが落ちる「垂れ」を防ぐ力をつけるのに役立ちます。

Q. リグレッション(ディグレッション)トレーニングとは何ですか?

プログレッションの逆で、最初に強度のピークを持ってきて、後半にかけて少しずつ下げていく練習です。スタート直後にオーバーペースになっても、そこから自分のペースに戻して走りきる練習になります。

Q. オーバーペースになるのを防ぐ練習なのに、なぜ最初に上げるのですか?

集団でスタートする本番では、どうしても最初にペースが上がりがちです。最初に上げた状態から落ち着いてペースを刻み直す経験を、練習で積んでおくためです。

Q. 外で練習できない場合はどうすればいいですか?

ローラー台やスマートトレーナーでも再現できます。インターバルトレーニングの代わりに取り入れてみてください。

Q. 週に何回やればいいですか?

ブロンズを目指す人は週1回、シルバーを目指す人は週2回程度が目安です。

まとめ

富士ヒル対策EP.6のまとめ
  • ペース配分の練習として、プログレッションとリグレッションに取り組む
  • プログレッションは後半に上げて、失速を防ぐ力をつける
  • リグレッションは最初に上げてから落ち着かせ、オーバーペースからの立て直しを身につける
  • EP.5の乗り方・ケイデンスの練習と組み合わせると効果的
  • ブロンズは週1回、シルバーは週2回。外が難しければローラーでもOK

富士ヒル対策2026シリーズ

目標タイム別の必要パワーやペース配分の全体像は、富士ヒル 目標タイム別のペースと練習方法でまとめています。

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参考文献
  • Abbiss CR, Laursen PB. Describing and understanding pacing strategies during athletic competition. Sports Med. 2008;38(3):239-252. doi:10.2165/00007256-200838030-00004
  • Swain DP. A model for optimizing cycling performance by varying power on hills and in wind. Med Sci Sports Exerc. 1997;29(8):1104-1108. doi:10.1097/00005768-199708000-00017
  • Atkinson G, Peacock O, Passfield L. Variable versus constant power strategies during cycling time-trials: prediction of time savings using an up-to-date mathematical model. J Sports Sci. 2007;25(9):1001-1009. doi:10.1080/02640410600944709
  • Clark SA, et al. The effect of acute simulated moderate altitude on power, performance and pacing strategies in well-trained cyclists. Eur J Appl Physiol. 2007;102(1):45-55. doi:10.1007/s00421-007-0554-0
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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