パワーメーターを使ったインターバルトレーニング|%FTP別のメニューと頻度・回復の考え方

パワーメーターで行うインターバルトレーニング

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

パワーメーターを買いました。

インターバルトレーニングは、何%FTPで、何分を何本やればいいですか?

パワーメーターを使ったインターバルトレーニングは、FTPを基準に強度を決め、目的に合わせて「強度・時間・本数・休息」を組み立てるのが基本です。回数は週1〜3回(基本は2回)にして、残りの日は低強度で走ります。

この記事では、インターバルトレーニングの仕組み、FTPを基準にしたパワーゾーン、目的別の具体的なメニュー、週の組み方、うまくいったかの判断基準、ERGモードの使い方を解説します。

目次

インターバルトレーニングとは

高い強度と休息をくり返す練習

インターバルトレーニングは、高い強度で走る時間と、軽く回して休む時間をくり返す練習です。すでに鍛えている選手は、低強度の練習量を増やしても伸びにくく、高強度のインターバルを加えることで伸びるとされています[1]。

インターバルは、強度、時間、休息の強度と時間、本数、セット数などを組み合わせて設計します[4][5]。同じ「インターバル」でも、組み合わせ次第で鍛えられる能力が変わります。

パワーメーターを使うメリット

パワーメーターは、屋外でも正確で再現性の高いデータが取れ、練習やレースの負荷を数字で確認できます[6]。心拍数は強度の変化に遅れて反応しますが、パワーはペダルを踏んだ瞬間の強度がわかるため、短いインターバルでも狙った強度で走れます。

ローラー台でインターバルトレーニングをするサイクリスト

FTPを基準にしたパワーゾーン

インターバルの強度は、FTP(1時間ほど維持できるパワー)を基準に決めます。代表的なのが、7つのゾーンに分ける方法です(Allen & Cogganの書籍で広く紹介されている分け方)。

ゾーン名前%FTP主な目的
Z1回復55%未満疲労回復
Z2エンデュランス56〜75%有酸素の土台
Z3テンポ76〜90%長く出せるパワー
Z4閾値91〜105%FTPの向上
Z5VO2max106〜120%最大酸素摂取量
Z6無酸素121〜150%無酸素のパワー
Z7スプリント全力瞬発力

FTPの測り方は、FTPとは?ロードバイクの目安で解説しています。FTPが正しく設定されていないと、インターバルの強度もずれてしまうので、定期的に測り直しましょう。

インターバルの種類と具体的なメニュー

種類目的強度の目安メニュー例頻度の目安
テンポ・SST有酸素の土台、長く出せるパワー76〜94%FTP3×15分週1〜2回
閾値FTPの向上95〜105%FTP2×20分(休息5〜10分)週1回
VO2max(長め)最大酸素摂取量106〜120%FTP5×4〜5分(休息は同じ時間)週1回
VO2max(短め)最大酸素摂取量120%FTP前後30秒全力に近い強度+15〜30秒休息をくり返す週1回
無酸素・スプリント無酸素のパワー、瞬発力121%FTP以上・全力8〜12×30秒、10秒スプリント週0〜1回

表の強度やメニューは、研究と指導経験をもとにした目安です。研究によっては、FTPではなく最大パワーや心拍数を基準にしているため、数値をそのまま比べることはできません。

閾値インターバル

FTP付近で長く走り、FTPそのものを引き上げる練習です。2×20分が代表的なメニューです。研究では、6回の練習に4分程度のインターバルを加えるだけで、40kmタイムトライアルの記録が約3%改善しました[7]。

VO2maxインターバル(長め)

3〜5分の高強度で、体が取り込める酸素の最大量(VO2max)を高めます。効果を出すには、VO2maxに近い強度で走る時間を、1回の練習で数分以上確保することが大切だと考えられています[4]。4分×4本の高強度インターバルが、ゆっくり長く走る練習よりもVO2maxを大きく伸ばしたという研究もあります(ランナーを対象にした研究)[8]。

短いインターバル(30秒前後)

30秒前後の高強度と短い休息をくり返すインターバルです。鍛えたサイクリストを対象に、10週間、週2回のインターバルを比べた研究では、短いインターバルのほうが長いインターバルよりも、VO2maxが大きく伸びました(短い:+8.7%、長い:+2.6%)[2]。

無酸素・スプリント

30秒以下の全力に近い強度で、レースのアタックやスプリントに必要な力を鍛えます。強度が高く、神経や筋肉への負担も大きいため、回数は控えめにします[5]。

テンポ・スイートスポット

FTPの76〜94%程度で長めに走る練習です。疲労が少ないわりに効果が高く、インターバルの土台になります。くわしくはSST(スイートスポットトレーニング)とは?とクリスクロスとは?をご覧ください。

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目標パワーの決め方

  • まずはFTPを測り、各ゾーンのパワーを計算する
  • 1本目は目標の下限から始め、2本目以降で調整する
  • 最後の1本まで目標パワーを保てる強度が「ちょうどいい強度」
  • 屋外では勾配や風でパワーがぶれるので、3秒平均など少しならした数値を見る

週の回数と組み方

トップ選手の練習は、およそ8割が低強度、2割が高強度に分かれる傾向があります[3]。9週間の比較では、低強度中心に少しの高強度を組み合わせた練習(ポラライズド型)が、閾値中心や量中心の練習よりも持久力の指標を大きく伸ばしました[9]。

インターバルは週1〜3回(基本は2回)にして、残りの日はZ2の低強度で走るのがおすすめです。

曜日内容
月休養
火インターバル①(閾値 2×20分など)
水Z2で60分
木インターバル②(VO2max 5×4分など)
金休養またはZ1で30分
土Z2で長め(2〜3時間)
日Z2〜テンポで1.5〜2時間

