自転車・ロードバイクで筋肉痛になる原因と早く治す方法|筋肉痛のときに乗っていい?

自転車で筋肉痛になる原因と早く治す方法

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

自転車に乗った次の日、太ももが筋肉痛になります。

筋肉痛のときは乗らないほうがいいですか?

自転車の筋肉痛は、慣れない運動やいつもより長い・強い運動で筋肉に細かな損傷が起こり、それを修復する過程で起きる痛みです。研究では、筋肉痛があっても自転車のパワーそのものは落ちにくい一方で、きつさを感じやすくなることがわかっています。

この記事では、自転車・ロードバイクで筋肉痛になる原因と部位、筋肉痛のときに乗ってもいいのか、早く治す方法を、研究をもとに解説します。

目次

筋肉痛になる原因

筋肉痛は、専門的には「運動誘発性筋損傷(EIMD)」と呼ばれ、大きく次の2つに分けられます。

種類起こるタイミング主な原因
即発性筋肉痛運動中〜運動直後強い収縮で代謝物(水素イオンなど)がたまり、筋肉が酸性に傾く
遅発性筋肉痛(DOMS)運動の数時間後〜翌日以降筋肉の細かな損傷を修復する過程で炎症が起こり、痛みを生む物質が出る

一般的に「筋肉痛」と呼ばれるのは、遅発性筋肉痛(DOMS)です。DOMSは、筋肉を伸ばしながら力を出す伸張性(エキセントリック)収縮で起こりやすく、ジャンプの着地や、ウエイトの重さを受け止める動きが代表的です。

ペダリングは筋肉を縮めながら力を出す動きが中心なので、本来は筋肉痛になりにくい運動です。それでも筋肉痛になるのは、次のような場合が多いです。

筋肉痛になりやすい事象

① 自転車に乗り始めたばかり、または久しぶりに乗った
② いつもより長い距離、強い強度で走った
③ 登りやダンシング、もがきなど、ふだんと違う動きが多かった
④ ポジションが合っておらず、特定の筋肉に負担が集中した

筋肉痛になりやすい部位

ロードバイクでのサイクリングで、筋肉痛になりやすいとされる部位と、それぞれの理由についてもまとめてみました。

部位筋肉痛になりやすい理由
太もも前
( 大腿四頭筋 )
踏み込みでもっとも使われやすい。膝が主働となるペダリングの場合、特に負担が大きい。
お尻・太もも裏
( 大臀筋・ハムストリング )
股関節を伸ばして踏み込む主役。登りや高強度で使われる
ふくらはぎ
( 下腿三頭筋 )
つま先でペダルを押す動きや、ダンシングで使われる
首・肩・腕・腰前傾姿勢を支えるため。乗り始めの方やポジションが合っていない場合に多い

太もも前ばかり筋肉痛になる場合は、お尻や太もも裏をうまく使えていない可能性があります。

ペダリングの改善には、お尻と太もも裏を使う筋トレ7選も参考にしてください。首や腰に痛みが続く場合は、ポジションの見直しが必要なことがあります。

原因がポジションかどうか、自分では判断しにくい方へ

ORCAのバイクフィッティングでは、ペダリングの動きを見ながら、サドル・ハンドル・クリートをまとめて調整します。

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筋肉痛のときに乗ってもいい?

研究|筋肉痛でもパワーは落ちにくい

よくトレーニングされた自転車選手9名を対象にした研究では、ジャンプ(10回×10セット)で太ももに筋肉痛を起こし、その30分後・48時間後・96時間後に、自転車のテストを行いました。

項目筋肉痛があるとき
5分間の全力走(タイムトライアル)変化なし
30秒の全力走(ウィンゲートテスト)変化なし
ペダリングの効率変化なし
一定の強度で走るときの「きつさ」48時間後に上昇(3.1→3.8)

つまり、筋肉痛があっても自転車のパワーや効率は落ちにくいものの、同じ強度でも「きつい」と感じやすくなるということです。研究者は、筋トレの翌日以降のトレーニングやレースでは、この点に注意するよう呼びかけています。

