こんにちは。
名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。
おるか君インターバルにも取り組めるようになってきました。
週末に坂を登りに行くとき、どんな練習をすればいいですか?
実際の登りでは、一定ペースのタイムトライアルに加えて、ケイデンスや乗り方を変えたり、SFRを取り入れたりして、練習にバリエーションをつけることが大切です。同じ刺激ばかりだと体は成長しにくくなるため、新しい刺激を入れていきましょう。
この記事は、YouTubeで公開している「富士ヒル対策」シリーズのEP.5を、文章で読めるようにまとめたものです。大会6週間前の、8〜9週目(4月27日〜5月10日)の練習について解説します。
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いよいよ実走での登り練習へ
13週間にわたるシリーズも、いよいよ折り返しです。前回のEP.4ではインターバルトレーニングをお伝えしました。今回はさらに一歩踏み込んで、実際の坂(峠)での練習方法について解説します。
ゴールデンウィークなどで、登りの練習に行く方も増える時期です。登りでスピードを上げること、そして上げたスピードを保つことができるようになるための、技術的な練習も含めてお伝えします。
特異性の原則
トレーニングには、練習した内容に近い能力が伸びるという「特異性の原則」があります。ここまでローラー台や平地で鍛えてきた体力を、実際に登りで使うことで、登りを速く走るための体力と技術に変えていきます。
登りで取り入れたい4つの練習
1. ケイデンスを一定にしたTT練習
これまでと同じく、峠をタイムトライアルのように一定のペースで登る練習です。必ずと言っていいほどケイデンスを一定に保ち、最初から最後まで同じリズムで登り続けましょう。
2. ケイデンスのレンジを変える
いつものケイデンスが80〜85回転くらいなら、あえて90回転台に上げて固定する日と、70回転前後に下げて固定する日をつくってみましょう。
- ケイデンスを上げる:心肺機能や神経への刺激
- ケイデンスを下げる:筋肉にトルクをかけ続ける刺激
20分も続かない場合は、5分ずつ区切って行っても構いません。研究では、低いケイデンスでの練習が効果的だったという報告がある一方[1]、レビューでは効果ははっきりしないとされています[2]。いつもと違う刺激のひとつとして、補助的に取り入れるのがよいでしょう。
なお、勾配10%の登りで比べた研究では、高めのケイデンス(84回転)のほうが、低いケイデンス(41回転)よりも効率よく登れていました[3]。本番では、重すぎないギアで回すことを基本にしましょう。
3. 乗り方とハンドルの位置を変える
いつも同じ筋肉ばかりを使って登っている人は少なくありません。シッティングだけで登る区間、ダンシングで登る区間をつくったり、ハンドルの上だけ・下ハンドルだけを握って登るなど、乗り方を変えてみましょう。
「こうすればこの筋肉が使える」「こうすると呼吸が楽になる」「上半身をこう使うと脚に力を入れやすい」といった感覚を身につけることが、登りでスピードを上げて保つために大切です。
研究では、それほど高くない強度では座っても立っても持続時間に差がなく、高い強度ではダンシングが有利だったと報告されています[4]。また、ゆるい勾配ではダンシングのほうがエネルギーを多く使っていました[5]。
4. SFR(重いギア・低ケイデンス)
SFRは、重いギアを低いケイデンスで回し、ペダルにトルクをかけ続けるドリルです。「バイクの上の筋トレ」とも言われますが、これまで鍛えてきた筋力を、バイクを進める技術に変えるための練習と考えてください。
おすすめは、ウォーミングアップとして取り入れる方法です。TTの前に、登りを使って2〜3分ほど重いギアでグッグッとトルクをかけながら登り、「この筋肉をこう使うとペダルが回しやすい」という感覚を確認しましょう。くわしくはSFRの記事もご覧ください。
- 平日のワークアウトやインターバルは、そのまま続けて大丈夫
- 今回の4つの練習は、土日や祝日の実走で取り入れる
- いつもと違う刺激を入れて、体の成長を促す
AFTER WORK CLASS
名古屋で、仕事帰りにコーチと一緒に練習しませんか
ORCA CYCLING SCHOOLの大人クラスでは、月曜は筋力トレーニング、火・水曜はローラー練習を1回90分で行っています(星が丘校・名古屋本校)。初心者から上級者まで、1回4,400円から参加できます。
大人クラスを見る →目標別の取り入れ方
| 目標 | 取り入れ方の例 |
|---|---|
| ブロンズ | 週1回の登り練習で、SFRでウォーミングアップしてから、ケイデンスのレンジを変えて一定ペースで登る |
| シルバー | 土日の2回、SFRをウォーミングアップに入れ、ケイデンスを変えた一定ペースのTTを行う。峠を2〜3本登るなら、パフォーマンスが落ちてくる後半の本で、ハンドルの位置やダンシングなど乗り方を変えて登る |
この2週間で守りたい3つのこと
1. 実走で4つの練習を取り入れる
ブロンズを目指す人は週1回、シルバーを目指す人は週2回を目安に、登りの練習にバリエーションをつけましょう。
2. 練習後のケアと食事
SFRや重いギアでトルクをかける練習をすると、太ももの前、ふくらはぎ、腰、お尻にかなり疲れが出ます。練習の後は必ずストレッチをし、睡眠をしっかりとりましょう。減量を意識している方も、ハードな練習をした日はしっかり食べることを意識してください。
