こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君来年の富士ヒルで、シルバーを取りたいです。
どのくらいのパワーが必要で、どんな練習をすればいいですか?
富士ヒルのタイムは、ほぼ「体重あたりのパワー(W/kg)」で決まります。計算上、レース中の平均出力の目安は、プラチナ(60分)で約5W/kg、ゴールド(65分)で約4.6W/kg、シルバー(75分)で約3.9W/kg、ブロンズ(90分)で約3.1W/kgです。
この記事では、富士ヒルのコースと最新のリング基準、目標タイム別の必要パワー、当日のペース配分、6か月の練習計画を解説します。
富士ヒルのコースと最新のリング基準
コースの特徴
Mt.富士ヒルクライムは、富士スバルラインを使って行われる国内最大級のヒルクライム大会です。計測区間は約24km、標高差は約1,255m、平均勾配は約5.2%で、急な坂が続くというより、一定の勾配が長く続くコースです(資料によって数値に多少の差があります)。
勾配がゆるやかで速度が出るため、集団で走ると風よけの効果が得られやすいのも特徴です。
完走リングの基準(2025・2026年大会)
| リング | タイム |
|---|---|
| プラチナ | 60分以内 |
| ゴールド | 65分以内 |
| シルバー | 75分以内 |
| ブロンズ | 90分以内 |
| ブルー | それ以外の完走者 |
2025年大会のデータでは、ブロンズ以上を獲得したのは完走者の約4割でした。基準は年によって変わることがあるため、出場する年の大会要項を必ず確認してください。


目標タイム別の必要パワー早見表
コースの距離と標高差、体重、バイクの重さなどから、目標タイムで走るために必要な平均出力を計算しました。
| 目標 | 平均速度 | 必要な平均出力(体重60kg) | 必要な平均出力(体重70kg) | 平地FTPの目安 | 練習の重点 |
|---|---|---|---|---|---|
| プラチナ 60分 | 24.0km/h | 309W(5.2W/kg) | 347W(5.0W/kg) | 5.3〜5.6W/kg | VO2max、高強度の練習量 |
| ゴールド 65分 | 22.2km/h | 278W(4.6W/kg) | 313W(4.5W/kg) | 4.8〜5.1W/kg | 閾値走+VO2max |
| シルバー 75分 | 19.2km/h | 232W(3.9W/kg) | 262W(3.7W/kg) | 4.0〜4.3W/kg | スイートスポット・閾値走 |
| ブロンズ 90分 | 16.0km/h | 187W(3.1W/kg) | 212W(3.0W/kg) | 3.2〜3.5W/kg | 有酸素の土台、スイートスポット |
| 完走 120分 | 12.0km/h | 135W(2.3W/kg) | 154W(2.2W/kg) | 約2.4W/kg | 低強度で長く走る練習 |
計算の前提
- 距離24km、標高差1,255m、無風、一定ペース
- バイクの重さ8kg、転がり抵抗係数0.004、空気抵抗面積0.35㎡、空気の密度1.0kg/㎥(標高1,000〜2,300mを想定)
- 駆動効率97.6%
平地FTPの目安は、60分前後のレースならほぼFTPの100%、75〜90分ならFTPの90〜95%程度で走れると考え、さらに標高による出力の低下を加えて出しています。模擬的な標高1,200mでは5分間の最大出力が約6%、2,200mでは約10%低下したという報告があります[6]。
FTPの測り方やW/kgの目安は、FTPとは?ロードバイクの目安で解説しています。
ペース配分は「ほぼ一定」が基本
平均パワーが同じでも、勾配がきつい区間でやや強く、ゆるい区間でやや弱く踏むと、タイムが縮むという計算モデルの研究があります[4][5]。
富士ヒルは勾配が比較的一定なので、実際には目標パワーの±5%程度で、ほぼ一定のペースで走るのが現実的です。
- スタートから5kmほどは、目標パワーの95%程度で入る
- 勾配がきつくなる区間で、少しだけパワーを上げる
- 後半のゆるい区間では、集団に入って風よけを使う
- 標高が上がるとパワーが落ちるのは自然なことなので、心拍数やきつさの感覚も見ながら走る
- 前半に上げすぎると、後半に大きく失速する
- 目標パワーの±5%程度でほぼ一定に走る
- ゆるい区間は集団の風よけを活用する
AFTER WORK CLASS
名古屋で、仕事帰りにコーチと一緒に練習しませんか
ORCA CYCLING SCHOOLの大人クラスでは、月曜は筋力トレーニング、火・水曜はローラー練習を1回90分で行っています(星が丘校・名古屋本校)。初心者から上級者まで、1回4,400円から参加できます。
大人クラスを見る →6か月の練習計画
富士ヒルは、約1時間前後のパワーを出し続ける競技です。そのため、FTP(1時間ほど維持できるパワー)の底上げが最優先になります。大会の約6か月前から、次の流れで組み立てます。
| 時期 | 期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ベース期 | 1〜2か月目(約8週) | 低強度で走る量を増やす+スイートスポット |
| ビルド期 | 3〜4か月目(約8週) | 閾値走(2×20分など)でFTPを上げる |
| ピーク期 | 5か月目(約6週) | VO2maxインターバル(5×5分など) |
| テーパー | 最後の2週間 | 量を減らし、強度は保つ |
ベース期:有酸素の土台をつくる
低強度で長く走る練習を中心に、週1〜2回のスイートスポット走を加えます。研究では、低強度中心に少しの高強度を組み合わせる練習(ポラライズド型)が、閾値中心や量中心の練習よりも、持久力の指標を大きく伸ばしました[1]。くわしくはロードバイクで持久力を高めるトレーニングとSST(スイートスポットトレーニング)とは?をご覧ください。
