冬のローラー練習メニュー|スマートトレーナー・Zwiftで平日60分にやること

室内のスマートトレーナーでトレーニングするサイクリスト

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

冬は平日に外を走れないので、スマートトレーナーでローラー練習をしています。

でも毎回なんとなく1時間こいで終わってしまい、何をやればいいのか分かりません。

結論から言うと、冬のローラー練習は「FTPを基準にゾーンを決め、目的別のメニューを週2回の高強度+残りは低強度で組む」のが基本です。平日60分でも、メニューの中身と暑さ対策、疲労管理を押さえれば、春に向けて十分に力を伸ばせます。

この記事では、スマートトレーナーやZwiftなどのアプリを使った練習メニューを、具体的な時間と%FTPの表で紹介し、平日60分の1週間の組み立て方、ERGモードの使い方、室内の暑熱対策、TSSを使った疲労管理まで解説します。

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目次

冬のローラー練習はスマートトレーナーが効率的な理由

冬は日没が早く、気温も低いため、平日の夜に外で練習するのは難しくなります。そこで役に立つのが室内トレーニングです。中でも、パワーを測りながら負荷を自動で調整できるスマートトレーナーは、短い時間で狙った強度をこなすのに向いています。

3本ローラーとスマートトレーナー(固定ローラー)の違い

ローラー台には大きく分けて「3本ローラー」と「固定ローラー」があります。3本ローラーは自転車を固定せずに乗るため、バランス感覚やペダリングのスムーズさを磨くのに向いています。乗り方のコツは3本ローラーの乗り方の記事で詳しく解説しています。

一方、固定ローラー、特にスマートトレーナーは自転車をしっかり固定し、負荷を電子制御します。強度を正確に管理しやすいので、インターバルなどの「数字で決めた練習」に向いています。

項目3本ローラースマートトレーナー(固定)
主な目的バランス・ペダリング技術強度管理・インターバル
負荷の調整ギアとケイデンスで調整アプリから自動で調整できる
高強度・もがき転倒のリスクがあり難しい比較的安全に行える
パワー計測別途パワーメーターが必要多くの機種で内蔵
向いている人技術を磨きたい人限られた時間で効率よく鍛えたい人

どちらが優れているというより、目的が違います。この記事では、スマートトレーナーを使ってパワーで練習を組み立てる方法に絞って解説します。

ローラー練習メニューの前に:FTPを基準にしたパワーゾーン

パワーを使った練習の基準になるのがFTP(Functional Threshold Power)です。FTPとは、およそ1時間持続できる最大の平均パワーのことです。測り方はFTPとは何か・測り方の記事を参考にしてください。

FTPが分かれば、練習の強度を「%FTP」で決められます。下の表は、よく使われるパワーゾーンの目安です。

ゾーン%FTP感覚の目安主な狙い
Z1 回復〜55%とても楽疲労回復
Z2 エンデュランス56〜75%会話ができる有酸素の土台づくり
Z3 テンポ76〜90%少しきつい持久力の底上げ
SST(スイートスポット)88〜94%きついが続けられるFTPの向上
Z4 閾値91〜105%かなりきついFTPの向上
Z5 VO2max106〜120%数分が限界最大酸素摂取量の向上
Z6 無酸素121〜150%1分前後が限界無酸素能力
Z7 スプリント最大数秒の全力瞬発力

ゾーンの境界は目安です。体調や睡眠不足の日は、同じ%FTPでもきつく感じます。数字だけでなく、自分の感覚も合わせて確認しましょう。

目的別ローラー練習メニュー|スマートトレーナーで平日60分

ここからは、平日60分でできる目的別の練習メニューを紹介します。どのメニューもウォームアップ10分・クールダウン5〜10分を含めた構成です。

① エンデュランス走(Z2)

有酸素の土台をつくる、もっとも基本のメニューです。地味ですが、冬の練習の中心になります。

パート時間強度ポイント
ウォームアップ10分50→65%FTP徐々に上げる
メイン45分65〜75%FTPケイデンス85〜95rpm
クールダウン5分50%FTP以下呼吸を整える