筋肉痛の日のおすすめの過ごし方

  • 軽い強度(会話ができるくらい)の回復走にする
  • 高強度のインターバルやレースペースの練習は、痛みが引いてからにする
  • 痛みが強い・腫れている・数日たっても引かない場合は、乗るのをやめて医療機関に相談する

また、同じ運動を繰り返すと、筋肉痛は起こりにくくなります(繰り返し効果:リピーテッドバウト効果)。乗り始めは筋肉痛になりやすくても、続けるうちに慣れていきます。急に距離や強度を増やさず、少しずつ練習量を増やすことが大切です。

ポイント
  • 筋肉痛は、慣れない運動や急な練習量の増加で起こる
  • 筋肉痛でも自転車のパワーは落ちにくいが、きつさは感じやすくなる
  • 筋肉痛の日は軽い回復走にし、少しずつ練習量を増やしていく

筋肉痛を早く治す方法

運動後の回復方法を調べた99の研究をまとめた分析では、次の方法に筋肉痛を和らげる効果がありました。

方法筋肉痛への効果
マッサージもっとも効果が大きい。疲労感も減らす
アクティブリカバリー(軽い運動)効果あり
着圧(コンプレッション)ウェア効果あり。疲労感も減らす
水に浸かる(冷水・温冷交代浴など)効果あり
冷却(クライオセラピー)効果あり
ストレッチはっきりした効果はなかった

自分でできる方法としては、フォームローラーを使ったセルフマッサージや、軽く体を動かす回復走がおすすめです。ストレッチは、筋肉痛を治すというより、硬くなった筋肉の可動域を保つために行いましょう。

痛みが強い、腫れている、尿の色が濃い(茶色っぽい)、数日たっても痛みが引かない、といった場合は、筋肉痛以外の原因も考えられます。無理をせず医療機関に相談してください。

研究で効果が比較された回復方法

先ほど紹介したメタ分析(99件の研究をまとめた分析)では、回復方法ごとに筋肉痛と疲労感への効果が比べられています(Dupuy et al. 2018)。数値は「効果量」と呼ばれるもので、マイナスが大きいほど筋肉痛や疲労感が減ったことを表します。目安として、0.5未満は小さい、0.8を超えると大きい効果とされています。

回復方法筋肉痛への効果(効果量)疲労感への効果(効果量)
マッサージ大きく減った(-2.26)大きく減った(-2.55)
コンプレッションウェア大きく減った(-0.92)減った(-0.88)
軽い運動(アクティブリカバリー)減った(-0.94)はっきりした効果なし
水への浸水(冷水浴など)少し減った(-0.47)減った(-1.16)
ストレッチはっきりした効果なしはっきりした効果なし

水への浸水は、15℃以下の冷たい水で筋肉痛への効果がみられた一方、36℃以上の温かい水では効果がはっきりしませんでした。また、この分析は1回だけの回復方法を調べたもので、毎日続けた場合の効果まではわかっていない点に注意が必要です。

自分でできる方法としては、フォームローラーでのセルフマッサージや、会話ができる程度の軽いライドが取り入れやすいでしょう。ストレッチは筋肉痛を早く治す効果は期待しにくいものの、柔軟性を保つ目的では役立ちます。

筋肉痛を防ぐには|最初の1回を軽くすると次から痛くなりにくい

冬になると、ジムで筋トレを始めたり、ローラー台で新しいワークアウトに取り組んだりする方が増えます。そこで多いのが「久しぶりの筋トレで3日間階段がつらかった」という相談です。

実は、筋肉痛は同じ運動を2回目にやると、1回目よりかなり軽くなることがわかっています。これを「繰り返し運動効果(リピーテッド・バウト効果)」と呼びます。この性質を上手に使うと、冬のトレーニングを筋肉痛で止めずに続けられます。

研究|1回目の運動が「予防接種」のように働く

繰り返し運動効果は、筋肉が伸ばされながら力を出す運動(エキセントリック運動、たとえばスクワットでしゃがむ動き)で特によく調べられています。1回目の運動のあと、神経の使い方・筋肉の構造・炎症の反応などが変わり、2回目の筋肉のダメージが小さくなると考えられています(McHugh 2003)。

