サイクリストやトライアスリートが筋トレを行う理由とは

“ロードバイクやトライアスロンに筋肉は入りますか” という質問をいただきます。結論から言えば、欲しいのは筋肉ではなく筋力です。

 

もちろん、中にはパフォーマンス向上のために増量しないといけないケースもあるため、筋肉が必要であると考えられる人もいます。しかし、最終的に多くの方の場合は筋力を高めるということに繋がるでしょう。そのために重要になるのが筋トレです。

 

本記事は、筋トレがなぜ有効かについて説明していきます。

 

筋肉と筋力の違いとは

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冒頭にも述べたように、筋肉と筋力を混同して使ってしまう方もいるので、その違いを説明します。筋肉は横紋筋・平滑筋という2種類に分かれており、横紋筋は更に骨格筋・心筋という筋肉に分かれます。

 

こちらの記事で説明する筋肉は、骨格筋を指します。骨格筋は、骨と骨を繋ぐように体に付着しており、姿勢を保ったり体を動かすために使われる筋肉になります。対して、筋力とは、骨格筋が発揮する力を表します。筋トレは筋肉を増やすこともできますし、筋力を高めることができますが、目的や方法によって取り組む出来内容が異なります。その違いを理解しておきましょう。

 

筋力とパワーの違いとは

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同じように、筋力とパワーを混同して使ってしまう方もいるので、その違いも説明します。筋力は骨格筋が発揮する力のことを表しますが、パワーとは筋力を活用して物体を動かすこと、いわゆる仕事率を表します。

 

ロードバイクでは、パワー = トルク(筋力) × ケイデンス(速度) と考えられます。

 

平坦にてロードバイクに乗る場合、クランクを下死点で踏み続けるようにトルクをかけても、ケイデンスが0であればパワーは0となり、ロードバイクが動くことはありません。ですが、クランクを上死点から下死点に踏み抜くことでロードバイクが動き始めます。この物体を動かす時に発揮される踏み抜く速度が速ければ速いほど、パワーが高いと言われます。

 

#1.0 Training Peaks の使い方 (基礎編)

 

メリットについて

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筋トレをすることで得られることができるメリットは、主に4つあると考えられます。

 

① パワーの向上
② 筋肉量の維持・向上
③ 運動効率の向上

 

それぞれ順に説明していきたいと思います。

 

目次

パワーの向上

先ほども述べたように、パワーはトルク(筋力) × ケイデンス(速度) で表されます。パワーを向上させるためには、筋力と速度の両方にアプローチする必要がありますが、(筋収縮)速度はある程度上限が決まっているため、速度でパワーを向上させることには限界があります。そのため、筋力にアプローチしてパワーを向上させることが重要になりますが、その筋力を効率よく向上させてくれるトレーニングが筋トレになります。

 

筋トレは、ペダルを踏み込むパワーの向上に繋がるためだけでなく、今までと同じようにペダルを回した際に発揮する力が相対的に少なく済むため持久力(疲労の軽減)を向上させることにもつながるというメリットがあります。(1)

 

筋肉量の維持・向上

ロードバイクを漕ぎ続けると、体の中に蓄積されたエネルギーだけでは足りず、脂肪や筋肉を分解しながらエネルギーを作る働きが活性化されます。それに伴い筋肉量が減量し、(筋力の低下が原因となる)パワー低下に繋がることがあります。また、それだけでなく、筋肉はエネルギー(グリコーゲン)の貯蔵庫としての役割もあるため、筋肉量の減量は持久力の低下にも繋がることがあります。

 

筋トレは、そうした筋分解の抑制や筋の再合成(筋肥大)が望めるため、筋肉量を維持しつつ筋力・持久力の低下を抑制することができるというメリットがあります。

 

【豆知識】
シーズン後半は、シーズン前半に比べて筋肉量が低下していることが多く、パフォーマンスが低下していく選手が多い。少なくとも、シーズン中は週1回程度、継続的に筋トレすることをお勧めする。(2)

 

運動効率の向上

プロサイクリストを対象に
E群:有酸素運動だけを行ったグループ
E + S群 : 有酸素運動+筋トレを行ったグループ
にわけて12週間トレーニングを行った結果、どうなったかを比べた論文があります。

 

E群に比べ、E+S群の方が185分間走行した場合、最後の60分間において自転車の駆動効率(ペダリング効率)向上による持久能力向上(疲労の軽減)が見られたという報告があります(3)。併せてE+S群には筋繊維の変移(TypeⅡxからTypeⅡa) が生じ、5分間のにおける出力が7%向上したという結果も得られてます。

 

デメリットについて

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サイクリストが筋トレをすることのデメリットは特にありませんが、筋肉痛により競技練習に支障がある場合があるため、どのタイミングで筋トレをするべきか、またどのような種目を選ぶべきかを考える必要があります。

 

時に、筋肉量が増えて体重が重たくなってしまうのではないかと心配される方も多いですが、持久的トレーニングを並行して行っている場合は大きく増量することはありません。仮に増量するケースがあるとすれば、消費カロリー以上に摂取カロリーが増えた時なので、食事内容を見直す必要があります。

 

どのように取り組むべきか

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効果を最大限求めるためには、自体重エクササイズではなくウエイトトレーニングを実施することをお勧めしていますので、ウエイトトレーニングのエクササイズを紹介したいと思います。

 

エクササイズ種目 ( 参考 : YouTube にて動画確認 )
・ パラレルスクワット
・ ルーマニアンデッドリフト
・ リバースランジ
・ ベントオーバーロウ
・ ワンハンドロウ
※ 下半身3-4種目 / 上半身2種目程度がオススメ

 

オフ) 準備期 :  4-6週間
頻度 : 週 1-2回 – 中 2-3日開けて実施
セット数 : 1種目 3セット
レップ数 : 全種目 8〜10回
期間 : 4-6週間 継続的に実施

 

オフ ) 筋力向上期 : 6-8週間
頻度 : 週1-2回、中2-3日開けて実施
セット数 : 1種目 3-4セット
レップ数 : 下半身種目 4-6回 / 上半身 6-8回
期間 : 6-8週間 継続的に実施

 

オン ) 筋力維持 : シーズン中
頻度 : 週1回、同一曜日で実施
セット数 : 1種目2 – 3セット実施
レップ数 : 6-8回実施
期間 : シーズン中 継続的に実施

 

※ 実施するにあたっての注意
・ 初めての方は、重量よりもフォームを意識しましょう
・ 目的を意識しながらトレーニングしましょう

 

サイクリストやトライスリートで速くなりたいと考えている方だけでなく、健康的にサイクリングを楽しみたいという方は、上記を参考に取り入れてみてははいかがでしょうか。

 

また、既に筋トレをしているのにパフォーマンスが伸びないと悩んでいる場合、トレーニングメニューの見直しが必要な場合もあります。コンカレントトレーニングという本がありますので、そちらをご確認ください。

【参考書物の紹介】

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【参考資料】

(1) The Effect of Maximal- and Explosive-Strength Training on Performance Indicators in Cyclists

(2) Effects of Increased Muscle Strength and Muscle Mass on Endurance-Cycling Performance

(3) Strength training improves 5-min all-out performance following 185 min of cycling

 

【この記事を書いた人】

伊藤透 ( よろしければ Twitter のフォローお願いします )

【保有資格 】
NSCA-CPT (LEVEL1)
健康運動指導士
日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ3

【指導依頼】
パーソナルトレニングの依頼はこちら

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この記事を書いた人

愛知県名古屋市のロードバイクスクール。

小学生から大人まで幅広く指導しております。

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