3. 気持ちが乗らない日は無理をしない
残り6週間ほどになると、ゴールが見えてくる一方で、心が疲れてくることもあります。モチベーションが上がらない日は、無理に練習しなくて大丈夫です。
よくある質問
Q. 特異性の原則とは何ですか?
練習した内容に近い能力が伸びる、というトレーニングの原則です。ヒルクライムを速くしたいなら、実際の登りでの練習を増やすことで、鍛えた体力が登りの速さにつながりやすくなります。
Q. ケイデンスはいつもより高いのと低いの、どちらで練習すればいいですか?
両方試すのがおすすめです。高いケイデンスは心肺や神経への刺激、低いケイデンスは筋肉への刺激になります。いつもと違う刺激を入れることで、体が成長しやすくなります。
Q. SFRとは何ですか?
重いギアを低いケイデンスで回し、ペダルにトルクをかけ続けるドリルです。「バイクの上の筋トレ」と言われることもありますが、鍛えた筋力をバイクを進める技術に変えるための練習と考えてください。
Q. 平日のインターバルは続けたほうがいいですか?
平日のワークアウトやインターバルはそのまま続けて問題ありません。今回の練習は、土日や祝日の実走で取り入れましょう。
Q. 練習後に脚や腰がかなり疲れます。
重いギアでトルクをかける練習は、太ももの前、ふくらはぎ、腰、お尻に疲れが出やすくなります。練習後のストレッチと、しっかり食べて寝ることを意識しましょう。
まとめ
- 練習した内容に近い能力が伸びる「特異性の原則」にもとづき、実際の登りで練習する
- 一定ペースのTT、ケイデンスのレンジ変更、乗り方の変更、SFRの4つを取り入れる
- 同じ刺激ばかりにせず、新しい刺激で体の成長を促す
- ハードな練習の後は、ストレッチ・睡眠・食事を忘れずに
富士ヒル対策2026シリーズ
- EP.0 まず最初にやるべきこと
- EP.1 トレーニング前に確認すべきこと
- EP.2 練習強度の設定方法(主観的運動強度)
- EP.3 ワークアウトの取り組み方
- EP.4 インターバルトレーニングの取り組み方
- EP.5 バリエーションをつけたヒルクライム練習(この記事)
- EP.6 ペース配分の練習(プログレッション・リグレッション)
- EP.7 本番直前2週間の過ごし方
目標タイム別の必要パワーやペース配分の全体像は、富士ヒル 目標タイム別のペースと練習方法でまとめています。
- Paton CD, Hopkins WG, Cook C. Effects of low- vs. high-cadence interval training on cycling performance. J Strength Cond Res. 2009. doi:10.1519/JSC.0b013e3181b3f1d3
- Hansen EA, Rønnestad BR. Effects of Cycling Training at Imposed Low Cadences: A Systematic Review. Int J Sports Physiol Perform. 2017. doi:10.1123/ijspp.2016-0574
- Swain DP, Wilcox JP. Effect of cadence on the economy of uphill cycling. Med Sci Sports Exerc. 1992;24(10):1123-1127. PMID: 1435159
- Hansen EA, Waldeland H. Seated versus standing position for maximization of performance during intense uphill cycling. J Sports Sci. 2008. doi:10.1080/02640410801910277
- Tanaka H, Bassett DR, Best SK, Baker KR. Seated versus standing cycling in competitive road cyclists: uphill climbing and maximal oxygen uptake. Can J Appl Physiol. 1996. doi:10.1139/h96-013








