ロードバイク40代・50代のトレーニングと筋トレ|体力を落とさず速くなる方法

森の中の道を走るサイクリスト

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

40代に入ってから、疲れが抜けにくくなり、坂でも昔ほど踏めなくなった気がします。

仕事も忙しいなかで、年齢に負けずにロードバイクで速くなるには、どんなトレーニングをすればいいですか?

結論から言うと、40代・50代からでもロードバイクは速くなれます。ポイントは「短時間の高強度」「週2回の筋トレ」「回復を優先した週の組み立て」の3つです。年齢とともに落ちやすいのは最大酸素摂取量・筋力・骨密度・回復力ですが、どれもトレーニングで対策できることが研究で報告されています。

この記事では、加齢で体に起きる変化と、マスターズ世代(おおむね35歳以上の競技者・愛好家)を対象にした研究をもとに、仕事を持つ40代・50代のサイクリストが限られた時間で体力を落とさず速くなるためのトレーニングと筋トレの進め方を解説します。

名古屋のロードバイクスクール「ORCA CYCLING SCHOOL」では、練習・ポジション・トレーニング計画を直接指導しています。

目次

40代・50代のロードバイク乗りに起きる体の変化

まずは、年齢とともに体の中で何が起きているのかを整理しましょう。原因がわかると、トレーニングで何を優先すべきかが見えてきます。

持久力のピークと最大酸素摂取量の低下

マスターズアスリートの持久系パフォーマンスをまとめたレビューでは、持久力のピークはおよそ35歳ごろまで保たれ、その後50〜60歳ごろまでは緩やかに低下し、それ以降は低下が急になると報告されています。

低下の主な原因とされているのが、最大酸素摂取量(VO2max:体が1分間に取り込める酸素の最大量)の低下です。乳酸閾値(血中の乳酸が急に増え始める強度)も下がりますが、これはVO2maxの低下に付随するものと考えられています。

一方で、同じレビューでは持久系トレーニングを続けている人では、運動経済性(同じスピードで走るのに必要なエネルギー)は年齢で変わらないとされています。さらに、加齢による低下の大部分は「練習の強度と量が落ちること」によって生じている可能性が指摘されています。

つまり、年齢そのものよりも「きつい練習をしなくなること」「練習量が減ること」が、速さを失う大きな理由になりやすいのです。

筋量・筋力の低下

筋肉の量と筋力は、何もしなければ年齢とともに少しずつ減っていきます。特に、瞬間的に大きな力を出す速筋線維が落ちやすいと言われています。

ロードバイクで言えば、スプリント、短い坂でのダッシュ、集団での急な加速といった場面で差が出やすくなります。「巡航はできるのに、ペースの上げ下げについていけない」と感じたら、筋力低下のサインかもしれません。

回復の遅れ(特に「疲れている感覚」)

よく鍛えられたマスターズサイクリスト(平均55.6歳)と若いサイクリスト(平均25.9歳)を比べた研究では、高強度インターバルのあと48時間の回復を調べています。その結果、スプリントやタイムトライアルなどの身体的なパフォーマンスの回復速度は同程度でした。

ところが、主観的な回復はマスターズ側で遅れ、48時間後も疲労感や筋肉痛が強く、やる気が低い傾向が報告されています。体は戻っていても「まだ疲れている」と感じやすいということです。この感覚のズレが、練習が続かなくなる原因になるかもしれないと著者らは指摘しています。

骨密度の低下(ロードバイクだけの人は要注意)

意外と知られていないのが骨の問題です。ロードバイクは体重を脚で支える運動ではないため、骨への刺激が少ないスポーツです。

10年以上トレーニングとレースを続け、体重を支える運動をほとんどしていない男性マスターズサイクリスト(平均51.2歳)を調べた研究では、同年代の一般男性や若いサイクリストに比べて、腰椎と股関節の骨密度が低かったと報告されています。さらに、マスターズサイクリストの15%(27人中4人)が骨粗しょう症の目安となる値を下回っていました。

