Periodization(ピリオダイゼーション)という考え方についてご案内させていただきたいと思います。
目次
Periodization (ピリオダイゼーション) とは?
ペリオダイゼーションは、目的目標を達成するために期分けされたトレーニングプログラムを表します。Training Peaksに基づいて伝えるとATP(Annual Training Plan)がピリオダイゼーションに該当することになります。 https://toruito16.com/trainingpeaks-atp/ ATP に関する基礎知識でも説明をしておりますが、ピリオダイゼーションとは”海を航海するための地図と羅針盤”のようなものです。到着したい場所に対して、現地点からどのような道を進めばいいかを確認しつつ、迷わず進んでいくための経路となります。 そんなATPの機能に合わせて説明すると、ピリオダイゼーションは以下のように区分されます。 ✔︎ macrocycle … 半年-1年間単位のブロック ✔︎ mesocycle … 4-8週間単位のブロック ✔︎ microcycle … 1週間単位のブロック より理解を深めていただくために、各ブロックの説明を順にしていきたいと思います。Macro cycle (マクロサイクル)とは
マクロサイクルは、現在から目的目標としているレース・イベントの期間を表します。一般的なアスリートの場合は半年間から1年間となると思われますが、オリンピック選手になると4年間ものマクロサイクルになることもあります。 例えば、おきなわ市民210kmを例に挙げると ✔︎ 現状 … 2019月11月のおきなわ市民210km参加時のFTPが300wで50位 ✔︎ 目標 … 2020年11月のおきなわ市民210km参加時はFTP320wで30位 というような感じです。 このマクロサイクルを考える上で、とても大切になってくるのが具体的な目標設定と言えるでしょう。それらの目標設定は“SMARTの法則”に基づいて立てることをお勧めします。SMARTの法則とは S : Specific (具体的な):目標が具体的かどうか M : Measurable (測定可能な):数値化されている目標か A : Achievable (実現可能な):達成可能な目標か R : Relevant (関連した):目標の達成が目的に繋がるものか T : Time-bound (期限を定めた):期限が設定されている目標か ※各項目の頭文字をつなぎ合わせたものがSMARTの法則となります。上記の例ではFTPを目標としましたが、実際にはMMPやCTLだけでなく、FRCやSTAMINAといった細かくも具体的な各種指標が大切になってくると考えております。自身が参加する目的目標に合わせて必要な能力を割り出し、現状と理想(目標値)の差を、可能な限り視覚化しましょう。
【マクロサイクルのポイント】
1. 現在の自身の把握
2. SMARTの法則に基づいた目的目標の設定
Meso cycle (メゾサイクル)とは
メゾサイクルは、マクロサイクルで立てた目的目標を達成するために、各時期にどのような意図を持ってトレーニングをするかを期分けしながら遂行していく期間になります。基本的には4週間から8週間を1つのブロックとして実施します(中にはそれ以上の場合もあります)。 ✔︎ 最大酸素摂取量の向上 ✔︎ 血中乳酸値2.0〜4.0mmol/g 下での出力向上 ✔︎レース適応 ✔︎レースに向けたコンディションを調整 などの様々な意図を持ち、それらを各時期に分けて実施するという形になると思いますが、ロードレースをターゲットとした場合、以下のように分けられると考えられます。ロードレースにおけるメゾサイクル Base … 基礎的な持久力および技術の習得 Build … レースに必要とされる能力の向上 Peak … レースに向けて刺激を入れる Race … レースに向けた最終仕上げ Transition … 休息 / 次のPeriodに備える ※#2.5 Training Peaksの使い方(ATP編) より出典また、各時期に移行する際に、必ず自身が目標としていた数値に達したかどうかを確認しましょう。達した場合は上方修正、達しなかった場合は下方修正という形で達成したい目標調整を加え、次の期に移行するか、それとも同じ期を続けるかを冷静に判断しながら取り組んでいくことをオススメします。
【メゾサイクルのポイント】
1. バランスよくメゾサイクルを設定する
2. 各期に移行する際に、必ずFitnessのCheckをする
Micro Cycle (ミクロサイクル)とは
ミクロサイクルは、各期に分けられたメゾサイクルの中の1週間を、どのように遂行していくかを考えたプログラムになります。 これらは各時期によって取り組まれるワークアウトが変わり、それらのワークアウトを分けるとするのならば”フィットネスの向上””レースへの適応”の2つになると考えられます。 ※ スプリントやコーナリングやレース戦術といった知識・技術に関する内容は別に行う必要がありますが、こちらの記事では説明しません。 例えば、私の場合は個人的な経験としてBuildの場合は以下のような方法でワークアウトを組むことが多いです。
例 : Buildにおけるミクロサイクル
月曜日 : 完全休養日
火曜日 : Z5 or Z6 Interval (苦手な方)
水曜日 : Z5 or Z6 Interval (得意な方)
木曜日 : Z3 Ride
金曜日 : Z1 or 完全休養日
土曜日 : Z3 + Z6 Interval
日曜日 : Z2-3 (Group Ride) + Z7 Sprint
※ ロードバイクのトレーニング Part.2 より一部出典
ここで大切になってくるのは各曜日毎の配列になります。
上記の例で言う場合に、木曜日にZ3→Z4にしてしまえば、金曜日の休養日の疲労回復が間に合わずに土曜日のワークアウトにネガティブな影響が出てしまう可能性もあることが考えられます。
また、CTLが70の方が土曜日のワークアウトで300TSSに達すると日曜日のワークアウトだけでなく、下手したら火曜日・水曜日のワークアウトにも影響が出ることが考えられますので、自身がどれだけのTSB(マイナス)なら耐えれるのか、あるいはトレーニングに支障がないのかを確認しながら、ワークアウトを実施していきましょう。
【ミクロサイクルのポイント】
1. 科学的根拠に基づいたワークアウト(Base,Build)
2. 目的目標のレースに基づいたワークアウト(Build~Race)
3. TSBを確認しながら行うことが大切