実業団E1に必要なパワーは?E1選手10名のパワープロフィールと練習量の目安

実業団E1に必要なパワーの目安

こんにちは。

名古屋・岐阜羽島のロードバイクスクール「 ORCA CYCLING SCHOOL 」です。

おるか君

実業団レースのE1を目指しています。

どれくらいのパワーがあれば、E1で走れますか?

当スクールで、実業団E1を走っていた選手10名(優勝経験のある選手を含む)のパワーデータを集計したところ、パワーウエイトレシオの平均は5秒18.97w/kg、1分9.26w/kg、5分5.83w/kg、20分5.00w/kgでした。

この記事では、この集計結果をもとにE1に必要なパワーの目安を紹介し、プロ選手の研究データとの比較、練習量の目安、パワー以外に必要なことを解説します。

目次

実業団レース(JBCF)とは?

実業団レースは、一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)が開催するロードレースのシリーズです。2026年の規程では、主に次のカテゴリーに分かれて開催されています。

ツアー内容
JPT日本最高峰のロードレースツアー
JETエリート選手による年間シリーズ。E1・E2・E3の3つのクラスに分かれる
JFT女性選手によるツアー
JYT18歳以下の選手によるツアー
JMTマスターズ世代の選手によるツアー

この記事では、JETの最上位クラスであるE1を目指す選手に向けて、必要なパワーの目安を紹介します。最新のカテゴリーや規程は、JBCF公式サイトで確認してください。

JETに出場するには、参加料に加えて、JBCFへのチーム登録料と選手登録料が必要です。チームアテンダントや審判員などの資格を求められることもあるため、個人で参戦するよりも、既存のチームに所属するのがおすすめです。

実業団E1選手10名のパワープロフィール

SNSで呼びかけ、ご協力いただいたE1選手10名のパワーデータから、パワープロフィールを集計しました。選手ごとに身長・体重が異なるため、絶対値(W)ではなく、体重あたりのパワー(パワーウエイトレシオ:w/kg)で紹介します。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

時間平均(w/kg)主に関係する能力
5秒18.97スプリント、ゴール前の加速
1分9.26アタック、短い登り、ペースの急な上げ下げ
5分5.83逃げ・集団の分断、5分前後の登り(VO2max)
20分5.00持続できる強度(FTPの目安)、長い登り

20分パワーから見積もると、FTPはおおむね4.7w/kg前後になります(20分パワーの約95%として計算)。体重60kgの選手なら、FTP280W前後がひとつの目安です。

この集計を見るときの注意点
  • 10名の平均であり、選手ごとの脚質(スプリンター・クライマーなど)で数値は大きく異なる
  • レースで必要なのは、パワープロフィールだけではない。CTLや当日のTSBといったコンディション、インターバルへの強さなども関係する
  • あくまで「純粋なパワープロフィール」としての参考値として使う

研究データとの比較|プロ選手のパワープロフィール

パワープロフィールは、研究でも選手の能力を評価する方法として使われています。フランスの研究では、プロとエリート選手17名のシーズン中のデータから、パワープロフィールは選手ごとの「体力のサイン」のようなもので、スプリンターは短時間、クライマーは長時間のパワーが高いなど、脚質によって形がちがうことが示されています。

また、プロ選手144名、約13万件のデータを分析した研究では、パワープロフィールはチームのカテゴリー(ワールドツアーとプロチーム)や脚質によって異なり、総合系の選手は1分以上の長い時間、スプリンターは5〜30秒の短い時間で特に高い値を示しました。

女子のプロ選手44名を調べた研究では、平均が5秒15.3w/kg、1分8.4w/kg、10分5.2w/kg、60分4.2w/kgと報告されています。E1選手の数値は、こうしたプロ選手のデータと比べながら、自分の強みと弱みを知る手がかりにするとよいでしょう。

ポイント
  • E1選手10名の平均は、5秒18.97w/kg、1分9.26w/kg、5分5.83w/kg、20分5.00w/kg
  • パワープロフィールは脚質によって形がちがうため、平均値だけで判断しない
  • 自分のパワープロフィールと比べて、伸ばすべき時間帯を見つける

E1を目指すためのトレーニング計画

E1のレベルを目指すには、まず自分のパワープロフィールを把握し、目標に届くまでの期間と具体的な目標を決めることが大切です。計画を立てるには、Training Peaks(トレーニングピークス)が便利です。