エリート選手を対象にした研究のまとめでは、練習の多くを低強度で行い、高強度は一部に絞る配分が多く見られると報告されています(Seiler, 2010)。社会人ライダーでも、週の半分以上は楽な強度で乗る意識を持つと、疲労をためにくくなります。

② SST(スイートスポット)インターバル

FTPを伸ばしたい人の定番メニューです。きつすぎず、楽すぎない強度を長めに続けます。詳しくはSSTトレーニングの記事も参考にしてください。

パート時間強度レスト
ウォームアップ10分50→75%FTP—
メイン12分×3本88〜93%FTP各4分(50%FTP)
クールダウン6分50%FTP以下—

慣れてきたら、15分×3本、20分×2本と1本あたりの時間を延ばしていきます。強度を上げるより、時間を少しずつ延ばす方が安全に負荷を増やせます。

③ VO2maxインターバル

最大酸素摂取量(VO2max)を高めるメニューです。きついですが、短時間で大きな刺激を入れられます。高強度インターバルの効果は多くの研究で検討されています(Laursen & Jenkins, 2002)。ここでは2つの形式を紹介します。

形式メイン内容強度の目安レスト
ロング型3分×5本106〜120%FTP各3分(50%FTP)
ショート型(30秒/15秒)(30秒ハード+15秒軽く)×10〜13本を2〜3セットハードは最後まで維持できる最大の強度セット間3分

自転車選手を対象にした研究では、30秒と15秒を繰り返す短いインターバルを行ったグループの方が、長いインターバルのグループよりVO2maxなどの改善が大きかったと報告されています(Rønnestad et al., 2014; Rønnestad et al., 2021)。ただし対象はトレーニングを積んだ選手で、セット数も多めです。社会人ライダーは2セットから始めると安心です。インターバルの組み方はパワーインターバルトレーニングの記事でも解説しています。

④ スプリント・ケイデンスドリル

レースやグループライドで必要な瞬発力と、回転力(高いケイデンスでスムーズに回す力)を磨くメニューです。

パート内容強度の目安レスト
ウォームアップ15分50→75%FTP—
ケイデンスドリル1分高回転(110rpm以上)×5本60〜70%FTP各1分
スプリント10秒全力×6〜8本最大各3分(50%FTP以下)
エンデュランス残り時間65〜75%FTP—

スプリントは、1本ごとにしっかり休むのがポイントです。休みが短いと出力が落ち、「全力」の練習になりません。

平日60分の週間組み立て例|社会人ライダー向け

メニューが分かっても、毎日きつい練習をすると疲れがたまります。目安は高強度(SST・VO2max)は週2回までです。下は、平日に60分、週末に少し長めに乗れる人の例です。

曜日メニュー時間強度
月休養(ストレッチ程度)——
火VO2maxインターバル60分高
水エンデュランス走60分低
木SSTインターバル60分中〜高
金休養 または 回復走0〜30分とても低い
土エンデュランス走+スプリント90分低+短い高強度
日屋外ライド または エンデュランス走60〜120分低〜中

仕事が忙しい週は、火曜と木曜の高強度だけ残し、ほかを短くしても構いません。逆に、疲れが抜けない週は高強度を1回に減らします。初めてメニューを組む人は、まず高強度を週1回から始めても十分です。

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ERGモードの使い方と注意点

スマートトレーナーの多くにはERGモードがあります。ERGモードとは、ケイデンスやギアに関係なく、アプリで指定したパワーにトレーナー側が負荷を合わせる機能です。インターバルの強度を正確に守れるので、SSTやVO2maxの練習ととても相性がよい機能です。

