全日本実業団自転車競技連盟(以下、JBCF)のエリートツアーに参戦したい!と考えている選手に向けて、参考になるフィットネスデータを紹介したいと思います。
実業団レースとは
JBCFは以下のカテゴリーに分類されて、ロードレースが実施されます。
JPT : 日本最高峰の自転車ロードレースツアー
JET : 日本自転車ロードレースの年間シリーズツアー
JYT : 18歳以下の選手による自転車ロードレースツアー
JFT : 女性選手による自転車ロードレースツアー
● 全日本自転車競技連盟とは?
JBCF ROAD SERIES について
本記事では、JETで分類されている3つの階級( E3 / E2 / E1 )の中でも、E1( JET最上位カテゴリー ) への挑戦を目指す選手に必要とされるフィットネスデータを紹介します。
【補足】
JETに参加するためには、参加料だけでなくJBCFにチーム登録料 + 選手登録料を支払う必要があります。また、チームアテンダント・審判員などのライセンスを有する必要もあります。
個人で参戦するには少々敷居が高いため、既存のチームに所属すると良いでしょう。
実業団選手のフィットネス
Twitter で呼びかけた際にご協力いただけた、E1を走行されていた選手 (優勝経験を有する選手含む)10名のパワーデータをいただき、パワープロフィールの集計させていただきました。
各選手、身長・体重が異なるため、参考になりやすいよう絶対値ではなく、相対値(PWR:パワーウエイトレシオ)で紹介をさせていただきます。こちらの数値を指標としてみましょう。
※ ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
● パワープロフィールの平均値
5sec : 18.974w/kg
1min : 9.2642w/kg
5min : 5.8262w/kg
20min : 4.998w/kg
※ パワープロフィール について
ロードレースを走るためには、上記以外の指標も大切です。例えば、CTLや当日のTSBなどといったコンディショニングを理解する必要もありますし、FRCなどのインターバルの強さを理解する必要もあるので、以上の数値は、あくまでも純粋なパワープロフィールとしての参考程度にしましょう。
フィットネスを目標に計画を立てること
こうしたレベルになるためには、まずは自身のパワープロフィールを理解しながら、そのレベルに達するための期間や具体的な目標が必要となってきます。そうした計画を立てることに適しているのがTrainin Peaks ( TP : トレーニングピークス )です。
仕事やプライベートな時間を除いて、トレーニングに費やすことができる時間がどれだけあるかを考えながら、ワークアウトを実施する必要があります。ちなみに、E1を走るためには、1週間単位の練習時間が10-14時間程度、CTLは90-110程度あるのが望ましいと考えられます。
参照 : #2.0 Training Peaks の使い方 ( ATP編 )
メニューの組み方などでわからないことがあれば、こちらのトレーニング方法を参考にしてみてください。
フィットネス以外に必要なこと
上記で示したフィットネスに達したとしても、E1カテゴリーで勝てるかどうかは別のお話です。そのレベルで闘うためには、フィットネス以外にも以下のことを理解する必要があります。
① テクニックを身につけること
ロードレースは対人スポーツです。フィットネスが高くても、集団走行スキルやコーナリングなどのスキルがなければ、余計な体力を削られてしまったり落車して完走できなくなることもあります。そのため、機材を扱うテクニックを身につける必要があります。
② 戦略・戦術を理解すること
ロードレースは知力を競うスポーツでもあります。誰をマークして、誰が動いたら自分がどう動くのか、アタックをする場所やタイミングなどを考えながら、自分の体力を温存しながらも相手の体力を削って勝つための道筋を考える必要があります。
③ 機材を選ぶこと
ロードレースは機材スポーツです。使用している機材の性能でも優劣が決められる場合があります。重量10kgの車体と7kgの車体では登坂の軽さも違いますし、平均時速45kmの中を走る平坦で使用するホイールによっても進みやすさが変わるため、どんな機材を使えば良いかを考える必要があります。
これら以外にも補給の方法や天候への対応などありますが、一つ一つ経験しながら自分に必要な情報を精査していきましょう。
本記事のまとめ
フィットネスが高いと、勝利できる可能性が高くなりますが必ずしも勝てるという訳ではありません。経験に基づいた知略や、仲間や他チームの連携など、様々な因子が絡まってロードレースは行われていくため、勝者はいつも同じではありません。
ですが、基本となるフィットネスが高くなければ勝つ確率はかなり低いので、しっかりとフィットネスを向上させることも念頭において、練習・トレーニングを重ねていきましょう。トレーニングでお悩みのことがあれば、なんでもご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【この記事を書いた人】
伊藤透【保有資格 】
NSCA-CPT ( LEVEL1 )
健康運動指導士
日本スポーツ協会公認自転車競技コーチ3