項目E1を目指す目安
1週間の練習時間10〜14時間程度
CTL(体力の目安)90〜110程度

仕事や学校、プライベートの時間を除いて、トレーニングに使える時間がどれだけあるかを考えながら、ワークアウトを組み立てましょう。年間の計画は、Training PeaksのATPを使うと立てやすくなります。メニューの組み方は、1週間のトレーニングメニューやワークアウトの記事も参考にしてください。

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パワー以外にE1で必要なこと

目標のパワーに届いても、E1で勝てるかどうかは別の話です。そのレベルで戦うためには、パワー以外にも次の3つが欠かせません。

① テクニックを身につける

ロードレースは対人スポーツです。パワーが高くても、集団走行やコーナリングの技術がなければ、余計な体力を削られたり、落車して完走できなかったりします。機材を扱う技術を身につけましょう。

② 戦略・戦術を理解する

ロードレースは知力を競うスポーツでもあります。誰をマークするのか、誰が動いたら自分はどう動くのか、どこでアタックするのか。自分の体力を温存しながら、相手の体力を削って勝つための道筋を考える必要があります。

③ 機材を選ぶ

ロードレースは機材スポーツでもあります。車体の重さは登りの軽さに、ホイールは平均時速45kmにもなる平坦での進みやすさに影響します。どんな機材を使うかも、結果を左右します。

このほかにも、補給の方法や天候への対応など、レースで必要なことはたくさんあります。1つずつ経験しながら、自分に必要なことを見極めていきましょう。実業団レースへの挑戦については、JBCFへの挑戦を考えている方へもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 実業団E1を走るにはFTPは何w/kg必要ですか?

当スクールで集計したE1選手10名の20分パワーの平均は、約5.0w/kgでした。FTPはおおむね20分パワーの95%前後なので、FTPで4.7w/kg前後がひとつの目安になります。ただし、レースの結果はパワーだけでは決まりません。

Q. E1を目指すには、1週間に何時間練習すればいいですか?

当スクールでは、1週間あたり10〜14時間、CTL(体力の目安)で90〜110程度を目安にしています。仕事や学校の時間を除いて、確保できる時間から計画を立てましょう。

Q. パワープロフィールとは何ですか?

5秒・1分・5分・20分など、時間ごとの最大パワーを並べたものです。スプリントが得意か、長い登りが得意かなど、自分の脚質や強み・弱みを知ることができます。

Q. 個人でも実業団レースに出られますか?

出場には、レースの参加料に加えて、JBCFへのチーム登録・選手登録が必要です。チームアテンダントや審判員などの資格を求められることもあるため、個人で参戦するよりも、既存のチームに所属するのがおすすめです。

まとめ

実業団E1に必要なパワーのまとめ
  • E1選手10名の平均は、5秒18.97w/kg、1分9.26w/kg、5分5.83w/kg、20分5.00w/kg
  • FTPの目安は4.7w/kg前後。ただし脚質によって数値は大きく異なる
  • 練習量の目安は、1週間に10〜14時間、CTL90〜110程度
  • パワーに加えて、テクニック・戦略・機材がそろってはじめて勝負できる

パワーが高ければ勝てるわけではありませんが、基本となるパワーが足りなければ、勝てる確率はかなり低くなります。自分のパワープロフィールを知り、目標に向けて計画的に練習とトレーニングを積み重ねていきましょう。

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参考文献
  • Pinot J, Grappe F. The record power profile to assess performance in elite cyclists. Int J Sports Med. 2011;32(11):839-844. doi:10.1055/s-0031-1279773
  • Valenzuela PL, Muriel X, van Erp T, et al. The record power profile of male professional cyclists: normative values obtained from a large database. Int J Sports Physiol Perform. 2022;17(5):701-710. doi:10.1123/ijspp.2021-0263
  • Mateo-March M, van Erp T, Muriel X, et al. The record power profile in professional female cyclists: normative values obtained from a large database. Int J Sports Physiol Perform. 2022;17(5):682-686. doi:10.1123/ijspp.2021-0372
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この記事を書いた人

伊藤 透のアバター 伊藤 透 ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ

ORCA CYCLING SCHOOL ヘッドコーチ。日本スポーツ協会公認 自転車コーチ レベル3、健康運動指導士・健康運動実践指導者、NSCA認定パーソナルトレーナー。指導歴約16年。

ジュニアからトップ選手まで指導し、全日本自転車競技選手権大会ロードレース優勝、全日本学生選手権個人ロードレース大会優勝などの指導実績があります。

名古屋・久屋大通で、動作評価とidmatchクリートフィッティングによるロードバイクフィッティングを行い、膝や腰の痛みの改善とパフォーマンス向上をサポートしています。

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