サイクリスト・トライアスリートが筋トレをする理由|効果・頻度・おすすめ種目を論文で解説

サイクリストが筋トレをする理由

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

ロードバイクやトライアスロンに、筋肉って必要ですか?

体重が増えて遅くならないか心配です。

結論から言うと、サイクリストやトライアスリートに必要なのは、「筋肉」よりも「筋力」です。そして、筋力を効率よく高められるのが筋トレです。研究でも、持久系の練習に筋トレを組み合わせると、ペダリングの効率やレース終盤のパワーが高まることがわかっています。

この記事では、筋肉・筋力・パワーの違い、サイクリストが筋トレを行う理由、研究結果、時期ごとの取り組み方を解説します。

名古屋・栄/久屋大通の「ORCA PERSONAL GYM」では、筋トレ・ボディメイク・スポーツのためのパーソナルトレーニングを完全個室で行っています。

目次

筋肉・筋力・パワーの違い

筋トレの目的をはっきりさせるために、まずは言葉の意味を整理しておきましょう。

言葉意味
筋肉(骨格筋)骨と骨をつなぐように付着し、姿勢を保ったり、体を動かしたりする筋肉
筋力筋肉(骨格筋)が発揮する力
パワー筋力を使って物体を動かすこと。いわゆる仕事率

ロードバイクでは、パワー = トルク(筋力)× ケイデンス(回転数)と考えることができます。どれだけ強くペダルを踏んでも、ケイデンスが0ならパワーは0です。反対に、回転数を上げるだけでパワーを伸ばすことにも限界があります。

そこで大切になるのが、筋力からパワーを高めることです。筋トレは筋肉を増やすこともできますが、サイクリストが狙うのは主に「筋力」の向上です。目的によって、取り組む内容が変わることを理解しておきましょう。

サイクリストが筋トレを行う3つの理由

① ペダリングの効率が上がり、疲れにくくなる

筋力が高まると、これまでと同じパワーでペダルを回すときに、1回ごとに必要な力が「最大筋力に対して」相対的に小さくなります。その結果、ペダルを踏むパワーが高まるだけでなく、同じペースで走ったときの疲労が少なくなり、持久力の向上にもつながります。

② 筋肉量と筋力を維持できる

長時間ロードバイクに乗り続けると、体に蓄えたエネルギーだけでは足りなくなり、脂肪や筋肉を分解してエネルギーをつくる働きが高まります。その結果、筋肉量が減って筋力が落ち、パワーの低下につながることがあります。

筋トレには、こうした筋肉の分解を抑え、筋肉の合成を促すはたらきがあります。シーズン後半になると筋肉量が落ち、パフォーマンスが下がっていく選手は少なくありません。シーズン中も週1回程度、筋トレを続けることをおすすめします。

③ レース終盤のパワーが落ちにくくなる

この効果は、次の研究で詳しく示されています。

研究からわかる、筋トレの効果

185分走った後の5分パワーが向上

ノルウェーの研究では、よくトレーニングされた自転車選手20名を、ふだんの持久系の練習だけを行うグループと、それに高重量の筋トレ(下半身4種目、4〜10回×3セット、週2回)を加えたグループに分け、12週間トレーニングしました。

その結果、筋トレを加えたグループは、185分間走った後の最後の1時間で、酸素摂取量・心拍数・血中乳酸・きつさの感覚がより大きく下がりました。さらに、185分走った後に行った5分間の全力走の平均パワーが、371Wから400Wに向上しました。持久系の練習だけのグループには、変化がありませんでした。

つまり、筋トレはレースの終盤、疲れがたまった状態でのパワーを高めてくれる可能性があるということです。

20週間で、最大筋力とVO2maxが向上

競技レベルのロードレーサーを対象にした別の研究では、20週間の最大筋力・爆発的筋力のトレーニングによって、最大筋力、自転車でのスプリント力、最大酸素摂取量(絶対値)が向上しました。持久系の練習だけのグループには、変化がありませんでした。

なぜ筋トレで持久力が上がるのか

研究をまとめたレビューでは、その理由として、効率の悪い速筋線維(タイプⅡ)が使われはじめるタイミングが遅くなること、速筋線維の中でも疲れにくいタイプ(ⅡA)への変化、筋肉量や力の立ち上がりの速さの向上などが挙げられています。また、シーズン中に筋力を維持するトレーニングを続けることが欠かせないとされています。

ポイント
  • サイクリストに必要なのは、「筋肉」よりも「筋力」
  • 持久系の練習に高重量の筋トレを加えると、疲れた後のパワーやペダリング効率が高まる
  • 高めた筋力は、シーズン中も週1回程度の筋トレで維持する