低強度中心の考え方は、ロードバイクで持久力を高めるトレーニングでも詳しく解説しています。

回復のとり方

  • インターバルの間の休息は、Z1〜Z2で軽く回し続ける
  • 高強度の日を2日続けない
  • 睡眠不足や疲れがたまっているときは、インターバルを低強度に切り替える

高強度の練習は、心肺だけでなく神経や筋肉への負担も大きくなります[5]。回復が追いつかないまま続けると、パワーが出なくなり、練習の質が下がってしまいます。

うまくいったかの判断基準

見るもの目安
パワー最後の1本まで、目標の95%以上を保てている
心拍数VO2maxのインターバルなら、後半に最大心拍数の90%以上まで上がっている
きつさの感覚毎回メモしておき、同じパワーで楽になってきたら成長の目安
心拍の上がり方長めの一定走で、後半に心拍だけが上がる幅(デカップリング)が5%未満なら、持久力が十分(現場で使われる目安)

よくある失敗

  • 1本目を頑張りすぎて、後半に失速する
  • 瞬間のパワーを追いかけて、強度がぶれる
  • インターバルの日を増やしすぎて、低強度の日まで中途半端な強度になる[3]
  • FTPを測り直さず、強度が合わなくなっている

屋内と屋外の違い、ERGモードの使い方

スマートトレーナーのERGモードは、目標パワーを自動で一定に保ってくれるので、閾値やVO2maxの長めのインターバルに向いています。一方、30秒前後の短いインターバルやスプリントでは、負荷の切り替えが遅れることがあるため、ERGモードを切って自分でギアを変えるほうが走りやすくなります。

屋外で行う場合は、信号や交差点が少ない平坦な道か、一定の勾配の登りを選びましょう。ローラー台の使い方は、ローラートレーニングの記事も参考にしてください。

持病がある方や、久しぶりに運動を再開する方は、高強度の練習を始める前に医師に相談してください。

よくある質問

Q. 初心者でもインターバルトレーニングをやるべきですか?

まずは低強度で走る量を確保して、有酸素の土台をつくるのが先です。そのうえで、テンポ走やスイートスポットなど、きつすぎない強度から始めましょう。

Q. インターバルは週に何回までやっていいですか?

週1〜3回、基本は2回が目安です。強度の高い日を連続させず、残りの日は低強度で走りましょう。

Q. 途中で目標パワーが出なくなったら、どうすればいいですか?

目標の95%を下回ったら、その日は無理をせず終わりにしましょう。毎回届かない場合は、FTPの設定が高すぎる可能性があるので見直します。

Q. 心拍計だけでもインターバルはできますか?

できますが、心拍数は強度の変化に遅れて反応するため、30秒〜数分の短いインターバルでは強度の管理が難しくなります。短いインターバルほど、パワーメーターが向いています。

Q. 30秒の短いインターバルと、4〜5分の長いインターバルはどちらが良いですか?

研究では、短いインターバルのほうが大きく伸びたという報告があります。ただし、どちらにも役割があるので、時期や目的に合わせて使い分けるのがおすすめです。

まとめ

パワーメーターを使ったインターバルトレーニングのまとめ
  • インターバルは、FTPを基準に「強度・時間・本数・休息」を組み立てる
  • 閾値はFTPの向上、VO2maxは最大酸素摂取量、短いインターバルや全力走は無酸素のパワーに効く
  • インターバルは週1〜3回(基本は2回)、残りは低強度
  • 最後の1本まで目標の95%以上を保てる強度で行う
  • FTPは定期的に測り直す

パワーメーターがあると、練習の強度と成長が数字ではっきりわかります。目的に合ったインターバルを選んで、効率よく強くなっていきましょう。

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参考文献
  • Laursen PB, Jenkins DG. The scientific basis for high-intensity interval training: optimising training programmes and maximising performance in highly trained endurance athletes. Sports Med. 2002;32(1):53-73. doi:10.2165/00007256-200232010-00003
  • Rønnestad BR, Hansen J, Vegge G, Tønnessen E, Slettaløkken G. Short intervals induce superior training adaptations compared with long intervals in cyclists – an effort-matched approach. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(2):143-151. doi:10.1111/sms.12165
  • Seiler S. What is best practice for training intensity and duration distribution in endurance athletes? Int J Sports Physiol Perform. 2010;5(3):276-291. doi:10.1123/ijspp.5.3.276
  • Buchheit M, Laursen PB. High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle: Part I: cardiopulmonary emphasis. Sports Med. 2013;43(5):313-338. doi:10.1007/s40279-013-0029-x
  • Buchheit M, Laursen PB. High-intensity interval training, solutions to the programming puzzle. Part II: anaerobic energy, neuromuscular load and practical applications. Sports Med. 2013;43(10):927-954. doi:10.1007/s40279-013-0066-5
  • Passfield L, Hopker JG, Jobson S, Friel D, Zabala M. Knowledge is power: Issues of measuring training and performance in cycling. J Sports Sci. 2017;35(14):1426-1434. doi:10.1080/02640414.2016.1215504
  • Stepto NK, Hawley JA, Dennis SC, Hopkins WG. Effects of different interval-training programs on cycling time-trial performance. Med Sci Sports Exerc. 1999;31(5):736-741. doi:10.1097/00005768-199905000-00018
  • Helgerud J, et al. Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(4):665-671. doi:10.1249/mss.0b013e3180304570
  • Stöggl T, Sperlich B. Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training. Front Physiol. 2014;5:33. doi:10.3389/fphys.2014.00033
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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