ビルド期:FTPを引き上げる
2×20分の閾値走など、FTP付近で長く走る練習を週1〜2回行います。富士ヒルの本番に近い強度なので、登りで行うとペース感覚も身につきます。
ピーク期:VO2maxを高める
3〜5分の高強度インターバルで、VO2max(最大酸素摂取量)を高めます。高強度の練習を1週間に集中させる「ブロック型」で、VO2maxが4.6%向上したという研究もあります[2]。
テーパー:疲労を抜いて本番へ
大会前の約2週間は、練習量を41〜60%減らし、強度と頻度は保つのが最も効果的だったとされています[3]。
目標リング別の練習の重点
- ブロンズ・完走:まずは走る量を増やし、有酸素の土台をつくる。週1回のスイートスポットから始める
- シルバー:FTPを伸ばすことが最優先。閾値走と、無理のない範囲での減量
- ゴールド・プラチナ:高強度の練習の質と、体重管理が鍵。ピーク期のVO2maxブロックを丁寧に
シルバー・ブロンズを目指す人向けの具体的な計画は、富士ヒル対策 EP.0とEP.1でも紹介しています。
体重と機材の考え方
この勾配では、総重量(体重+バイク)が1kg減ると、必要な出力はおよそ1.5%下がり、タイムもほぼ同じ割合で縮みます。ただし、極端な減量はパワーを落とし、体調を崩す原因になります。パワーを落とさない減量の進め方は、パワーを落とさずに減量する方法をご覧ください。
よくある質問
Q. FTPが4.0W/kgあれば、シルバー(75分以内)は狙えますか?
計算上は狙える水準です。シルバーに必要なレース中の平均出力は、体重60kgで約3.9W/kgが目安です。集団で風よけを使えるか、前半に上げすぎずに走れるかで結果が変わります。
Q. プラチナ(60分以内)には何W/kg必要ですか?
計算上、レース中の平均出力で約5W/kg、平地でのFTPで5.3W/kg以上が目安です。体重や空気抵抗、集団の使い方で前後します。
Q. 半年でFTPはどのくらい伸びますか?
練習歴やこれまでの練習量によって大きく変わるため、一概には言えません。練習をはじめて間もない人ほど伸びやすく、経験の長い人ほど伸び幅は小さくなる傾向があります。
Q. 減量と機材の軽量化は、どちらが効きますか?
登りでは、体重もバイクも「総重量」として同じように効きます。総重量が1kg減ると、必要な出力はおよそ1.5%下がります。費用と体への負担を考えて選びましょう。
Q. 大会の前日や当日は、どんな練習をすればいいですか?
大会前の2週間は、練習量を減らしつつ強度は保つのが基本です。前日は短い時間で軽く体を動かし、数本だけ短く強度を上げて刺激を入れる程度にしましょう。
まとめ
- 富士ヒルのリング基準は、プラチナ60分・ゴールド65分・シルバー75分・ブロンズ90分(2025・2026年)
- 必要な平均出力の目安は、プラチナ約5W/kg、ゴールド約4.6W/kg、シルバー約3.9W/kg、ブロンズ約3.1W/kg
- ペースは目標パワーの±5%程度で、ほぼ一定に
- 6か月前から、ベース期→ビルド期→ピーク期→テーパーで組み立てる
- 大会前の2週間は、量を減らして強度は保つ
目標のリングに必要なパワーがわかれば、今の自分との差と、残りの期間でやるべきことが見えてきます。データを使って、計画的に準備していきましょう。
- Stöggl T, Sperlich B. Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training. Front Physiol. 2014;5:33. doi:10.3389/fphys.2014.00033
- Rønnestad BR, Hansen J, Ellefsen S. Block periodization of high-intensity aerobic intervals provides superior training effects in trained cyclists. Scand J Med Sci Sports. 2014;24(1):34-42. doi:10.1111/j.1600-0838.2012.01485.x
- Bosquet L, et al. Effects of tapering on performance: a meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(8):1358-1365. doi:10.1249/mss.0b013e31806010e0
- Swain DP. A model for optimizing cycling performance by varying power on hills and in wind. Med Sci Sports Exerc. 1997;29(8):1104-1108. doi:10.1097/00005768-199708000-00017
- Atkinson G, Peacock O, Passfield L. Variable versus constant power strategies during cycling time-trials: prediction of time savings using an up-to-date mathematical model. J Sports Sci. 2007;25(9):1001-1009. doi:10.1080/02640410600944709
- Clark SA, et al. The effect of acute simulated moderate altitude on power, performance and pacing strategies in well-trained cyclists. Eur J Appl Physiol. 2007;102(1):45-55. doi:10.1007/s00421-007-0554-0