筋トレのデメリットと注意点

サイクリストが筋トレをすることに、大きなデメリットは特にありません。ただし、筋肉痛で自転車の練習に支障が出ることがあるため、筋トレを行うタイミングや種目の選び方を考える必要があります。

「筋肉が増えて体重が重くなるのでは」と心配される方も多いですが、持久系の練習を並行して行っていれば、大きく体重が増えることはありません。もし増えるとすれば、消費カロリーより摂取カロリーが多い場合なので、食事内容を見直しましょう。

サイクリストにおすすめの筋トレ種目

効果を最大限に得るためには、自重トレーニングではなく、バーベルやダンベルを使ったウエイトトレーニングをおすすめします。下半身3〜4種目、上半身2種目程度が目安です。

筋トレの頻度とタイミングはロードバイクに効果的な筋トレの頻度とタイミング、フォームの考え方はスクワットを例にした正しい筋トレで解説しています。種目の詳しいやり方は、ロードバイクに効果的なジムで行う筋トレメニューでも解説しています。

時期別の筋トレの取り組み方

時期頻度セット数回数期間
オフ:準備期週1〜2回(中2〜3日あける)1種目3セット全種目8〜10回4〜6週間
オフ:筋力向上期週1〜2回(中2〜3日あける)1種目3〜4セット下半身4〜6回/上半身6〜8回6〜8週間
オン:筋力維持期(シーズン中)週1回(同じ曜日に実施)1種目2〜3セット6〜8回シーズン中ずっと

初めて筋トレをする方は、重さよりもフォームを優先しましょう。何のために行うのか、目的を意識しながら取り組むことも大切です。

すでに筋トレをしているのにパフォーマンスが伸びない場合は、メニューの見直しが必要なこともあります。持久系の練習と筋トレの組み合わせ方については、書籍『コンカレントトレーニング』も参考になります。トライアスロンのバイクポジションについては、トライアスロン・TTのバイクポジションの作り方で解説しています。

よくある質問

Q. ロードバイクやトライアスロンに筋トレは必要ですか?

必要です。研究では、ふだんの持久系の練習に高重量の筋力トレーニングを加えると、ペダリングの効率や、長時間走った後のパワーが高まると報告されています。

Q. 筋トレをすると体重が増えて遅くなりませんか?

持久系の練習を並行して行っていれば、大きく体重が増えることはほとんどありません。体重が増えるとすれば、消費カロリーより摂取カロリーが多い場合なので、食事内容を見直しましょう。

Q. 筋トレは週に何回すればいいですか?

オフシーズンは週1〜2回(中2〜3日あける)、シーズン中は筋力を維持するために週1回が目安です。シーズン中にやめてしまうと、せっかく高めた筋力が落ちてしまいます。

Q. 自重トレーニングでも効果はありますか?

筋力を高める効果を最大限に得たいなら、自重トレーニングよりも、バーベルなどを使ったウエイトトレーニングがおすすめです。研究でも、効果が示されているのは主に高重量の筋力トレーニングです。

まとめ

サイクリストが筋トレを行う理由のまとめ
  • サイクリストやトライアスリートに必要なのは「筋肉」より「筋力」
  • パワー=トルク(筋力)×ケイデンス。筋力を高めることがパワー向上につながる
  • 研究では、持久系の練習に高重量の筋トレを加えると、185分走った後の5分パワーが向上した
  • オフは週1〜2回で筋力を高め、シーズン中も週1回で維持する

速くなりたい方はもちろん、健康的にサイクリングを楽しみたい方も、ぜひ筋トレを取り入れてみてください。

NAGOYA | 栄・久屋大通 パーソナルトレーニング

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参考文献
  • Rønnestad BR, Hansen EA, Raastad T. Strength training improves 5-min all-out performance following 185 min of cycling. Scand J Med Sci Sports. 2011;21(2):250-259. doi:10.1111/j.1600-0838.2009.01035.x
  • Beattie K, Carson BP, Lyons M, Kenny IC. The effect of maximal- and explosive-strength training on performance indicators in cyclists. Int J Sports Physiol Perform. 2017;12(4):470-480. doi:10.1123/ijspp.2016-0015
  • Mujika I, Rønnestad BR, Martin DT. Effects of increased muscle strength and muscle mass on endurance-cycling performance. Int J Sports Physiol Perform. 2016;11(3):283-289. doi:10.1123/IJSPP.2015-0405
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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