心肺機能が高く体が引き締まっていても、骨は弱くなっている可能性がある。これが「ロードバイクだけ」の人に筋トレをおすすめする大きな理由の一つです。

加齢で起きる変化ロードバイクへの影響主な対策
最大酸素摂取量の低下登坂・高強度の持続が苦しくなる短時間の高強度インターバル
筋量・筋力の低下スプリント・加速・急坂で遅れる下肢中心の筋トレ
回復の遅れ(主観的な疲労)練習が続かない・オーバーワーク休養日と強度の配分
骨密度の低下落車時の骨折リスク重めの筋トレ・衝撃のある運動
柔軟性の低下腰痛・膝痛、ポジションが合わないモビリティ運動・フィッティング

40代・50代でもトレーニングで速くなれるという研究

ここからは前向きな話です。マスターズ世代のサイクリストを対象にした研究では、適切な刺激を入れれば体力も競技力も向上することが報告されています。

高強度インターバルで最大酸素摂取量が向上

35〜49歳のマスターズロードサイクリスト50人を対象にしたランダム化比較試験では、普段の持久系トレーニングに週2回の高強度インターバル(HIIT)を12週間加えたグループで、最大酸素摂取量が向上したと報告されています。最大心拍出量や1回拍出量(心臓が1回に送り出す血液量)も改善していました。

40kmタイムトライアルの記録はすべてのグループで向上しましたが、記録の伸びは最大酸素摂取量の変化や膝を伸ばす筋力の変化と関連していました。「心肺」と「脚の筋力」の両方が、マスターズ世代の速さに関わることがうかがえます。

筋トレでペダリング効率と筋力が向上

平均51.5歳のマスターズ持久系アスリートと若いアスリートに、膝伸展(レッグエクステンション)の筋トレを3週間、週3回行ってもらった研究があります。その結果、最大筋力はマスターズで17.8%、若い人で5.9%向上し、マスターズではペダリングの効率も改善したと報告されています。

トレーニング前にあった筋力と効率の年齢差は、筋トレ後には見られなくなっていました。もともと筋力が落ちている分、マスターズ世代は筋トレの「伸びしろ」が大きいと考えることもできます。

筋トレ+スプリントで脚の筋量とスピードが向上

持久系トレーニングを積んだマスターズロードサイクリストに、12週間の筋トレとスプリント練習を加えた研究では、下肢の除脂肪量(脚の筋肉量の目安)が増え、筋トレとスプリントを組み合わせたグループでは200mのタイムトライアルも向上したと報告されています。

「長い距離をゆっくり乗るだけ」では、加速やスプリントの力は維持しにくくなります。筋トレと短いもがきを少し加えるだけでも、脚の筋肉は応えてくれるということです。

50歳以上でも筋トレで筋力は伸びる

50歳以上を対象にした47の研究(参加者1,079人)をまとめたメタ分析では、筋トレによってレッグプレスで約29%、膝伸展で約33%など、すべての筋力指標が向上したと報告されています。また、負荷が高いトレーニングほど筋力の伸びが大きい傾向も示されています。

「年だから軽い負荷で」と考えがちですが、正しいフォームで扱えるなら、ある程度重い負荷にも挑戦する価値があります。

40代・50代のロードバイクトレーニング|回復重視の週の組み立て

研究からわかるのは、「強度を落とさない」ことと「回復をしっかりとる」ことの両立が大切だということです。仕事をしながら取り組むなら、平日は短時間で質の高い練習、週末はやや長めのライド、そして休養日を必ず入れる形がおすすめです。

週間メニュー例(練習時間:週6〜8時間)

曜日内容時間の目安
月完全休養(ストレッチ程度)―
火ローラーで高強度インターバル(例:3〜5分×4本)60分
水筋トレ(下肢・体幹)+軽いローラー60〜90分
木休養、または30〜45分のゆっくり回すだけのライド0〜45分
金休養(翌日に備える)―
土ロングライド(中強度中心、登りで少し追い込む)2〜4時間
日筋トレ(短め)+リカバリーライド、または休養60〜90分

ポイントは、高強度の日を週2回程度にとどめ、高強度の翌日は軽めにすることです。若い頃のように連日追い込むと、主観的な疲労が抜けずに練習の質が下がりやすくなります。