ERGモードの注意点

  • ケイデンスが落ちると負荷が急に重くなる:パワーを一定に保とうとするため、回転が落ちるとさらに重くなり、踏めなくなることがあります。きつくなってきたら、早めにケイデンスを保つ意識を持ちましょう。
  • スプリントには向かない:数秒の全力は、ERGモードを切り、勾配モードやレベル(抵抗)モードで行う方が自然に踏めます。
  • ペダリングが受け身になりやすい:ERGだけだと、自分でペースを作る感覚が育ちにくくなります。週1回はERGを切って、自分で出力を合わせる練習も入れましょう。
  • キャリブレーションを行う:機種の説明に従って、定期的にキャリブレーション(スピンダウンなど)を行うと、計測のずれを減らせます。
  • 屋外のパワーメーターと数値がずれることがある:同じ人でも、室内と屋外で出せるパワーが違うと感じることはよくあります。室内用のFTPを別に考えるのも一つの方法です。

室内トレーニングの暑熱対策|扇風機と水分補給

ローラー練習で意外と大きな問題になるのが暑さです。外を走るときは向かい風が体を冷やしてくれますが、室内ではそれがありません。冬でも、汗が止まらずにパワーが落ちることがあります。

扇風機で風を当てる

暑く湿った環境で2時間こぐ実験では、風がほとんどない、または弱い条件では、体温や体にたまる熱、主観的なきつさが高くなり、時速30km程度以上の風を当てた条件ではそれらが抑えられたと報告されています(Saunders et al., 2005)。家庭用の扇風機で同じ風速を出すのは難しいですが、正面から強めに風を当てるだけでも快適さは大きく変わります。可能なら2台使い、上半身の正面と横から当てるのがおすすめです。

水分補給の目安

アメリカスポーツ医学会の指針では、運動中の脱水を体重の2%を超える減少にしないことが目標とされています。また、汗の量は人によって大きく違うため、練習の前後に体重を測って自分の発汗量を知ることが勧められています(Sawka et al., 2007)。

  • 練習前後に体重を測り、どれくらい汗をかいたかを把握する
  • 60分の練習でも、ボトル1本程度は手の届く位置に置いておく
  • 汗が多い人は、電解質(塩分)を含むドリンクも検討する
  • 床や自転車を汗から守るため、タオルやマットを使う
  • 部屋の換気をして、室温と湿度を上げすぎない

ローラー練習のTSSと疲労管理

室内は信号も下り坂もないため、同じ60分でも屋外より休む時間がありません。そのため、思っている以上に負荷が高くなりやすい点に注意が必要です。

負荷の大きさを数字で確認するにはTSS(Training Stress Score)が便利です。TSSは「時間×強度」から練習の負荷を表す指標で、FTPで1時間走るとおよそ100になります。詳しくはTSSの目安の記事をご覧ください。

メニュー(60分)強度係数(IF)の目安TSSの目安
回復走0.55前後約30
エンデュランス走0.65〜0.72約40〜50
SSTインターバル0.80〜0.85約65〜70
VO2maxインターバル0.80〜0.88約65〜75

※IFやTSSは、ウォームアップやレストの取り方、FTPの設定で変わります。表はおおよその目安です。

1週間の合計TSSや、長期的な体力の目安になるCTL(Chronic Training Load)の推移を見ると、負荷を上げすぎていないか確認できます。CTLの考え方はCTLの目安の記事で解説しています。冬は急にCTLを上げすぎず、少しずつ積み上げるのが故障や燃え尽きを防ぐコツです。

疲れているサイン

  • いつもの強度で心拍数が上がりにくい、または上がりすぎる
  • SSTやVO2maxの設定パワーを最後まで維持できない日が続く
  • 朝起きたときにだるい、寝つきが悪い
  • 練習に乗る気が起きない

こうしたサインが重なったら、高強度を休んでエンデュランス走か休養に切り替えましょう。

Zwiftなどアプリの使い分け

スマートトレーナーは、アプリと組み合わせることで便利になります。アプリにはいくつかのタイプがあり、目的に合わせて使い分けるのがおすすめです。

タイプ特徴向いている練習
仮想空間型(Zwiftなど)仮想のコースを走り、他のライダーと一緒に走れるエンデュランス走、グループライド、気分転換
ワークアウト特化型指定した%FTPのメニューを正確にこなすことに集中できるSST、VO2maxなどのインターバル
計画・記録型メニューを予定に組み込み、TSSやCTLを管理できる長期的な練習計画と振り返り