この効果は思ったより長く続きます。腕の筋肉で調べた研究では、2回目の運動を6か月後に行っても筋肉痛などが軽くなっていました。一方で、12か月あけると効果は見られなかったと報告されています(Nosaka et al. 2001)。シーズン中ずっとジムに行かず、冬に久しぶりに再開すると強い筋肉痛が出やすいのは、このためだと考えられます。

さらに、1回目はかなり軽い負荷でも効果があることも示されています。トレーニング経験のない若い男性を対象にした研究では、最大筋力の10%という軽い負荷でエキセントリック運動を行った2日後に、80%の高い負荷で同じ運動をしたところ、9つの筋肉すべてで筋肉痛のピークが36〜54%低かったと報告されています(Huang et al. 2019)。

ただし、軽い運動で得た予防効果は長持ちしません。別の研究では、軽い負荷の運動から1週間後までは効果がはっきり残っていましたが、2週間後には弱まり、3週間後にはほぼ見られなくなりました(Chen et al. 2012)。始めたばかりの時期は、1〜2週間あけずに続けることが大切です。

冬にジムの筋トレを始めるときのコツ

研究からいえることをまとめると、最初の1〜2回は「物足りない」くらいで終えるのが正解です。初回から追い込むと、数日間ペダルを回せなくなり、結果的に練習量が減ってしまいます。

  • 初回は1種目1〜2セット、余裕を残して終える(限界まで追い込まない)
  • しゃがむ・下ろす動きをゆっくり重くしすぎない(エキセントリックの負荷を最初は控えめに)
  • 最初の2週間は週1〜2回、間を1週間以上あけない
  • 重さよりも先に、フォームと回数を安定させる
  • 筋トレの翌日は高強度のインターバルを入れず、軽めのライドにする

具体的な種目はジムでできるサイクリストの筋トレメニューで紹介しています。少しずつ負荷を上げていく考え方は漸進性過負荷の原則の記事が参考になります。

最初の2週間の筋トレの始め方

以下は、筋トレをしばらく休んでいた方が再開するときの一般的な目安です。研究の数値ではなく、指導現場での目安としてご覧ください。体力や経験によって調整してください。

時期セット数(1種目)重さの目安
1週目・1回目1〜2セット15回できる重さで10回ほど(かなり余裕あり)
1週目・2回目2セット同じ重さのまま。痛みが軽ければ回数を少し増やす
2週目・1回目2〜3セット12回ほどできる重さで10回(あと2〜3回できる余裕)
2週目・2回目3セット前回と同じか、少しだけ重くする

3週目以降は、筋肉痛が強く出ないことを確認しながら重さを上げていきます。

ローラー練習・新しいワークアウトも同じ考え方

筋肉痛はジムだけでなく、ローラー台でも起こります。ふだんと違うフォーム(立ちこぎ、低ケイデンス、エアロポジションなど)や、いきなりの長時間・高強度は筋肉への負担が大きくなります。新しいメニューは、1回目は時間や本数を減らして試し、翌週から少しずつ増やしましょう。冬の練習の組み立て方はオフシーズンの過ごし方で詳しく解説しています。

筋肉痛とケガ・病気の見分け方

ふつうの筋肉痛は、運動の翌日〜2日後にピークがきて、数日〜1週間ほどで自然に治まります。筋肉全体が張ったように痛み、動かしているうちに少し楽になるのが特徴です。

一方で、次のような場合は筋肉痛ではなく、ケガや病気の可能性があります。無理に乗らず、医療機関を受診してください。

症状ふつうの筋肉痛受診を考えたいサイン
痛む場所筋肉全体がじんわり痛い1か所だけが鋭く痛む、関節が痛む
痛み始め運動の翌日〜2日後運動中に「ピキッ」と急に痛くなった
腫れほとんどないはっきり腫れている、熱をもっている
続く期間数日〜1週間ほど1週間たっても良くならない、だんだん悪化する
尿の色ふだんどおりコーラ色・紅茶色の濃い尿が出る