強度の目安

練習の種類強度(主観的なきつさ)週の回数目的
高強度インターバルかなりきつい(会話できない)1〜2回最大酸素摂取量の維持・向上
短いスプリント(10秒前後)全力1回(数本)加速力・速筋の刺激
中強度の持続走ややきつい(短い会話なら可)1回持久力・FTPの土台
リカバリーライド楽(普通に会話できる)1〜2回血流促進・回復

平日の夜に外を走るのが難しい方は、ローラー台を活用すると効率よく高強度練習ができます。ローラーの使い方は3本ローラーの乗り方とトレーニングで解説しています。

疲労のサインを見逃さない

40代・50代は、体の疲れと「疲れている感覚」がずれやすい世代です。次のようなサインが続くときは、予定していた高強度練習を軽めに変える勇気も必要です。

  • 朝の心拍数がいつもより明らかに高い
  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
  • いつものペースなのに心拍が上がらない、または脚が重い
  • 練習に行く気が起きない日が続く

一人で練習を続けるのが難しい方には、仕事帰りに通える大人クラスもあります。名古屋本校・星が丘校で、1回90分、平日は18:00と19:30の枠があり、筋トレとローラー練習をコーチと一緒に行えます。詳しくは大人クラスのご案内をご覧ください。

AFTER WORK CLASS

名古屋で、仕事帰りにコーチと一緒に練習しませんか

ORCA CYCLING SCHOOLの大人クラスでは、月曜は筋力トレーニング、火・水曜はローラー練習を1回90分で行っています(星が丘校・名古屋本校)。初心者から上級者まで、1回4,400円から参加できます。

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50代のロードバイク乗りにこそ必要な筋トレ|頻度と種目

筋トレは、筋力・ペダリング効率・骨への刺激の3つを同時に得られる、マスターズ世代にとってコストパフォーマンスの高いトレーニングです。

頻度は週2回、1回30〜45分から

はじめは週2回、1回30〜45分程度で十分です。高強度インターバルと同じ日に行う場合は、自転車の練習を先にして筋トレを後にするか、日を分けると疲労が重なりにくくなります。筋トレの頻度とタイミングについては筋トレの頻度とタイミングで詳しく解説しています。

おすすめ種目(下肢・体幹・骨への刺激)

種目回数×セットねらい
スクワット(またはレッグプレス)6〜10回×3セット大腿四頭筋・お尻の筋力、骨への刺激
ルーマニアンデッドリフト8〜10回×3セットもも裏・お尻、腰を守る背面の筋力
ブルガリアンスクワット左右8回×2〜3セット片脚の安定性・左右差の改善
カーフレイズ12〜15回×2セットふくらはぎ・足首の安定
プランク・サイドプランク20〜40秒×2〜3セット体幹の安定、腰痛予防
軽いジャンプ(その場で連続)10回×2〜3セット骨への衝撃刺激(体調・関節に問題がない方のみ)

負荷は「正しいフォームで、あと2回くらいできる重さ」が目安です。慣れてきたら少しずつ重さを上げていきます。スクワットなどの具体的なメニューはジムでできる筋トレメニューも参考にしてください。

骨には、重さを支える刺激や着地の衝撃が効果的だと考えられています。ジャンプが不安な方や、すでに骨密度が低いと言われている方は、無理をせず医師や専門家に相談してから取り入れましょう。

筋トレの疲労を練習計画に組み込む

筋トレを始めたばかりの時期は、筋肉痛で翌日のライドの質が落ちることがあります。最初の2〜3週間は軽めの重さから始め、自転車の高強度練習の前日には脚の筋トレを入れないようにしましょう。

柔軟性の維持とケガ予防(腰痛・膝痛)

年齢とともに、股関節やもも裏、胸椎(背中の上部)の動きが硬くなりやすくなります。柔軟性が落ちたまま前傾姿勢を続けると、腰や膝に負担が集中しがちです。

  • ライド後に股関節・もも裏・ふくらはぎのストレッチを5〜10分
  • デスクワークの合間に、胸を開く・背中を丸める動きを数回
  • 痛みがある日は無理に乗らず、原因を確認する