仮想空間型は楽しく続けやすい一方、集団走行やレースにつられて、予定より強度が上がりがちです。低強度の日に、つい追いかけてしまうのはよくある失敗です。インターバルの日はワークアウト機能を使い、エンデュランスの日は「出力の上限」を決めて走ると、狙いどおりの練習になります。

どのアプリを使うかよりも、その日の目的と強度を先に決めておくことの方が大切です。

無料アプリや新しいトレーナーも増えている

最近は、Zwiftのような有料アプリだけでなく、MyWhooshのように無料で使えるトレーニングアプリも人気が高まっています。また、ギアの変速をアプリ側で再現する「仮想変速(バーチャルシフト)」に対応したスマートトレーナーも登場しています。

ただし、どのアプリやトレーナーを使っても、練習の中身は変わりません。この記事で紹介したように、FTPを基準に強度を決めて、目的に合ったメニューを続けることが速くなるいちばんの近道です。機材選びに迷ったら、まずは「続けやすいもの」を選びましょう。

まとめ

冬のローラー練習メニューのポイント
  • スマートトレーナーは強度管理とインターバルに、3本ローラーは技術練習に向いている
  • FTPを測り、%FTPでゾーンを決めてから練習メニューを組む
  • エンデュランス・SST・VO2max・スプリントを目的に合わせて使い分ける
  • 高強度は週2回まで。残りは低強度か休養にする
  • ERGモードは便利だが、ケイデンス低下とスプリントには注意する
  • 扇風機で正面から風を当て、体重の2%を超える脱水を避ける
  • TSSとCTLで負荷を確認し、少しずつ積み上げる

冬のローラー練習は、ただ長くこぐより「何のために、どの強度で、何分やるか」を決めることで効果が変わります。今回のメニューを参考に、春に向けて無理なく力を積み上げていきましょう。自分に合ったメニューや強度設定に迷ったら、ORCA CYCLING SCHOOLのオンラインコーチングでも相談を受け付けています。

ONLINE COACHING

パワートレーニングの
オンラインコーチング

練習データをもとに、毎週のメニューと負荷の上げ方をコーチが調整します。全国どこからでも受講でき、2週間の体験(6,600円)から始められます。

参考文献
  • Seiler S. What is best practice for training intensity and duration distribution in endurance athletes? Int J Sports Physiol Perform. 2010;5(3):276-91. doi:10.1123/ijspp.5.3.276
  • Laursen PB, Jenkins DG. The scientific basis for high-intensity interval training: optimising training programmes and maximising performance in highly trained endurance athletes. Sports Med. 2002;32(1):53-73. doi:10.2165/00007256-200232010-00003
  • Rønnestad BR, Hansen J, Vegge G, et al. Short intervals induce superior training adaptations compared with long intervals in cyclists – an effort-matched approach. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(2):143-51. doi:10.1111/sms.12165
  • Rønnestad BR, Øfsteng SJ, Zambolin F, et al. Superior Physiological Adaptations After a Microcycle of Short Intervals Versus Long Intervals in Cyclists. Int J Sports Physiol Perform. 2021;16(10):1432-1438. doi:10.1123/ijspp.2020-0647
  • Saunders AG, Dugas JP, Tucker R, et al. The effects of different air velocities on heat storage and body temperature in humans cycling in a hot, humid environment. Acta Physiol Scand. 2005;183(3):241-55. doi:10.1111/j.1365-201X.2004.01400.x
  • American College of Sports Medicine; Sawka MN, Burke LM, Eichner ER, et al. American College of Sports Medicine position stand. Exercise and fluid replacement. Med Sci Sports Exerc. 2007;39(2):377-90. doi:10.1249/mss.0b013e31802ca597
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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