注意したい「横紋筋融解症」

まれですが、慣れない激しい運動のあとに「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」が起こることがあります。筋肉が大きく壊れ、その中身が血液に流れ出る状態で、腎臓に負担がかかることがあります。

海外では、初めて参加したスピンクラス(室内でのエアロバイクの集団レッスン)のあとに発症した例が複数報告されています。15分ほどの参加で発症した例や、透析が必要になった例もありました(Brogan et al. 2017)。ふだん運動をしている人でも、初めてのスピンクラスの後に、強い筋肉痛・脱力・紅茶色の尿の3つがそろって入院した例が報告されています(Yow et al. 2021)。

ロードバイクに乗っている方でも、久しぶりの高強度のローラー練習や、初めての筋トレで追い込みすぎた場合は注意が必要です。強い筋肉痛に加えて、尿の色が濃い・腕や脚に力が入らない・腫れがひどいといった場合は、自己判断で様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。

予防の基本は、ここまで紹介した「最初は軽く、少しずつ増やす」ことと、運動中・運動後の水分補給です。

よくある質問

Q. 自転車に乗ると、どこが筋肉痛になりますか?

多いのは、太もも前(大腿四頭筋)、お尻(大臀筋)、太もも裏(ハムストリングス)、ふくらはぎです。乗り始めの方は、前傾姿勢を支える首・肩・腕・腰に痛みが出ることもあります。太もも前ばかり痛い場合は、ペダリングやポジションを見直すサインかもしれません。

Q. 自転車で筋肉痛になるのはなぜですか?

慣れない運動や、いつもより長い・強い運動をすると、筋肉に細かな損傷が起こり、それを修復する過程で炎症が起きて痛みが出ます。これを遅発性筋肉痛(DOMS)と呼び、運動の数時間後から翌日以降に現れ、数日で治まるのが一般的です。

Q. 筋肉痛のときに自転車に乗ってもいいですか?

軽い強度なら問題ありません。研究では、筋肉痛があっても自転車のパワーや効率は落ちなかった一方で、同じ強度でも「きつい」と感じやすくなりました。筋肉痛の日は、強度を下げた回復走にするのがおすすめです。

Q. 筋肉痛を早く治す方法はありますか?

99の研究をまとめた分析では、マッサージが筋肉痛と疲労感をもっとも効果的に減らしました。軽い運動(アクティブリカバリー)、着圧ウェア、水に浸かる方法なども筋肉痛を和らげる効果がありました。

Q. 冬に筋トレを始めると毎回ひどい筋肉痛になります。防ぐ方法はありますか?

最初の1〜2回をかなり軽い負荷・少ないセット数で行うのがおすすめです。同じ運動を繰り返すと2回目以降の筋肉痛が軽くなる「繰り返し運動効果」があり、軽い負荷でも効果があると報告されています。始めたばかりの時期は1〜2週間あけずに続け、少しずつ重さを上げていきましょう。

Q. 筋肉痛とケガや病気はどう見分ければいいですか?

ふつうの筋肉痛は運動の翌日〜2日後に筋肉全体が痛み、数日〜1週間ほどで治まります。1か所だけ鋭く痛む、関節が痛む、はっきり腫れている、1週間以上よくならない、コーラ色や紅茶色の尿が出る場合は、ケガや横紋筋融解症の可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。

まとめ

自転車の筋肉痛のまとめ
  • 自転車の筋肉痛は、慣れない運動や急な練習量の増加で起こることが多い
  • 太もも前・お尻・太もも裏・ふくらはぎ、乗り始めは首・肩・腰にも出やすい
  • 筋肉痛があってもパワーは落ちにくいが、きつさを感じやすい。軽い回復走にする
  • マッサージ、軽い運動、着圧ウェアなどが筋肉痛を和らげる

筋肉痛は、体が新しい刺激に適応しているサインでもあります。上手に付き合いながら、少しずつ練習を積み重ねていきましょう。

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参考文献
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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