腰の痛みについてはロードバイクの腰痛の原因と対策、膝の痛みについてはヒルクライムで膝が痛くなる原因と対策で詳しく解説しています。

ポジションは年齢と柔軟性に合わせて見直す

20代・30代の頃に決めたポジションのまま乗り続けている方は少なくありません。しかし、柔軟性や筋力が変われば、最適なポジションも変わります。

たとえば、ハンドルが低すぎて骨盤を前に倒せないと、腰を丸めて乗ることになり腰痛の原因になります。サドルが高すぎたり低すぎたりすると、膝への負担も増えます。「速そうな低いポジション」より「長時間しっかり踏み続けられるポジション」のほうが、結果的にタイムにもつながります。

ポジションの考え方はバイクフィッティングとは?で解説しています。痛みや違和感が続く場合は、一度専門家に見てもらうことをおすすめします。

睡眠とたんぱく質で回復を支える

睡眠は「練習の一部」と考える

仕事と練習を両立していると、つい睡眠時間を削りがちです。しかし、回復に時間がかかる世代こそ、睡眠は最優先にしたいところです。

  • まずは7時間前後を目安に、毎日同じ時間に寝起きする
  • 夜の高強度練習のあとは、ぬるめの入浴などで体を落ち着かせてから寝る
  • 睡眠が足りない日は、高強度練習を軽い練習に置き換える

たんぱく質は体重1kgあたり1.6gが一つの目安

筋トレとたんぱく質の補給に関する49の研究(参加者1,863人)をまとめたメタ分析では、筋トレにたんぱく質の補給を組み合わせると、筋力と筋肉量の伸びが大きくなると報告されています。また、1日の総摂取量が体重1kgあたり約1.6gを超えても、筋肉量のさらなる増加は見られなかったとされています。

同じ分析では、年齢が上がるほど補給の効果が小さくなる傾向も示されています。だからこそ、40代・50代は食事でのたんぱく質を意識的に確保しつつ、筋トレそのものを継続することが大切です。

体重1日のたんぱく質の目安(1.6g/kg)1食あたり(3食の場合)
60kg約96g約32g
70kg約112g約37g
80kg約128g約43g

肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を毎食取り入れ、足りない分をプロテインで補うと続けやすくなります。持病や腎臓の機能に不安がある方は、医師に相談してから調整してください。

中高年がロードバイクで速くなるための優先順位

ここまでの内容を、取り組む順番に整理します。時間が限られている方は、上から順に取り入れてみてください。

優先度取り組み理由
1休養日を週1〜2日確保し、睡眠を整える回復が追いつかなければ、どの練習も効果が出にくい
2週1〜2回の高強度インターバル最大酸素摂取量の低下を食い止める
3週2回の下肢・体幹の筋トレ筋力・ペダリング効率・骨への刺激
4たんぱく質の確保筋トレの効果を支える
5柔軟性の維持とポジションの見直しケガを防ぎ、長く続ける

筋トレのフォームや重さの設定に不安がある方、自分の体に合わせたメニューを組んでほしい方は、パーソナルトレーニングで個別にサポートすることもできます。

まとめ

40代・50代からのロードバイクと筋トレのポイント
  • 加齢による持久力低下の主な原因は最大酸素摂取量の低下。ただし練習の強度と量が落ちることも大きく関わる
  • マスターズ世代でも、週2回の高強度インターバルで最大酸素摂取量が向上したと報告されている
  • 筋トレでマスターズの筋力とペダリング効率が改善し、筋トレ+スプリントで脚の筋量も増えたと報告されている
  • ロードバイクだけを続けている人は骨密度が低い傾向。重めの筋トレや衝撃のある運動を取り入れる
  • 高強度は週2回程度、休養日を必ず入れ、睡眠とたんぱく質(体重1kgあたり約1.6g)で回復を支える
  • 柔軟性の変化に合わせてポジションを見直し、腰痛・膝痛を防ぐ

年齢を重ねても、トレーニングの考え方を少し変えるだけで、ロードバイクはまだまだ速く、長く楽しめます。「若い頃と同じ練習」ではなく、「今の体に合った練習」で、体力を落とさず速くなることを目指していきましょう。

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参考文献
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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